2022年8月21日日曜日

1985  ケンブリッジのエリート達 リチャード・ディーコン

  ケンブリッジの有名な秘密クラブ、使徒会、の歴史についての本。


 ケンブリッジには使徒会、あるいはソサエティ、という超有名な秘密クラブがあって、エリート中のエリート、有名人が多数在籍していました、ケインズ、ラッセル、ウィトゲンシュタイン、ヴァージニア・ウルフの夫のレナード・ウルフなどなど枚挙にいとまがない・・・


 この本問題もありありで、時代的なものなんでしょうけど歴史を描いてるっていうよりは、この作者の言いたいことを言っているっていう、悪い歴史本のやつです。歴史で事実を述べてるように見えて、実は作者が言いたいことだけピックアップして神話を作ってるっていうやつ、だから注意して読むべし、でもそういうとこが80年代の本っぽいという気がしますね。

 本の半分以上は、共産党、というかソ連との関連の話ばっかりでして、筆者ははっきりと反共産主義です。現在、共産党シンパなんてほぼいるわけないでしょうが、80年代はまだまだ右か左か、みたいな話をしていたわけですね。


 思想とか哲学とかいうものは一切無くなった、それはたぶん90年代ぐらいですかね、やっぱりネットが、学問、みたいなものを全部ふっとばした。

 情報革命と共に、教養、学問、みたいなものはなんの得にもならん、ということをインターネットが暴露したって感じです。

 結果的に残ったのは、「何が利益になるのか」、このただ一つの判断基準だけが残ったという気がします。一番効率がいいのは?何が手っ取り早くカネになるのか?基本的にはこれだけです。

 戦争とか争いとか、ごちゃごちゃ言ってますが、誰一人理想とか思想みたいなものはない、こういうふうに世界を良くしたい、みたいなものは何もない。ただ単に、石油がいるから戦争する、資源が欲しいから戦争する、生きるためには働かないといけない、利益、になるなら何をしてもよいし、利益にならないことは何もしない。利益にならなければ続けられないし、利益を出さなければ存続出来ずに生きることも出来ない。

 

 そしてそれはそのとおりなのです。カネ、というのも含めて、つまりは暴力。

最近の人にわかりやすいコトバでいうと「結局物理」。これが、学問、のたどり着いた究極の真理というわけ。そんなの動物にでもわかってた話。