2025年3月16日日曜日

1573? 封神演義

  謎の本。封神演義。


 中国四大ほにゃらら・・・みたいなのには含まれず、文学として評価は高くないが・・・という枕詞がいつもつきます。

 といって名文学とされてるものが確かに文章はいいのかもしれないけど内容はただのエロ本でセックスのことしか書いてないくそつまらない本ってこともよくあります、源氏物語みたいに。


 ようするには、今で言うところの大衆漫画、400年前のワンピースみたいなものだと言えます。文学的な芸術作品ではなくて、大衆のエンタメ。


 殷の終わりの殷周革命が舞台のはずなのに、その何百年もあとの老師とか釈迦とかが登場して、時代がメチャクチャだとか言われますが、そういうこっちゃなくて、フィクションで、エンタメなのです。


 時代考証などどうでもいいのだ。第◯巻、みたいな連載になっているのからも明らか。


 作者も不明であり、明らかに複数人によって書かれています、文体とか一貫性がないし、何より、なにか元ネタとか、そういうものがないとおかしい。一人の人間が適当に思いついたと考えるには、内容が奇妙すぎるのです。


 ですが、とてつもない人気となったのは明らか。じゃなきゃ400年後の現代にまで残ってるはずがない。ワンピースだって400年後に残ってるかと言われると非情に怪しいといえるでしょう。


 この封神演義はただの歴史小説では全く無くて、いろんな仙人だとか神々が戦う、東洋ファンタジーとなっています。非情に斬新。


 中国の神話ってのが厄介で、これにすべて書いてある、みたいなバイブル的存在がほとんどないのです。ギリシャでいうイリアード、だの神統記、日本だったら古事記みたいなものが中国にはない。

 それは秦の始皇帝が本を焼いて過去を抹殺する、というすごい斬新な政策を行ったこともあるし、史記を描いた司馬遷が、神話などよりも事実、を優先する。という合理的歴史観を世界でも稀なほど早く打ち立てたからです。だから神話とかが追放されてしまったわけ。

 中国神話は断片的にさらっと残ってるだけで、全体像は見えない。

 

 始皇帝の本や記録を全て焼いて過去を無くす。っていうのは、とんでもない暴虐、知識への冒涜、だと言われますが、何百年も戦争が続き、憎しみや恨みを消すことができなくなっていたので、過去をすべて消し去るという方法を取ったと見れば、始皇帝の、合理的、な考えが理解できようと言うもの。


 そういうわけで、この封神演義、が何を元ネタにしているのか?ってのが誰にもわからない謎の本なのです。

 とてもこの作者が自分で考えただけとは思えないけど、誰も知らない神話体系を持っている。

 新しい神話を作るってのは、クトゥルーの先駆けでもある。確かになんで過去の人間だけが神話を作り、現代の人間は神話を作っちゃいけないのか?というルールはないわけです。



 大きな物語の流れとして、歴史上の事実である殷の悪王紂王を、周が倒して周王朝を立てるという話。ですがその戦いは、ただの戦いではなく、仙人の術などが飛び交うファンタジー大戦になるというお話。

 封神ぼう、なる、神となるべき人間のリストが決まっていて、それに従ってこの大戦で英雄たちが死に、神として迎えられる、という北欧神話のヴァルハラ的な話にもなっています。もちろん北欧神話を知っていたとは到底思えないわけで、このへんの設定も不思議です。


 周の文王こと、姫昌は聖人、聖王とされていて、実在が確実視される最古の聖王です。その文王の政策

「貧しい未婚の男には、金を与えて結婚させるべし。貧しくて娘を結婚させられない家にも金を与えて娘を嫁がせるべし」

 確かにこれは名君。三千年後にも通用する政策です。

 ただ金をばらまいてるだけじゃないか、と思われますが、文王は28年後に殷王朝が倒れるのと予見していて、来るべき戦乱のために兵員を確保したのです。


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 一応主人公は後の太公望こと、姜子牙 72歳


現代の高齢化社会ならまだしも、こんな大作小説の主人公が72歳とは、封神演義がいかに奇妙な本かわかるもの。ちなみに妻は68歳の生娘 おいおい。

 しかも実際に戦争が始まるのは90歳になってから、まぢかよ。