2021年8月30日月曜日

1934 ファラオの葉巻 The Adventures of Tintin Cigars of the Pharaoh

  タンタンシリーズ四作目。


 今回の舞台はエジプト、そしてアラブを通ってインド、とオリエント世界を横断するスケールのでかい作品。


 今作からおなじみのキャラクターが登場


双子のドジっ子刑事 デュポンとデュボン

こちらもおとぼけ考古学者 フィレモン・サイクロン


 などタンタンシリーズおなじみのサブキャラが登場し、単なるアクション一辺倒だった構成が、サブキャラたちのドジとかボケに助けられたり、窮地に陥ったりと、コメディ色が強くなりました、ずっとタンタン視点で描かれいくのではなくて、いくつかのグループの視点を取るっていう具合になっていて、格段に進化、もはや完成形といえます。


ストーリーとしては、ファラオの墓を根城とした、大規模なアヘンや麻薬のシンジケートを追っていくという、90年後もまったく同じことやってるよ、という物語。KKKみたいなマスクをした秘密結社が登場するんですけど、これは木曜の男とかの影響、当時ソ連などの状況などもあって、こういう秘密結社、っていうのが流行ってたんでしょうね、合言葉を言え!っていうやつ。

 現代はこういう秘密結社ってのはギャングと大企業に取って代わりましたね、大企業は合法的に悪事をして、それに対抗するためにギャングがいるというわけ。半ばどちらも社会的に公認された組織であって、秘密、にする必要がなくなりました。


 作画のクオリティも相当上がっていて、コマ割りは非常に細かいかれど細部まで書き込まれたタンタンのスタイルってのが完成しております、とにかく全体的にハイレベルに仕上がった初期の代表作といえますでしょう。


 実はカラー版と白黒版で相当手直しが入ってるみたい、ワタシが読んだのはカラー版。


1934年でこのクオリティは当時、確実に漫画の最先端だったでしょうね。

2021年8月26日木曜日

MTG イニストラード スタンダード変遷

  9月半ばのスタンダード変更に向けて、新しく「イニストラード」のカードリストも公開になっております。


https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000034/


スタンダード変更というよりは「エルドレイン」のスタン落ち、が事件ですね、はっきりいってエルドレイン強すぎた。現在の環境のデッキのコアカードはほとんどエルドレイン、禁止カードを5枚?も出してめちゃくちゃでしたね。「創案の火?」こんなの禁止カードになるに決まってんじゃん、見た瞬間気づけって話。

 

 スタンダードのトップメタデッキはほぼ全滅、まず物語デッキ系がすべて消滅、リサイクルデッキも消滅、ローグデッキも消滅、赤の速攻もエンバークリーブを失ったことにより消滅、根本原理、の原理系も消滅

 スタンダードが変更になったからといって、ここまでそれまでのデッキがほとんど使えなくなるってことも珍しいのではないでしょうか?それほどエルドレインを主軸にしたデッキばっかりだったってことです。


 唯一生き残ったのは 宝物ドラゴン、を中心にした赤青ドラゴンでしょうね、これがゴリゴリにトップメタ。ドラゴン除去は絶対に必要、宝物ドラゴンに2ターン攻撃されたら負けって感じです。


 さて新しく入る「イニストラード」なんですが・・・・


 はっきりいって完全なるカードパワーダウン。それまでに出てる、ゼンディカーとか他のパックもすべて弱めだったので、環境全体がめちゃくちゃパワーダウンしますね。これまで登場できなかったカードもようやく日の目を見るのでは。パワーインフレをゴリ押しで止めに入ったってことなんでしょう。

 なんとイニストラードはゾンビと狼男、吸血鬼、という、ふる~いマジックのギミックが出てきて、なんかふるっ!クラシックやなぁ!っていうカードが多い。ゾンビデッキて!なつかしー。墓地を利用したリアニ系のカードが主です。


 中でもこれはよく見るようになるだろうってカードをピックアップ。


緑1 アヴァシンの巡礼者  1マナでタップマナというマナブースト。ラノワール以来の1マナ・マナブースト枠、生み出せるのが白マナというのが違いますけど全然問題にならない、とにかく1マナでマナソースが出ることで、環境全体のスピードが全く変わってくる。正直これがイニストラードで最強のカードでしょうね。


土地 ケッシグの狼の地   赤白Xでトランプルとアタック+Xができる土地・・・、ん?普通にめちゃつよじゃない?トレジャーデッキとも相性がいいし、赤緑白の3色でも、赤白絡みのトークンでも、簡単に火力が出せる、しかも土地で破壊されにくい。

 土地からクリーチャーになるっていうカードが現在いっぱいあるので、全体除去をくらっても立て直せることになり、土地クリ主体のデッキも増えそうです。マナブースト系が強くなりそうですね。


