2018年1月15日月曜日

1931 インスマウスの影  shadow over innsmouth H・P ラヴクラフト

 ラヴクラフトという名前はすごい素敵な名前だと思いませんか?

 Lovecraft 、愛の紡ぎ手。みたいなすごいファタンタジー色のある名前です。親はちょっとイタイヤツだったのかもしれません。

 結果、ラヴクラフトは親の狙いを裏切って、ダークファンタジー小説の元祖的な作家に成長していきます。

 わたしはこの手のホラー小説みたいなのは全然読まない人だったのでちっとも詳しくはなかったのですが、ホラー小説というよりはダークファンタジー小説ですね、こういう感じなら結構好きだなと思いました。


 クトゥルフ神話、というコトバを最近妙に目にするようになったのがきっかけなんですね、これはなぜかはまったくわかりませんが、ここ最近、実はクトゥルフ神話シリーズが流行っています、どこで?とか、なんでそう思うの?といわれると答えられませんが、肌で感じるのです、妙にこれが最近来ている、という。

 というわけでワタシもまったくクトゥルフ素人なので、その一応の生みの親とされているラヴクラフトに手を出したというわけ、まだまだこれから探っていく途中なのです。


ラヴクラフトという人物は、病弱で、人付き合いも悪い、ニーチェみたいな人間で、よく文学界なるクズの集まりでは、ポーの劣化コピーだ、といわれてきたようですが、ワタシはこのクトゥルフ神話ってのが、ふかーく探っていくと、一番、RPG、のストーリーってのの源流だと思います。よくD&D、がロープレの元祖で、それを作ったゲイリー・ガイギャックスがゲームの父みたいに言われるのですが、その世界観っていうかノリ、みたいなのはこのラヴクラフト、そしてラヴクラフトとかが描いていたホラー小説雑誌、らへんにあるんだと思っています。

 ファンタジー系のゲームで魚介類チックな敵が多いのは間違いなくこのラヴクラフトの爪痕です。一番印象的なのは、ワタシはやっぱり脳みそを食べるイカ、ですね。D&DにもFFにも登場する非常に印象に残るモンスター。それでも、最近のロープレはダークファンタジー的な要素は薄くなってるかもしれません、もっとポップで、おどろおどろしいモンスターとかよりも、もっともっとカネになりそうなパイオツとケツが重視されるようになってきてます。ワタシはこれは非常に問題ありだと思いますね、エロはエロ、ロープレはロープレ、分けて欲しい。エロははっきり言えばドーピングです、一度ドーピングしたら、もう二度とナチュラルでは戦えなくなる。記録は一時的には伸びるけども、最終的には骨がカスカスになって死にます。あと、脳が溶けてどんどんバカになる。これが今のゲームマンガアニメ業界の姿です。
 そこでダークな要素を取り戻せってことなのかもしれませんね。あるいはもっと硬派なころのものに戻りたい、ドーピングしてないものが見たいっていうのでクトゥルフ神話が最近じわじわキテるのかもしれません。


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 ラヴクラフトの評価が低いのは(世界文学集的なもので一切名前が出て来ることさえないのは)結局そのホラー雑誌みたいなのが、いまでいう漫画雑誌的な立場で、純文学として評価することは出来ないっていう、メディアの格、的な問題だけで語られている気配があります。今で言う、マンガは芸術じゃない、みたいなことを言うのと同じ感じで。



 ただ読者の数や、与えた影響の大きさ、で見れば、芸術よりもいわゆるエンタメのほうが膨大な桁違いの威力を持ってるわけで、カズオ・イシグロと尾田栄一郎、どっちが好き?みたいなことですわね。カズオ・イシグロなんてほとんど誰も知らないじゃん。ワタシは実は知ってたししかも英語で読んだし、それと結構好きなんですがね。それにカズオ・イシグロはどっちかというとエンタメ寄りの面白い作品を書くタイプでもあるので話がブレるんですけど。それにしたってノーベル文学賞を取るやつなんてほとんど名前を聞いたことも無いやつばっかりでしょう、わたしも8割まったく知りません。

 
 ちなみにこの小説はラヴクラフトの生前に唯一単行本化された本であり、ほかは雑誌だけの発表ということで、ラヴクラフトは生前はすごい貧しかったようです。ポーと似てるしあれですね、PKディックも同じような感じです。ガチで新しいことを始めるパイオニアってやつは、だいたいこういう人生だってことですよね。
 何か新しいことを始めたいって思う人はこういう人生を覚悟しろよってことですなぁ。