2022年4月16日土曜日

2004 中国の歴史 ファーストエンペラーの遺産 鶴間和幸

  講談社学術文庫っていうとなんかくだらない本ばっかり出してる会社というイメージがあるのですが、これはなかなか力が入った本です。

  

 中国史のざーっと読める本で一番新しいシリーズなので手に取ってみるのも良いかと。 


 内容は雑多なことを、色々ざぁっと触る程度に書いてる感じです。なんでそこそんな語るの?(西域支配、宮殿の建築)とか、ほんとにさっと触っただけで終わるところとか(董卓についての記述めっちゃ少ない、いきなり現れていきなり殺された)、みたいな感じなのですが、まぁ全部細かく見ていったらそれこそキリがないわけで、ざっとでいいから全体像を掴みたいって人には良いと思われます。

 

 ワタシは史記を呼んでたのですが、当然ですが史記は武帝の時代、武帝についてもほとんど書いてませんのでこれに乗り換えた次第。漢書はなんか読む気がしませんよね、劣化版史記って感じが否めないですし。

 

 

 ワタシはやっぱり、中国4千年の歴史で始皇帝が一番重要な人物だと思いますね。始皇帝の評価はまぢで千差万別、焚書坑儒は最悪の独裁行為とされておりますし、秦がすぐに滅んだことからも、後継者育成を怠ったワンマンであり、不老長寿を求めた晩年はイカれたと思われがちです。

 そうかと思えば、始皇帝こそ、リアリストで合理的、情やコネではなくて、法による支配、法治国家を作った、理想的な君主、哲学王とも言える。 

  ワタシが思うに、一番中国人、というか東洋人っぽくない人間なんですよね始皇帝ってやつは。このタイプの人間ってアジアには非常に珍しい。だから中国というよりも、アジア全体の歴史の中で、始皇帝だけが一番スタンドアウトしています。まぢ特異点。

 始皇帝がいなかったら、本当にアジアの歴史はまったく違ったものになっていたと思いますね。