アレキサンダー大王の伝記小説
アレキサンダーが唯一持たなかったものはホメロス。と文中にある通りです。
アレキサンダーは古代、と現代、を分ける、キリストよりも大事な分水嶺だと思うのですけど、アレキサンダーについてその業績を描写する、作家、がいませんでした。
だからホメロスが描いた、トロイア戦争の英雄たち、アキレウス、オデュッセイア、ヘクトールなどと比べて、伝説になりそこねてる節がある。
シーザーは、自分自身でガリア戦記を書いたことにより、文筆家としても完璧に歴史に名を残している。
人類の歴史の中で、最高の指揮官は?というと、やっぱりシーザーになると思われます、アレキサンダーとシーザー、実質どっちも無敗であり、絶頂期に戦争では無いところで死んだ。この落ち目を見せてないってのが印象値がプラスになりますね。
でもアレキサンダーは、あらゆる点で常軌を逸してました、誰もついていけない、その野望、その武勇、その勇気、超人すぎたのです。最終的にはやっぱり誰もアレキサンダーについていけなくなってしまった。
アレキサンダーは常に戦争でも、最前線で戦ったようです。カエサルはたぶんそこまではしない。
でも不思議とアレキサンダーには攻撃が当たらない、戦争には、こういうのがいるんです、これはオカルトくさいですけど、でも実際にそういう例はたくさんある、部隊は全滅したのに一人だけ生き残る、この戦車だけはやられない、この戦艦だけは沈まない。
でも最前線で戦う奴を、誰も心底からは軽蔑できないもの、自分より優れた者に、対して自然と称賛してしまうものです。知将や参謀は、絶対に全員が尊敬するってことはない、反乱分子は必ずいる。でも本当の勇者は、言葉を超えた存在ってわけです。
しかしこの遠征は今の感覚で言えば、日本から、アフリカの南部とか、南米まで進撃してるような調子ですね。一体ここはどこで、一体何と戦っているんだ!?本当に世界の終わりまで進撃し続けるつもりなのか?そりゃ誰もついていけません。
多分アレキサンダーは、本当に世界の終わりまで進撃していくつもりだったのでしょう。
フビライ、チンギスに関しては、パルティアンアローというほぼチート技ですので、指揮官の実力はよくわからない。
他にも名将と呼ばれる英雄はたくさんいますが、最後には負けているか、自分は実際には指揮してない場合が多い。特に現代に近づくにつれて、指揮官は名目だけの存在になりがちですので。
この作家も、まぁ文章下手ってほどでもないけどうまくもない。普通の老人が図書館で頑張って調べて書いたってだけのことです。
ワタシは現代の小説家ってほぼ読まないのですが、それには理由があって、現代に小説を書いてる時点で、ズレてる気がする。漫画なり映画なり、ゲームなり、もっと手に取りやすいものにするべきでしょう。ドストエフスキーが現代に生きてたら絶対に漫画家になっているとワタシは確信します。
時代、に合ったメディアを選ぶに決まっている。今の時代に小説なんか書いたって誰が読むねんって話しですから。
だから1960年以降の小説家は読みませぬ、もっといえば戦後の作家もかなりきつい。でもギリギリと言うべきか。
この阿刀田高は1935年生まれの戦前派なので、まぁセーフです。
でも古典ばっかり読んでると気づかないですが、古典的作家って呼ばれるような文豪はやっぱ文章が上手いのですわ。下手な人のを読むと改めて気付かされる。芥川はやっぱすごいのだ、無駄がない。太宰はやっぱすごいのだ、文章の長さに対して、内容の濃さが桁違い。
アレクサンダーの戦法はとにかく、突っ込む、電撃戦です。シンプルで直線的ですが、TCGでもわかるように速攻は常に、上位Tierに食い込みます。とにかく相手に準備させるまえに突っ込む、これがすべてなのです。
あとはとにかくアレクサンダーの豪運、天運、としかいいようがない。結局のとこ運がいい奴が勝つ。後からこの戦法は良くなかったとか、こういう理由で勝ったと、知ったようなこと言うやつがいますが、ワタシは全然違うと思う。ちゃんと準備して、いい戦略と才能があっても、運が悪ければ何もできずに負ける。
戦術なんてのは全部後づけです、運さえ良ければ勝てるし、運良く勝てば、素晴らしい戦術ということになる、ただそれだけです。
運が悪いやつは、晴れの日に雷に撃たれたって死ぬ、運がいいやつは、拾った宝くじでも当たります。
戦争ってのはギャンブルです、だからこそ、面白い。自分の運命を確かめるってことなのです。とにかく知りたい、自分の運命を。
アレクサンダーが死んだのは、なんと32才。
なぜかはわからないけれど、長生きが良い、という固定観念を持っている人々が多い。一応仏教の国なのに。自殺を禁止してるキリスト教ならわかりますが。
仏教というか、ヒンドゥー、バラモン教は、ワタシは一番進んだ宗教だと考えていますが、死を受け入れること、が解脱だとしている。なんでこの東洋人のくせに長生きを奨励してるのかわからぬ。
アレクサンダーのように、火のように輝き、燃えるように生きる、これがかっこいい生き方だと思います。
サクラは散るから美しい、それを一番わかってそうなものですけど。