黒2 心なき召喚 クリーチャーが-1/-1されるけど2マナ軽くなるという、かなりやばそうなカード。これも環境のスピードを激変させるかも。3ターン目で宝物ドラゴンが来ることになる。他にも重いけど能力強いクリーチャーを出しまくれる、黒緑ストンプとかにもできる。ミッドレンジデッキのエンジンになるカード。どういうシナジーを生むかわかりませんが、禁止カード最有力w あれ?このカードと組み合わせるとやばない?ってのがかなりありそう。



 現在の環境、速攻系のデッキが相当弱体化したって気がします、アナレックスがいなくなったので全体除去に無防備になりましたし、白もそこまで速くない。

 だからコントロール有利の時代がまた来そうですね、エンバークリーブで5,6ターン決着ってのがザラだったので、とにかく今回の環境は激変、です、宝物ドラゴン以外にどのデッキが強いのかまったく想像もつきません、こういう環境こそ面白いですね、デッキメイクの腕の見せ所であります。

1973 ダーティハリー2 Magnum Force

   もちろん午後のロードショー


ダーティハリーっていうとエンタメ映画っぽいイメージがあるのですが、内容は結構社会派。

犯人は、ギャングやポン引きなど社会悪は無裁判で殺しても善いと考える、潔癖な警察官の若者グループであり、悪いやつは殺してもいいじゃないか?と開き直るタイプ。最近のマンガとかのミステリー物の犯人ではよくある設定ですが、当時としてはかなり新しい感じだったのでは?と思いますね。


 非常に善いところは、お涙頂戴がまったく無いところですね、一応相棒みたいなのがいて爆殺されて死ぬんですが、ハリーは心配はするんですが、殺されて「くそぉ!」みたいなことを言うシーンは一切ない。

 あとしっかり人を殺しよるなぁってとこですね、これも歯切れが善い。特にこういった、犯人は正義感が空回りしたっていうタイプの場合、生きて罪を償え、云々、っていうのが多いんですけど、ハリ―はチョップでしっかり殺す。相手が先に攻撃するまでは攻撃しないが、一度でも攻撃してきたら殺す、それがハリ―のやり方、かっちょえぇですね。

 最近のものはどんなものでもそうなんですが、たいてい喋りすぎなんです、説明しすぎ、説教しすぎ、セリフってのは少なければ少ないほど良い。


 イーストウッドの吹き替えを山田康雄、つまりルパン三世がやってるんですけど、これが渋いですね~。いい声ですなぁ。

 それと音が、いかにも嘘っぽくて、それがなんだか良いですね、くっきりした音。マグナムが、ボガーン!!って音がします。

 やっぱ実写のアクションってCGが無いほうが圧倒的に面白いですよね。普通にこの映画面白い。

2021年8月16日月曜日

1931 タンタン アメリカへ Tintin en Amérique Tintin in America

  タンタンシリーズ第三作目はギャング時代のシカゴが舞台。第一作がソ連、第二作がコンゴ、ときて、またしても今で言うセンシティブなテーマを選んでおります。


 さらに原住民のインディアンなども登場して、いよいよ、今なら問題有り有りのテーマばっかり取り上げていますね。

 コミックの流れとしては次々とタンタンにギャングが襲いかかり、それをほとんど強運だけで突破するっていう話で、コミックの展開としてはちょっと単調ですね。でも発表されたのが1931年ですから、当時としては最先端すぎるエンタメだったのだと思われます、売上もなかなか良かったみたいで、タンタンシリーズの人気確立に貢献したタイトルだったようです。


 今となって読むと、やっぱこの時代ってむちゃくちゃですよね、20年代30年代ってやつは、あらゆるものがむっちゃくちゃ、だけど張り裂けそうなエネルギーに満ちている、第一次大戦から開放されたっていう喜びもあるし、その負の遺産で死にそうにあえいでる人もおる。WW1が残したものとして、命の軽さってのがあるようです。

 めちゃくちゃ簡単に機関銃で人がばったばった死んでいくのを目の当たりにして、どうせすぐに死んでしまう、っていう刹那主義的な考えになっていったってことですね。だから今日が人生最後の日、みたいなめちゃくちゃさ、がこの時代にはある。


 この時代のアメリカってのはいわゆる黄金時代で、ヨーロッパの没落によって世界の覇権国家となり、なぜか禁酒法を制定し、マフィアが暗躍する、という資本主義の明暗、が非常にハッキリしだした時代です。


 禁酒法についてのロックフェラーの言葉

「禁酒法によって、飲酒はむしろ増加しました。不法酒場がサロンに取って代わりました。犯罪者の巨大な群れが現れました。我々の最高の市民の多くでさえ、禁酒法を公然と無視しました。法律の遵守は大いに軽んじられました。そして犯罪は、かつては決して見えない水準にまで増加しました」


