2022年6月28日火曜日

1973 The Day of the Jackal ジャッカルの日

フォーサイスのデビュー作の映画化です。

 

 フランス大統領ド・ゴール暗殺を狙う殺し屋と警察のお話、というまぁ題材自体は非常にベタ、ベタ中のベタなのですが、雰囲気的にすごい静かで、殺し屋側と警察側、どっちにも感情移入させないように作られています。

 

 殺し屋のストイックで頭の切れ、仕事の為にはなんでもやるというプロフェッショナルなところも好感がもてるし、警察も愚鈍でアホっていう調子ではなくて、こちらもプロフェッショナルに仕事をしているという感じ。

 

 昨今の傾向として、犯人には実はこういうトラウマがあって、悪いやつだけれども仕方のない側面もあるっていう、トラウマ自慢っていうのになりがちです。そしてだいたい感情的な悪役が多い、べらべらよくしゃべる。ワンピースがその典型。

 

 だけどこの犯人ジャッカルに関しては、まったく情報が無い、過去も無ければ何人なのかも最後までわからない。とにかくプロだってことだけしかプロフィールが無いのです。

 こういう客観的な調子でたんたんと進む映画ってのは最近には無いものです、ブレッソン風ですね。

 なんでも派手にわかりやすく、っていう風潮ですから。冒頭部分でいかに客をつかむか、じゃないと売れないよ、みたいな知ったような口を聞くバカプロデューサーしかいないので。

 

 ちょっと女スパイの部分とか未亡人に取り付くところとかのテンポが悪い気がしますし、ちょっと長いし俳優の顔がなんか違うんじゃないかな?って感じもあるんですが総じて良い映画です。 個人的にはパスポート偽造屋の俳優が一番ハマっていた。

  

 特に注目すべきはやっぱり特注のカスタムライフルで、銃って削ぎ落とせばこれだけなんだなっていう非常にスリムでタイトな本作の雰囲気にぴったしの小道具です、非常にかっちょいい。多分銃マニアもニッコリ。