2024年11月27日水曜日

2020 History of magic 魔術の書 リップスコム DK社

  海外によくある、広くあさーく知識をたくさんのカラー資料で教えてくれる本。

ほぼ本を作る工程の90%が許可取り、みたいな本ですね。文字の内容は薄いけど資料はとても豊富です。


 魔術の歴史を扱った本ですが、昨今の流れもあって、魔術=インチキと非合理、みたいな進歩主義的な見方じゃなくて


 魔術とは、楽天主義、の様式である。


という人類学的な見方で書いておる。


 簡単に言えば、魔術、とか宗教は非合理、愚か、っていう生産性だけしか考えない合理主義だけで見るのは一面的な見方で、魔法はエンタメや精神的安定、コミュニティの成立などに重要な役割があるよっていうわけです。


 数字にならない、部分で、今でも、ずっと力を持っている。宗教、ってのがいかに強力か、ってのは人間の行動を見ればすぐにわかるはず。


 瞑想だとかヨガ、だとかは、向こうの見方では、ニューエイジ、っていう括り方になるようです。こういうニューエイジ、マインドフルみたいなのは、ぐんぐんとその影響力を拡大しておりやす。



 さて、だいたいこういう魔術の歴史、みたいな本ってそのほとんどが、魔女狩りの残酷さ、みたいなのに大半が割かれている。それはそれが魔法の歴史の大部分なのじゃなくて、ただ、魔女として女性が残酷に殺された、っていう話が、読者が好む、からです。

 エロとグロ、が好まれる、からそういう記述が多いだけ。大衆、に合わせると、エログロと誹謗中傷ばかりになる、ってのはSNSを見てみなさんご存知ですし、これは古代からずっとそう。

 大衆が好むものは、コロシアムでの殺し合い、と貴族の処刑。これが大衆の一番の娯楽。


 ローマの悪い皇帝が死刑を望んでる、ってのは大嘘。殺せ!って叫んでるのは大衆、貴族を処刑したがってるのも、ピューリタンの独裁者じゃなくて、大衆が殺せ、って言ってるのであって、皇帝や清教徒は大衆が望むからやってるだけです。


 民主主義であって、民衆が好むなら、それでええやん、ってことですし、その通りでもある。まぁそうすると治安がスラムになってしまうわけですね。


 なんにせよ、魔法、というのは、セカイを肯定的に捉えようとする人間の力ってのはすげー納得ですね。宗教もある意味では同じ。最悪の状況を、逆に神の与えた試練と捉えることで、ポジティブに捉えようということですから。

 魔法や宗教は、陰、のエネルギーととらえられますが、実は陽のエネルギーなのかもしらん。逆に旨いもの食べたい、とかセックスしたい、みたいな本能に命じられるだけの行動が陰、負のエネルギーといえるのかもね。