2019年12月31日火曜日

1925 陸橋殺人事件 The Viaduct Murder ロナルド・ノックス

  これも黄金時代の作品。

かなり特殊な作りになっていて、この時点でもう、メタ推理小説化しています。普通の推理小説だったらこうなる・・みたいなメタ発言が見られる。

 内容もメタ名探偵、ってわけで、詳しいことは言えませんが、ミスリードの嵐なんですね。誰が本当のことを言ってるのか、誰が正しいのかわからない。

 ・・・だった、っていうト書きまでミスリードされたら、読者は完全にお手上げ。

 なんだか、ミスリードされて、間違った推理を聞かされるのってものすげー時間の無駄をしたって気持ちにワタシはなりました。

 ただ1925年当時、この手法は明らかに斬新だと思われたのは想像出来ます、たしかに斬新ではあるが・・・。う~~ん・・・


 黄金時代、ってのは、つまり2週目ってことなんですね。まずパイオニアが、ジャンルを作りだし(ミステリーならポー、ゲームならインベーダー)、一気に大ブームを引き起こす第一世代、が現れる(ミステリーならもちろんホームズ、ゲームならDQ1)、さらにその第一世代から学んで、そのジャンルってのを完成させる、第2世代、これが黄金世代って言われるわけです(ミステリーだと、アガサ、カー、とか。ゲームなら、FF5、DQ5、ポケモン、ってとこですか)、
 一つのジャンルの寿命は50年だと言われてます、黄金世代の次に銀の時代やら、ポスト黄金世代が出てきますが、そこでもう終わり。
  
 ミステリーってのはもう終わったジャンルですが、ゲームは今死につつあるジャンル、ゲームのあとに一体何が来るんだろう?って最近思う。

2019年12月29日日曜日

2017 Star Wars: The Last Jedi

 スターウォーズの8作目ですが・・・


 こりゃひどいですねw

なんでこんなことになってしまったのか・・?

 いろんなところが、良くないんですけど、なんでしょう、キャスティング・・、なっなんでこんな配役?

 脚本・・・、なんか・・曖昧模糊としてるっちゅーのか、メリハリが無いっていうのか・・めちゃくちゃやぁ・・・ってのばっかりですし、あまりにも都合良すぎるし・・・え・・?とか・・・は?ばっかりです。

 映像、とにかく暗くて見にくいですね、絵変わりがしないっていうのか、トーンが一定で・・・

 
 めちゃくそ予算あるでしょうに、なんでこんな失敗をしてしまったのか、まったく謎という他ない、もっと能力のある人間、いっぱい雇えるでしょうに・・?

 とにかくほかはボロボロでも脚本さえ良ければどうにかなっただろうに、なんでこれでOKしたんでしょう・・?まじで色々謎です。

2019年12月26日木曜日

1908 木曜日だった男  チェスタトン a man who was Thursday : a nightmare

 ーー義務感と宗教が真に破壊される時、破壊するのは金持ちなんだ

 たぶんこの本読むの2回目なんですけど、記録も記憶も残ってないのでもう一度読むことにしました。

 チェスタトンはワタシ的には最も過小評価されてる作家、ですね。おそらくチェスタトンの知名度はものすごい低い。
 けど、ワタシはチェスタトン、が現代小説、の先駆者だと思っています、どっから近代でどっから現代か?っていう話ですけど、ワタシはオスカー・ワイルド、ニーチェまでが近代、そしてチェスタトンが現代の幕開けを告げる作家です。
 今みたいに世界が一つのシステムで動いてませんでしたから、日本みたいに遅れた国では1940年代でもまだまだ近代的な作品が書かれていましたけども、当時の最先端だったヨーロッパでは20世紀初頭には現代小説が生まれております。

 現代小説って何なん??って言われると、ワタシ、の定義ですけど
「どういうふうに生きればいいのか?」
 っていうのを探す、ってのが近代小説、もはやそういう答えを探さないのが現代小説ですね。
 近代小説ってのは、哲学、でもあって、だからこそ近代小説を読むのは、命がけみたいなところがあった、ウェルテルが死ぬならオレも死ぬ、スタヴローギンがテロをやるならオレもやる、トルストイが農園に暮らすならオレも田舎に引っ込む、ってな具合。人生の答えを探してるみたいなシリアスなものでした。

 現代小説は、気づいてしまったのだ、何も答えが無いってことに。ってことです、最高に現代小説的な本があります、ウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」
 現代小説ってのはそういう調子。

 チェスタトンはかなりイカれた作家でして、ゴリゴリのカトリックでありつつ、ミステリー小説作家である。
 ワタシはチェスタトンってのは本当にイカれてたのだと信じております。霊感、エンシュージアトモス、は狂気、と同じものだと言われていた通り。
 このヒトの描くコトバって、まったく真実が一つもないような感じを受けつつ、本当に誰よりも真剣にしゃべってるようにも聞こえる、すべてを嘲笑してるようで、本気で信心を持ってるような。まさしく狂人、みたいな文章なんですよね。
 ドストエフスキーに非常に近い。どっかで、なんか全部大嘘をついてるんじゃないか?っていうような文章なんですよなぁ。


