2025年9月29日月曜日

1933 エッジウェア卿の死 原題:Lord Edgware Dies  アガサ・クリスティ

  ポアロものの長編。

  

 第二次大戦前はアガサ・クリスティーの全盛期。毎年のように歴史に残る作品を連発している無敵時代です。

 

 この作品も知名度はそこまでなれど、やはり全盛期の作品でして、非常に読み応えがある。

 

 ネタバレしないように書くのは難しいのですけど、非常に沢山のレイヤーが折り重ねられていて、緻密な構成となっています。

 

 あの証言がここに繋がり、あの発見がここにつながり、あの発言の本当の意味は・・・っていうふうに、ものすごく複雑、な構造をしていて、これはエクセルとか表にしてみたら、一つの小説なのにこんなたくさんの仕掛けがあるのか、と思いますね。

 それに色々セットアップや、プロットの運びなども斬新です。 

 

 ほいで種明かしもたぶん、ほとんどの読者には予測不可能でありながら、十分きちんと推理出来てればたどり着ける、という探偵小説の模範とも言える作りになっています。ここおかしくない???ってのがワタシ的には一個しかない。

 普通長編だと、なんじゃあそりゃあ、っていう部分がいくつかはあるものですが、この作品は非常に少ない。

 

 探偵小説はトリックだけじゃなくて、雰囲気、ってのも大事。トリックなんかない、雰囲気だけのミステリだってある。

 このエッジウェアは、これはアガサ独特の雰囲気作りですね。

 

 まさに女性作家ならではって感じ。男は絶対こういう作りにはしないだろうなっていう。

 

これは是非読むべき作品。