2022年1月11日火曜日

1980 -2014 アンカル incal ホドロフスキー メビウス

  知る人ぞ知る、バンドデシネ界の超カルト作品。


 ホドロフスキーは、有名なカルト映画監督。メビウスはわかりやすくいうと、フランス漫画界の宮崎駿的ポジション、超大物です。

 

 その二人がタッグを組んで、DUNEの映画化をしようとしたのですが、予算が集まらずに失敗(そのDUNEが昨年映画化されました、でもホドロフスキー原作のものではないようです)、その失敗したアイデアからコミックとしてリサイクルされたのがこのアンカルというコミック、内容はDUNEとは全く関係無い。

 

 はっきりいいますと、内容はハードSFで、めっちゃくちゃです。たぶんですけど超不定期に4ページくらいずつ連載されるっていう体裁で出ていて、完結までなんと 30年以上経過しています。メビウスの作画スタイルもめちゃくちゃ変遷を遂げてます、当たり前ですが。

 

 話はとにかくめちゃくちゃで、全く繋がってなかったり、意味不明なことばかり。ホドロフスキーが、夢をそのまま物語にしたっていうように、本当に夢に見たことを無理やりつなげてるみたいなお話、ただそのむちゃくちゃな物語を、メビウスの天才的作画で作品へと昇華してるという感じです。

 

 メビウスの作画は、とにかくスケール感、を出すのが上手で、絵で空間が見えるってのは絵がうまい人の典型的な才能。宮崎駿の作画スタイルはメビウスから影響を受けたもの、特に漫画版ナウシカの描き方はメビウスそのもの、ナウシカに妙に宮崎駿らしくないSF要素があるのはメビウスから来てるのですね。これはワタシが勝手に言ってるのではなくて本人が語ってました、メビウスージブリ展、っていう展覧会もやってましたし。

 

 80年代ってのはそういうハードSFの時代だったのです、すぐに宇宙の破滅とかすべてを救う善なるもの、とかが出てくる、PKディックなどの時代。

 

 

 はっきり言うと面白くはないのですが、マンガ、の作画ってのを学ぶ上では古典とも言える作品、漫画好きは読むべき本です。 構図のとり方が一気に変わると思ふ。

 ワタシは英語版読みましたが日本語版も出てるみたい、ただし、カラーリングのバージョンが何種類もあるので(これが海外コミックと日本の違い、海外はアニメを作るみたいに分業でコミック書くので、レイアウト、作画、カラーリング、ストーリー、と別の人がやってることが多い)好みのものか注意が必要。