中国の時代で、飛び抜けて、それも圧倒的大差で一番知名度が高いと思われるのがこの三国志の時代ですね。
正直後の南北朝やら、五代十国、なんて、主要な人物と言っても誰一人わからぬ。次はたぶんモンゴル帝国でしょうけど、モンゴル軍が一体どういうった過程で中国と戦ったのか?という細かい流れ知るものはだれもおらん。モンゴル軍の武将とかも誰一人わからぬ。
三国志だけは小説になり、マンガになりゲームになり、まったく歴史的には重要でない武将クラスまで名前がわかる、夏侯惇だの黄忠だの。
それもやっぱり納得出来るところで、この時代の人間ってのはキャラが立ってますよね、はっきりしてる。やはり三傑というのか、曹操、劉備、孫権、この3人はまったく別々のキャラであり、それぞれに良さがあり、それぞれに弱点もある、非常に魅力的な人物です。
物語の三国志は劉備、諸葛亮贔屓なので劉備ファンが多そうですが、言うなれば、劉備は綺麗事リーダーです、典型的ヒーロー。民衆はなんだかんだでキレイゴトをいう奴が好きです。
曹操は現実主義のリアリスト、合理的で冷酷、始皇帝と同系列のタイプ。結局はこの合理的な判断をするものが勝利するのが必然です、が、このタイプは乱世でこそ能力を発揮する、平和だととにかく嫌われるのですね。有能すぎるがゆえに嫌われるのです。
さらに詩を作る文学的才能もあり、書道の才能もあり、息子たちも有能で曹丕、曹植と文学の歴史の本に残るような才子ばかり。天才の子はポンコツ、というのを裏切って、いかに曹操の遺伝子が優秀かを示しています。
だのにその後の魏は、始皇帝並の速さで司馬家に乗っ取られて崩壊。いかに大衆ってやつが天才を嫌うかってことですね。文学だって!気取りやがって!鼻持ちならないね!ってことです。
孫権、これが実は三国志という物語の核であると思います。孫権は他の二人とくらべて子供世代、若きリーダーであり、呉という南国の国はどこかカラっとしていて気持ちのいい漢が揃っておる。非常にバランスの取れた人間です。孫権のヒゲは紫色だったという話があって、紫のヒゲのやつなんてこの世にいる?ムサラキというよりも色素が薄いタイプだったようですね。アルビノだったのかも。孫権がどういう顔だったのか非常に興味深い。
そして鼎立、という構図も物語として一番面白くなるものです、項羽と劉邦みたいな一対一の構図は、すぐに善と悪、という物語の型にハメられがちです、特にどちらかが勝った場合、必ずこの型にハメられてしまう。そして一対一のタイマンではほぼ100%最初にリードしたほうが勝つことになってます、逆転ってのはあまりない。
鼎立だとまったく世界がことなります、最弱であっても、他と同盟することによって、最強を倒すことも出来るし、場合によっては最弱の勢力が、どちらに味方するか?という決定権を持つことも出来る。
ワタシが思ったのは、カリスマの影響力がいかに甚大かってということですね。三国も、カリスマ的指導者がいなくなるとものすごい速度で腐敗して一瞬で滅ぶ。逆にカリスマがいることで、それに頼りっきりになって自立できなくなってしまうということでもある。良し悪しです。カリスマはステロイド並の劇薬だってことですね。