  副題に a nightmare とある通り、夢オチです。ちゃんと最初に断りを入れている。内容は、ひどく説明し難い。アナーキストを皮肉ったコメディのようであり、アクション満載のサスペンスでもあり、虚無と戦う天使たちの宗教話でもあるという具合、まさしく、悪夢、そのままです。

2019年12月23日月曜日

2006 同級生 中村明日美子

 BLマンガです。

BLマンガ初めて、というヒトにおすすめと聞いたので読んでみました。

 良いです。

BLエロマンガ、ではない。

世の腐女子たちがBLマンガにのめり込むのが理解できるって感じですね。ワタシはヘテロの恋愛ものは基本大嫌い、恋愛ものは映画も本も何もかも手に取らないし、エロゲ、同人も陵辱モノしか読まないのです。
 
 ヘテロの恋愛ものはやっぱ、どっかで「はいはい」「どうせ最後にはくっつくんだろ・・」という感じが消せなくてかったるい。
 あとだいたい、何の特徴もなくて目立たないワタシが・・・、とかいいつつ、絶対に一番かわいいという矛盾ですね。本当にブスを主人公には出来ないってのもわかりますけど。

 が、BLマンガは読めますなこれは。まず先が読めないってことですね、普通の恋愛マンガなら、オチはもう完全に見えてるけれど、BLマンガは展開が読めない。イケメンだからって、相手がノンケだったら失恋するし、世間の目も厳しい。たぶんバッドエンドが多いのかも。展開がスリリングです。

 ヘテロのものよりも、恋愛、に純粋だって思いますね、どうせセックスじゃろ、ということではなくて、プラトニックな心のつながりがBLのほうにはあるのかも。すぐにセックスのBLはダメ!と玄人腐女子が言いますけども、まさにそのとおりだと思ふ。

 作画も勉強になりますね、男をエロく書くのはやっぱりBL漫画家のほうが断然上手いですな。そのヒトの趣味が全開ですけども。女を上手く描くのはエロ漫画家だし、子供を上手く描くのはやっぱロリコンなんでしょう、もちは餅屋ってことですね。



それと♀漫画家ってのはスーツ、ロン毛、メガネ、背が高くてスリム、っていうのが好きですよな。
 ♂マンガにおける、巨乳、黒髪(か金髪)、目がでかい。っていうのみたいなものでしょうか。♀作画は目が細いですよね、それが一番の違いかも、目の大きさ。目の大きさをみるだけで何漫画かわかるのです。

BC 18 詩論 アルス・ポエティカ ホラティウス

 トロイア戦争を双子の卵から始めることはせず・・物語の核心へと導いていく・・


 ホラティウスが、詩の書き方について説明したもので、非常に短い。さすが詩人でして、詩の書き方も、詩になっているっていう感じ。アリストテレスの詩論が論理的であったのに対し、かなり感覚的です。
 詩論っていうよりは、詩を書くにあたっての諸注意って感じですかね。


・金銭欲がいったん心を蝕んだなら、一体誰が、詩など作ることを期待できるだろうか・・・

・詩は絵と同じである・・

・凡庸な詩人、は許されない。

・作品を発表するまで9年待つこと、コトバは一旦解き放たれると元には戻せない

・才能と努力は2つで友好関係を築いて初めて機能する、鉱脈が無い所を掘っても何も出ない。

・嘲笑者や追従者こそ、大げさに感動してみせる。

BC 335 詩学 アリストテレス

 アリストテレスはすべてを知っていた最後の人間だ、と言われております。それは全知、だった、ってことじゃなくて、当時知れた情報を全部知っていたってことです。
 
 そんなわけないんですけど、ただ、ギリシャにいて知ることができた事柄のほとんどを知っていたってわけです。いわゆる図書館の本全部読んだ、状態。古代ギリシャはもちろん本が少なかったからできたわけです。もちろんアリストテレスは天才でしたし。
 
 アリストテレスはソクラテスも知ってるし、ホメロスも知ってる、もちろん師であるプラトンについても全部知ってる。現在なら理系、文系とかありますけれど、アリストテレスは全科目、教えています。この詩学、を読めばわかりますが、アリスは悲劇を研究するために大量の劇を見ております、優れたものから劣ってるものまで。暇か!っていうぐらい。


 アリストテレスのワタシが思うすごいところは、プラトンっていう歴史に残りまくるような超偉人を師としてるのに、全然言うことを聞かないところですね。普通そんな歴史的な天才に教えられたら、そいつの意見に流されてしまう。けどアリスは、師とまったく違う切り口と角度で、ハッキリと自分の思索を進められる。そこが天才たる所以ですね、流されない。
 
 アリスというかそれがギリシャ哲学全体の優秀な所なのかもしれません。忖度しない、ってやつですね、自分の意見を言う、議論をしようとする態度、を尊重する。現代は、っていうか殆どの時代は、議論、すること自体が、悪とみなされます。

