2021年8月16日月曜日

1931 タンタン アメリカへ Tintin en Amérique Tintin in America

  タンタンシリーズ第三作目はギャング時代のシカゴが舞台。第一作がソ連、第二作がコンゴ、ときて、またしても今で言うセンシティブなテーマを選んでおります。


 さらに原住民のインディアンなども登場して、いよいよ、今なら問題有り有りのテーマばっかり取り上げていますね。

 コミックの流れとしては次々とタンタンにギャングが襲いかかり、それをほとんど強運だけで突破するっていう話で、コミックの展開としてはちょっと単調ですね。でも発表されたのが1931年ですから、当時としては最先端すぎるエンタメだったのだと思われます、売上もなかなか良かったみたいで、タンタンシリーズの人気確立に貢献したタイトルだったようです。


 今となって読むと、やっぱこの時代ってむちゃくちゃですよね、20年代30年代ってやつは、あらゆるものがむっちゃくちゃ、だけど張り裂けそうなエネルギーに満ちている、第一次大戦から開放されたっていう喜びもあるし、その負の遺産で死にそうにあえいでる人もおる。WW1が残したものとして、命の軽さってのがあるようです。

 めちゃくちゃ簡単に機関銃で人がばったばった死んでいくのを目の当たりにして、どうせすぐに死んでしまう、っていう刹那主義的な考えになっていったってことですね。だから今日が人生最後の日、みたいなめちゃくちゃさ、がこの時代にはある。


 この時代のアメリカってのはいわゆる黄金時代で、ヨーロッパの没落によって世界の覇権国家となり、なぜか禁酒法を制定し、マフィアが暗躍する、という資本主義の明暗、が非常にハッキリしだした時代です。


 禁酒法についてのロックフェラーの言葉

「禁酒法によって、飲酒はむしろ増加しました。不法酒場がサロンに取って代わりました。犯罪者の巨大な群れが現れました。我々の最高の市民の多くでさえ、禁酒法を公然と無視しました。法律の遵守は大いに軽んじられました。そして犯罪は、かつては決して見えない水準にまで増加しました」


 正しいこと、ばかり言っても誰もついて来ませんよってことです、見返り、がなければだめってこと。酒を飲んでは駄目!ではなくて、酒を飲まない人間にはカネをあげます。これがルールってものです。

 コロナだから外に出ては駄目です、これじゃ駄目ってこと。外に出ない人間にはカネをあげます、これじゃないと誰も守らない。