成立年代など定かではありまえんが、最古の部類の現存する古英語の詩。
英雄ベーオウルフと、グレンデル、その母、そして竜、との対決を描いています。
至極当たり前に悪霊とか、もののけとか、竜とかが、出てきます。全然ファンタジーとして作りました、という気配が無い。当然いるけども、グレンデルっていう化物がね、っていう感じ。
そういうわけで、ファンタジー、の始祖とも言われていて、特に指輪物語の作者はこのベーオウルフの研究者でもあって、影響が特に強くあります。
ファンタジーの源流というと、オデュッセイアがそうなんじゃねぇの?っていう感じもしますが、オデュッセイア、ってすごく謎ですよね。まず完成度が高すぎる、1500年くらい時代を先取りしすぎてるオーパーツみたいに、時代から浮いている。
しかしギリシャ物語が、地中海を舞台としているのと、このベーオウルフが北海を舞台にしてるのでやっぱり色彩が異なりますよね、やっぱり寒くって、ひんやりした感じがある。
温度や湿度ってのは本当に大事で、温度が違うと人間の発想とか考え方が変わってくる。
この詩は、英雄を褒め称えてるけど神様も称えるという、ごっちゃごちゃになっています。神がいるのに平和を求めない、神の助力を受けて、戦おう、というギリシャ神話とキリスト倫理観がないまぜとなっています。
復讐、ってのが裏テーマになっていて、グレンデルの母親もそうですが、つねに復讐、裏切り、に気をつけよ、というメッセージにあふれている。それほど、復讐、怨恨ってのが重要な問題だったのでしょうね。
今でもそうです、恨み、過去の歴史、禍根、そういうのが結局キリが無い。この詩では、お宝をやるので以後復讐はするな、みたいなことをやってますが、今も昔も変わりませんね。結局カネかよ。
でもどうせカネを渡したところで、やっぱりまた復讐をするもの。結局のとこ、復讐ってのは終わりがない。
それとことあるごとに、物惜しみしない、宝を分け与えた、ということが強調されています、それが賢人のふるまいだと。宝を独り占めしない。これもまったく現代でも同じで、カネをみんなに分けろ、独り占めするな。アダム・スミスもそんなことが言ってましたが、いつの時代もそんなことが出来る賢いやつはいません。最後には、悲劇が起きる、という予言でいつも終わるものです。