「おまえがそんなこと言うな!」
「うるさい!死ね!」

 みたいに。議論、しないで、人格攻撃する。別に現代の特徴ではなくて、ギリシャが特殊なんです。いつの時代も
「農民の分際で!」
「女の分際で!」
「平民が!!」
 ってな具合。
 
そんなことより、LOGOS、論理を優先しよう、というギリシャ人の発想。これは気持ち悪いくらい優秀ですね。人類の歴史を通じて、パトスよりもロゴスを尊重しようっていう人間はめちゃくちゃ少ない。


//////////

 さてその中で詩学、文学論です。

 詩学、という学問は今存在してないですよね、文学科の、カテゴリの一つみたいになってますが、英文学科みたいに、言語ごとのカテゴリーで、詩学、という詩学全体を扱うってのはあまりないのではないですか?

 詩、ポイエーシス、ってのはいわゆる、ポエム、のことではなくて、ポイエーシスは、創作、全部を表すコトバだったみたいです。古代においては創作には必ず韻文、を用いるものだからそのまま韻文が創作、ということだったわけ。
 だから創作論、芸術論、なんですね、だからこの詩学、には音楽や演劇、舞踏などもすべて含まれるっていうわけ。

創作とは、ミメーシス、再現、である。というのがその根本的主張です。

歴史と違って創作は実際にあったことではなく、あり得ることを再現してみせる、歴史より哲学的な行為であると言っております。

 鋭すぎますなぁアリスちゃんは。確かに・・・と思わざるを得ませぬ。

よく自分では何も作らない人間は、パクリだ、どれも同じだ、ってことを言います。アリスにすれば、それが、創作なのだ。ってわけ、なにかと似ている、ことが、創作なんだってわけ。
 ワタシもアリスと同意見。何かに似ている、から感情が動かされるわけで、何にも似ていなかったら、誰にも理解できません。新しく自分の言語、を発明してしゃべったって誰にもわからんってわけ。
 何の再現でもない創作、として抽象画ってのがありますけども、ほんとにあれが絵画をダメにしたとワタシは思います。手を抜いてるだけだあんなもの。


また、優れた人間、を再現するのが悲劇、で劣った人間、を再現するのが喜劇である。というすごい角度からの定義をしています。これも、ふーむ、確かに・・と言わざるを得ない。

また、至極有名な悲劇のカタルシス(浄化)論、もあります。

プロットの3大要素は、逆転、認知、苦難

・勧善懲悪であらねばならないが、純粋悪が滅びるだけのただの当たり前の話、あってもいけない。優れた人間が、苦難に陥る、ものであらねばならない(バッドエンド擁護)

・プロットの解決は、プロットからの必然的な結果であるべきであり、「機械仕掛けの神」方式はとるべきでない

・詩作は天才か、狂気(霊感)を持った人間によって行われるべきである

・日常語と文語を組み合わせて、平板ではないが、理解しやすい文体とするべきである

・比喩、する能力は他人から学ぶことができず、ここに才能が現れる

・詩人、は自らが語ることをなるべく避けなければならない

・詩作には、信じがたいが実際には可能であること、よりも、ありそうなことであるが、実際は不可能なこと、を題材にすべきである

2019年12月21日土曜日

1982 First Blood  ランボー

 ランボーって見たと思ってたけれど、実際にはワタシは見てなかったみたいですね。


 っていうかおもろw 何この映画。めちゃいい出来やん。


 ポプテピピックで、ランボーのパロディをやってましたね、ワタシもランボーのパロディだなぁとはわかったんですけれど、こんなシーンあったか?ランボーってなんかジャングルで暴れまわる映画じゃなかったっけ?って思ってたのですが、たぶんあれは3だったんでしょうね。

 だから1は見たことなかったんですね。2、以降はハリウッド式バキバキドカンであれはあれで面白いのですけど、1は結構シリアスな内容となってます。 原題もランボーではなくて、ファーストブラッド、なる謎のタイトル。ランボー、というタイトルは、2作目である
 
Rambo: First Blood Part II

 からみたいです。


 ヴェトナムから帰還した英雄は、本国に帰ると大バッシングを浴びてどこにも居場所が無い、そして地元の保安官と問題を起こして・・っていう内容。ハートマン軍曹と並んで、大佐といえばトラウトマン大佐ですね。

 この展開って、ヒトラーと同じルートですけどね、一次大戦で出兵するが敗戦、本国に帰還するとどこにも居場所が無い。そういう連中をヒトラーは組織化してSS、を作り出す・・・


 映画の構成も良いですね、主人公であるランボー最後の5分くらいまでほとんどセリフがまったくない、最後にバーっとしゃべる、だから印象に残る、タメを作るっていうやり方。アクション映画としてアクションもいい感じです、無理がない、リアリティがある。

 M60をランボーは撃ちまくってますが、あんなふうに撃てるものなんだろうか・・もっと反動がでかそうですけど・・・