2025年6月15日日曜日

1974 Le Bandard fou The Horny Goof 巨根男

  メビウスの一番初期の作品と言われておる。

 

メビウス、別名ジャン・ジローは、ブルーベリー、という西部劇みたいなマンガで名が売れたのですが、SFとか、もっと尖ったアングラ作品を描くときに、メビウス、というペンネームを使うようになったのです。

 

 ほいでその実質メビウスの最初の作品がこの作品。邦題が「巨根男」となってますが、日本語訳は無いみたい。

 英語名からすると、勃起したマヌケ、みたいな意味でしょうか。

 

 尖りすぎ 

 

 今ではでは伝説的アングラ作品とされてるみたいですが、さもありなん。バチクソに尖ってる。型にハマりまくった原題のマンガの一番対極にあると言えます。

 まじ右ページと左ページでまったく別のストーリー?が展開します。

片方はある男がなにかにどんどん飲み込まれていくというスーパーシュールな話。

 もう片方は、勃起したことでなんかしらんが誘拐されて、精子管理局?に追われる、宇宙規模のドラマを描いてます。絶対に昨今では少年誌に載せられない内容、普通にR18。だけどエロもあるのですが、そのスタイル、緻密な描写、図抜けた空間的センスを感じさせます。

 

 ぶっちゃけ内容はほとんど全く意味がわからん。

 

 メビウス本人による解説がありました。

68年闘争によって、ヨーロッパでも様々なアングラというか新しい文化が花開いて、新たなインデペンデントの雑誌も生まれ、その文脈で、初めてアダルトで自由な作品を描いた。

 アダルトとは、エロと暴力、ではなくて、規制の無い自由、という意味だ。毎日同じようなマンガで同じキャラばかり描いていると(ブルーベリーというメビウスが連載していたマンガ)、気が狂ってしまいそうになる、自由で新たな表現を求めてこれを描いた。とにかく描いていて楽しかった。

 だそうです。なーほーね。

メビウスもまたクレイジー60sの産物だったということなり。