2022年7月20日水曜日

1695 隋唐演義 褚人穫

   1700年頃ですから・・・明の時代に、1000年前の唐の時代のことを描いた連載小説です。

 なんに連載されてたのかわかりませんが、100回で区切られていて、連載小説の体をとっている。


 時代的背景からもわかるようにどうも分類が難しい本です、明という今や古典の時代の、大衆小説でして、歴史的な本では無い、のですが、古典ではある。


 小説の出来としては、三国志演義、には遠く及ばない感じでして、大衆小説、というよりも通俗小説って感じで、阿呆な大衆が喜ぶように書いてますから、イマイチです。


 でもその分人気もあるらしく、大衆には受けたようです。


 時代小説かと思いきや、仙人が登場したり、神が出てきたり、まぁ1700年だから仕方ないよねって感じのオカルト感も満載ですし、小説のテーマ、もぼんやりしていて、唐が成立するまでの物語、からいきなり玄宗と楊貴妃の物語になったりして、一つの小説じゃなくて絶対分けたほうが良くない?っていう構成もダルダルです。

 歴史的考証とかももちろんざっくり。


 とまぁいろいろ問題点は山積してるんですけど、明の時代からみた唐の時代、という歴史的な視点が面白くもあります。


 唐、というとやっぱり中国の黄金時代という感じがします。唐詩ともあるように文化的なレジェンドはだいたいこの時代の人。

 ローマが滅んだこともあって、唐はまさに世界の中心の時代です。当然その時代の人間はキャラも立ってるしおもろい人物もたくさんいます。やっぱり明の時代の人にもそう思えたのではないでしょうか? 


 それと楊貴妃はやっぱ謎ですね。行動が謎というか、何がしたいのかわからん。結果的には安禄山と密通していて、安史の乱を呼んだ悪女ということになってますが、楊貴妃が安禄山をそそのかして内乱を起こしたってことではなくて、結果的にそうなったってことです。

 

 ただ楊貴妃はデブ、ようするにぽっちゃり系であったらしく、玄宗にドハマリしたわけで、誰もが思うような三代美女的なそれであったとは思えない、玄宗に刺さったというだけだと思う、さらに安禄山もイケメンであった様子はなくて(安禄山もデブだったとも言われています)、他にも選ぼうとすれば誰とでも不倫できた、楊貴妃のセンスもイカれてる、美男美女の少女漫画的三角関係じゃなくて変な性癖をもったおじさんとおばさんによるキモい三角関係って感じです。


 中国の歴史、にかぎらずなのかもしれませんが、戦乱が止んでから政治の腐敗までの速度が早すぎる、数年でもう宦官や皇后に権力を握られて、皇帝はハーレムにどっぷり、ってのばっかり。まったく同じことの繰り返しです。