 正しいこと、ばかり言っても誰もついて来ませんよってことです、見返り、がなければだめってこと。酒を飲んでは駄目!ではなくて、酒を飲まない人間にはカネをあげます。これがルールってものです。

 コロナだから外に出ては駄目です、これじゃ駄目ってこと。外に出ない人間にはカネをあげます、これじゃないと誰も守らない。


2021年8月10日火曜日

2013 ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII

 FF13三部作の完結編的なゲーム。


ですが(ターン制)ロープレじゃありません(!)。

 ロープレというよりはアクションロープレ、って感じですね。戦闘キャラはライトニング一人だけで、戦闘システムは、簡単にいうと相手の動きを見てタイミングよくガードや攻撃を入れるっていう音ゲーみたいなシステムとなっています。


 最大の特徴として、時間がリアルタイムで流れていき、2週間で世界を救わないといけない、時間帯に応じて街やイベントが変化していき・・・どっかで聞いたことありませんかこれ??

 そう、これはまったくムジュラの仮面と同じシステムなんです。トリッキーすぎて難易度が高い、とゼルダファンから賛否両論だったあのシステムですね。このFFLRも同様に非常にトリッキー。

 っていうか普通にやったら絶対ムリだろ、っていうゲームです、知ってなくちゃ攻略の順番とかもわかんねーし、サイドクエスト、サブクエストはほぼノーヒント、マップも広くて見つからない。

 一番困るのは、ライトニングが弱いってことです。強化、する方法がほぼ無いんですね、敵を倒してもレベル上がりません、経験値っていう概念がない。イベントをクリアすると能力値が上がるっていう使用、ですがイベントをこなしても上がる能力値は雀の涙。

 とにかく強い武器と防具、アビリティを揃える、ほとんどこれしか強化の方法が無いと言ってもいい。そしてその入手法はそれも知ってなきゃムリ、どこで強いアイテムや装備が手に入るのか。どれが強いのか、そしてどういう順番で攻略するのか。


 この攻略順序もぶん投げていて、好きなようにやってくださいって感じなのですが、当然強い敵のところに行っても即死。ザコにボスより強いのがゴロゴロいる。さらに回復アイテムもスロット制でアイテムでゴリ押しも不可能。

 さらに!なぜか回復魔法が存在しない。(存在はするけどライトニングは使えない)


 時間制限があるおかげでロープレの醍醐味である、じっくり育てる、ことは出来ません。

 FF13、が完全に攻略する順番が決められていてマップも無い「一本道ムービーゲーム」という批判を受けたからかわかりませんが、FFLRは「スーパートリッキーなげっぱなしゲーム」です。とにかく親切じゃない。

 ホープ君のナビゲートがあるんですが、ここに行け、というだけで肝心のどうやったら勝てるの!?ってのは何一つ教えてくれません。

 敵が強い、っていうよりもライトニングが弱いんですよね。相手の弱点をつかないとほとんどダメージが入らない。弱点だと普通の10倍くらいダメージなので、つまり弱点で攻撃しない限りほぼ無駄ってことです。倒し方、が全部設定されていて、それに従わないと倒せない。敵によって、いやどうすりゃえぇねん!?ってやつかなりいる。

 これをNO攻略情報ですんなりクリアできたら相当なゲームセンスしてます。90%ムリ。あるいは相手の攻撃をすべてジャストガードで切り抜けるという完全な音ゲーとして楽しむことも出来ます。ただ強敵はちゃんと弱点のアビリティを仕入れておかないとほんとロクにダメージも入らない。何十分も戦うハメになる。

 

 けれど実は!このゲーム救済措置があって、時間が終わって、世界が滅びたらまた引き継いで1日目からやり直せます。(イベントの経過はリセットされます)何周もすることが前提になっている、強制周回ゲームなんです。だから2週間でクリアしようなんてのははなっから諦めて宿屋でグーグー眠りまくってOK。急ぐ必要なんかない、急いでも一周目じゃスノウすら倒せない。2周目に備えて野菜などを確保したほうが良い。攻略サイトはこぞってEASYを推奨してますがまったくそのとおり、一周目ノーマルクリアは普通のゲームでいうVeryHardです。ロープレなんだから難易度高くてもレベル上げりゃ勝てるだろって思うのは誤り、ロープレじゃないです。


 とにかくよっしゃわかった、一本道じゃないゲーム作ってやるわ!っていう逆ギレ?wみたいなシステムがあって、なんと魔物を倒し続けると魔物が絶滅します。

 じゃあ取れなかった素材とかレアドロップとかどうなるの??ってことなんですが、たぶん、確率じゃなくて、アイテムドロップは決まっている?のかな?魔物が絶滅するということは、レベル上げやあらゆる強化、も上限が全部決まってるのかしら??手に入るアイテム、ギルの量、すべてだいたい決まってるといったほうがいい。

