最近出た中世の歴史の本。
中世の歴史についてちゃんとまとめた本ってないので読んでみたものなり。
最近の本らしく、歴史書にありがちな偉そうな口調ではなくて、普通のコトバで書かれている。
日本にはもう売れない本を作る地肩ってものがないので(だいたいもう50年前くらいの本しかない)こういう売れそうもない本は英語圏でしか成立しないですね。
驚くべきことに結構売れてるらしい。
ヨーロッパにはまだ、本、というものをを読んでる人間たちが生息してるらしい、我々はジャングルの奥地へと・・・
やっぱヨーロッパは非常に保守的というか、伝統を手放さない頑固さがあるようですわ。
そして歴史ってやつは非常に受け入れたくない真実を教えてくれるものです。
例えば、難民を受け入れてはならない。みたいなこと。
西ローマ帝国末期、フン族(匈奴)、によって住処を失ったゴート族をローマを受け入れたのですが、受け入れられたゴート族は、もちろん歓迎されず、孤立し、反乱を起こし、さらにはローマを略奪し、火をかけ、帝国を滅ぼすのに一役買います。
ローマは、フン族にゴート族が虐殺されるのを、非人道的だってことで、助けたのですが、結果は最悪な結果に。というわけ。
もちろんローマの受け入れ方が悪かった、もっと待遇をよくすれば・・みたいなことが言えます。だけど実際問題無理ですそんなこと。いきなり現れた難民、すぐに溶け込めってほうが無理って話、逆に難民に援助を多くしたら、ふざけんなまず自国民を助けろボケカス!って不満が出てくるに決まってる。
受け入れたくないけど、これが歴史の教訓なり。
現代でもまったく同じ事、難民を受け入れる→社会で孤立→犯罪者に→難民救済案を出す→自国民が文句を言って排他的になる→社会不安が増大して、内部崩壊。
じゃあ受け入れずに、難民に武器を与えて、戦わせりゃいいのでは?
これももちろんやってみました、結果、難民と侵略者が戦いましたが、どちらにしろローマさんありがとう!みたいなことにはならず、勝ったほうが、この土地は俺達が勝ったのだから俺達のものだ、と約束を反故にしました。
要するに難民は、どう扱っても最悪な結果にしかならないイベントってことです。すべて最悪な結果にしかならないバッドイベント。
ほいで、結局人間の意思とかは関係なく、繁栄とか豊かさをもたらすものは
自然気候
です。やれ名君がよい治世だったとか、法律が整えられたとか。この宗教の特質がどうだとか、人間の行動に繁栄の理由を求めがちですが、まじでそんなのは些末な枝葉。
気候が安定し、豊作であれば、誰が何やってもうまくいくし、気候が変動し、飢饉が起きれば誰が何をしてもどうしようもない。伝染病やら病気をもたらすもの、だいたいは気候が原因です。
ローマの繁栄をもたらしたのは?良い気候です。暗黒時代をもたらしたのは?気候の寒冷化です。なぜ民族大移動や難民が発生したのか?干ばつや洪水です。
中世盛期がなぜ文化が安定したのか?気候が安定したからです。宗教改革や激動の中世末期をもたらしたものはなにか?寒冷期です。
寒冷期は疫病をはやらせ社会を不安定にしていく・・・
そういうわけで、現代社会を不安定にしているのは、核兵器でも、AIでも、石油でもない、やはり気候変動、これがすべてに波及していくことになるというわけで、人間なんかの努力では、気候変動は止められないし、暑くなるにせよ、寒くなるにせよ、必ず気候変動は起こる、ということでもある。
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それと結構見逃しがちな事実ですけど、キリスト教が布教していくのは、キリストが死んでから300年近く経ってからということなのです。
キリストが死んだ直後は、ほそぼそとした小さな宗教でしたが、200年後に急にカルト化しだして、猛烈な弾圧と迫害を受けまくったのち、これもまた急激に反転してローマ帝国の国教となる。
なんでその100年以上も経過して、誰一人キリストの言ったことや、人物を知らないようになってからいきなりカルトになるのかは非常に謎です。でも仏教もまた同じように、ブッダが死んで何百年もたってから、ブッダの神格化が始まるのです。
誰かを、伝説、だとか神、として崇めるには、200年くらいの時間が経過しないと出来ないみたいです。
中世は、本当に知らないことだらけ。十字軍がイスラエルに国家を作ってたってことなんて、ほとんどのひとが知らないでしょう。
オットー1世やら、フリードリヒ2世なんて、ドイツではおそらく、秀吉とか信長みたいな知名度なんだろうけど、日本でオットー1世がぴんとくる人間なんて1%もいないでしょう。
その分、ネタの宝庫でもある。中世の歴史から題材を得てなにか創作しても99%元ネタが何か誰も察しないでしょう。やはり中世はおもろい。
そしてなぜか昔のほうが世界が広く感じるのですよね、現在ドイツの権力者が、イスラエルやエジプトやペルシャまで行く、なんてことはまずないでしょう。でも古代の人は、アレグザンダーのようにどこまでも行けた、壁、が少ないのです、そして未知の世界が無限に広がっている。
古代や中世の人々は、周りが未知のものだらけ、わからないものだらけの世界で生きている、まさしく、ファンタジーの世界を生きてるって感じがしますね。そしてすぐに死ぬ、虐殺される、残虐な方法で殺される。まさにそういうところもファンタジーですね。