2023年4月14日金曜日

世界の歴史 10 西ヨーロッパ世界の形成 中央公論社

  中央公論社の世界史シリーズの中世の巻。


 わけあって中世を調べ初めていますが、中世暗黒時代、に関する本はすげー少ないですし、内容もざっくりしたものが多いです。


 この本も中世1000年の歴史を一冊本にしてるわけで、内容はざーっっとしてますし、時系列にもなっていないですし、作者の得意なトピックをささっとなでているだけって感じですね。


 まずはじめから1000年もの時代を中世、って一括りにしてる時点でめちゃくそ無理がありますわね。


 暗黒時代、と一言でいいますけども、1000年間ずっと愚劣で野蛮な時代だったわけではなく、二段階あるといえます。


 まずローマが蛮族の侵入によって滅びてから、フランク王国が成立するまでの476~800年くらいまでの時代。まさにこれぞ暗黒極まれりっていう時代で、ローマという大帝国、文明が滅びて、文明が衰退した時代です。

 文明が衰退するってのが想像しにくいですけどね。文明が衰退する!?このまえまで出来ていたことができなくなるってことです。愚かになっていく、すごい時代やで。


 ほいでそっからフランク王国と神聖ローマ、とかが固まっていく時代800~1300年?あたりまでは、わりかし平和な時代でこの時代に少しずつ都市とかが発展していく時代。

 ですがそのあと、寒冷期が訪れ、黒死病がまん延、人口の三分の一が死滅し、暴動、魔女狩り、迫害、陰謀、貧困で死にかけの農民、痴愚神礼讃、っていうネオ暗黒時代、いわゆる、ダークな中世の時代が訪れることになります。


 人口の三分の一が死滅 してるってことは、黒死病にかかった人間はその倍以上いるとみていいわけで、まぁ70%は病気になったと考えられます。


 そしてこれが大航海時代へとつながるわけですね。どうせ黒死病で死ぬだけなら、冒険に出て死んでも同じやん。冒険に出て死ぬ確率が70%でも、ヨーロッパにいて病気になる確率も70%なら、まだ冒険に行こうってことなんですね、まさにピンチをチャンスに。


 学生の頃、なんで中世の人間はそんな命がけの冒険にいけるのだ?どっからそんな勇気が?宗教的情熱ってやつ?それを欲望と略奪を目的、としてる人もいますが、そうじゃなくて、冒険ではなくて逃亡、と考えるとすんなり理解できる。

 ワタシだってどうせ死ぬなら、病気よりも冒険を選ぶ。西洋がこのあと、世界を制圧していくわけですが、全ては、黒死病からの逃亡劇だと思うと、非常におもろいですね。

 しかし人口の三分の一が死滅 


 ってえぐすぎますね、戦争なんて疫病にくらべたらほんの些細なことでしかない。そりゃそれまでの価値観とかそういうものは木端微塵に消し飛びますわ。すべてがひっくり返る、天変地異、です。