 すべての魔物を絶滅させろ、みたいなムリだろ?っていうミッションがありますが、隠しダンジョンをクリアするとすべての魔物を絶滅させたのと同じ扱いになるので、本気でラストワンをすべて出そうとしないことです。


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  総じていえることは、たしかに意欲的で新しいものつくってやろう!っていう気合が感じられる作品なんですが、いかんせん、ロープレからレベル、ってシステムをなくすのはやりすぎた気がしますね、美少女ゲームから美少女取り上げてるみたいなもんです。レベル上がらないって思うと、まじでザコと戦う気が失せる、ほんとうに徒労なので(実際にはアイテムとかあるんで徒労ではないんですけど、あまりにも実入りが少ない)、レベル上がらないと思うとこうもザコ戦鬱陶しくなるんだっていう発見があります。だからすでにロープレではありません、まじでゼルダと一緒、武器やアイテムが強化されるだけでゼルダの能力自体はほぼ変わらない。

 ちゃんとよく作られているし、無闇矢鱈にファッション要素が多いし、できることもたくさんあるんですが、ちょっと、プレイ感としては、しんどい、っていう感じが多い。途中で投げ出した人多数だと思います。クソゲー、ではなくて、失敗ゲーですね。ゼルダならまだ時間を笛で自由に操作出来たけれど、これはそれもない、宿屋に止まって時間を動かさないといけずにただただめんどい。


 確かに今までの問題点を全て解決しようとはしてるんです。あまりにも一本道だから自由度を高くする、その結果としてぶん投げたノーヒントワールド、結局たたかう、やっときゃ勝てる、の対策として弱点を攻撃しないと勝てないようにする、ロープレは単調なレベル上げの作業になりがちなのでレベル制度そのものを廃止する。ありきたりな悪の大王がいて、そいつを倒すという物語を変えるために、ぶっ飛んだ世界観、神が敵というストーリーとする。最近のゲームはぬるい、だからノーマルをかなりクリア不能難易度にするなどなど、ユーザの声に耳を傾けてそれを解決しようとしてます

 それによってロープレであることすらも辞めてしまったというわけ。カレーって全部味同じやん、という問題を突き詰めた結果、ラーメンになってしまったのです。

 お約束はお約束でやっぱ大事やん、ってことだと思います。レベル上げは作業だけれど、ロープレを買うヤツってのは多少その作業をやりたくて買ってるとこもあると思ふ。アプリゲームなんてほとんどが単純な作業ですけど、周回ハイみたいなものがあって、苦行を楽しむユーザがかなりいるのが見て取れます。努力が報われるってのが、ゲームの本質だとわたしは思う。

 そしてこの時間経過システムも、アイデアだけとると面白そう!って感じがするんですが、実際プレイすると時間待つのが鬱陶しいだけです。ダンジョンの途中で終わったりするし、常にせかせか動くハメになり、きれいな町並みとか見てる余裕がまったくない。ゲームの中でくらい時間に縛られたくない。それとずっとダッシュをしないと行けないので普通に指が疲れる。はっきりと言えます、ゲーム内時間経過システムは辞めたほうがいいです。これはプレイアビリティが悪い。


 あとストーリーもはっきりいってほとんど意味がわからない。ぶっ飛びすぎてるんですね、これは三部作の最初っからそうだったから今更変更不能なんですけど、世界が滅ぶとか、年を取らなくなって500年が経ったとか、設定があまりにも現実からかけ離れすぎていて感情移入がしずらい。それでも結局は大切な人にもう一度会いたい、みたいなスーパー古典的動機づけしかなかったりする。結局それかい。

 最後はまぁいつもの、人間の絆の力、心の力はまじゴイゴイスー、辛いことがあっても頑張って生きよう、みたいなウルトラベタなことを言う感じなんですが、もうこの世代ってエヴァの影響受けすぎなんですね、全てがエヴァのアングル、誰かが闇に堕ちる、それを手を伸ばして手と手が触れ合って引きずり出す、どれもこれもエヴァで見たカット・・・

 ただ映像はキレイ、これは間違いない。他では見れないスクエアパワー。アニメスタジオなんかよりも桁違いのレンダリング力。人間も自然も建築も、現実よりも美しい、そりゃみんなもう現実なんかやめてゲームの世界に転生したいと思うよね。

ちなみに最後のエンディングだけライトニングが全然顔が変わってたのは・・?これはライトニングが弱い自分を受け入れたからってことなんでしょうか?えっ・・誰??って感じで違う人になってる、10才くらい若返った。わざとそうしたのかしら?