ポアロものの長編。
第二次大戦前はアガサ・クリスティーの全盛期。毎年のように歴史に残る作品を連発している無敵時代です。
この作品も知名度はそこまでなれど、やはり全盛期の作品でして、非常に読み応えがある。
ネタバレしないように書くのは難しいのですけど、非常に沢山のレイヤーが折り重ねられていて、緻密な構成となっています。
あの証言がここに繋がり、あの発見がここにつながり、あの発言の本当の意味は・・・っていうふうに、ものすごく複雑、な構造をしていて、これはエクセルとか表にしてみたら、一つの小説なのにこんなたくさんの仕掛けがあるのか、と思いますね。
それに色々セットアップや、プロットの運びなども斬新です。
ほいで種明かしもたぶん、ほとんどの読者には予測不可能でありながら、十分きちんと推理出来てればたどり着ける、という探偵小説の模範とも言える作りになっています。ここおかしくない???ってのがワタシ的には一個しかない。
普通長編だと、なんじゃあそりゃあ、っていう部分がいくつかはあるものですが、この作品は非常に少ない。
探偵小説はトリックだけじゃなくて、雰囲気、ってのも大事。トリックなんかない、雰囲気だけのミステリだってある。
このエッジウェアは、これはアガサ独特の雰囲気作りですね。
まさに女性作家ならではって感じ。男は絶対こういう作りにはしないだろうなっていう。
これは是非読むべき作品。