2024年7月4日木曜日

2013 SHORT PEACE  サンライズ

  サンライズが作った、ショートアニメのオムニバス作品。


4作品収録されております。


 サンライズってこういうことする会社だったかしら??


 大友克洋みたいなビッグネームも参加しております。


 三本目はつまんないですが、ほかは結構気合を入れて作られております。


まぁでもどれもクセが強いかもしらん・・・。


 オムニバスアニメってなんでかしらないけど少女が夢見る系とグロアニメ、あとSFってのが多い、短い尺でなにかやろうとするとそうなるらしい。


 作画の3DCG化が進んでいて、特にメカのパーツ数が多い大友克洋みたいな作風は3DCGだと非常に楽ですわね。

 ただやっぱ3Dに、量感、っていうか力感を乗せるのは難しく、人の表情みたいなのはもっと難しい。

 あといかにも編集で作りましたっていうカメラの手ブレはとにかくみずらいだけなのでやめたほうがいいってことがわかりました。


 短い作品なので、興味がある人は是非。

・・・これ採算とれてるのかしら??


 

2024年7月3日水曜日

-250? 韓非子

 韓非 という法家と言われる思想家が、いわば、春秋戦国時代の思想を全部集めて分析したみたいな本です。


 春秋戦国時代は中国思想の最盛期、たくさんの思想家が、たくさんの思想を生み出した。時代は乱世、どうすればいいのか? という答えを探す、壮大な社会実験、開拓時代だったと言えます。

 ご存知始皇帝がその時代を終わらすことになりますが、始皇帝はこの韓非の法治思想に影響を受けたとか。


 殆どは君主論です。君主は国をよくおさめるためにこうすべき。ということ。


アリストテレスの ニコマコス、とはまったく違いますね。東洋思想は、まず君主制、これはもう疑問の余地なし。ほかの政体があるなんて考えられない、という感じ。

 君主制は前提として、君主はどうしたらいいか?という思想なんです。


 なんでそうなったのかは結局わからぬ。古代ギリシャ以外には、民主政は生まれなかった。


ほいでこの君主論の結論は簡単には


君主は何もするな

厳罰厳刑 とにかく法を守らないものは全て死刑にすべし


 これに尽きます。君主は何もせず、法律、に統治をさせよ、ということ。君主が天才であったとしても、君主がすべてやってしまった結果、名君と呼ばれた人物のあと、ことごとく国が滅んでいる。天才の独裁は、周りをすべて阿呆にしてしまうからです。

 また民を慈しんで優しくすれば、民は感謝するどころかつけあがってあなどるようになる。これは官僚も同じ。情をかけると裏切られる。


 儒学は、仁義慈愛、の道だといいますが、それを韓非子は否定する。

 仁義とは貧しい者や弱いものに施すことであるが、それは何もしていない人間に賞を与えることで、法に背く、また慈愛は罪あるものの刑罰を軽くすることであるがそれも法に背く。

 かならずなにかを与える時はその人の功績に等しくすべきで、刑罰は絶対に軽くしない。罪あるものはかならず厳刑に処す。

 

 現代の社会も一応表面上は、儒学です。それを韓非は厳しく批判してるというわけ。これこそまさに自由な思想ってことですね。今韓非みたいなことを言ったら大批判をくらいますが、その言、まさに傾聴に値すべしって感じです。韓非が批判したようなことがまさにおこっている。

 つまり韓非の言うことは、貧者は見捨てて、罪人は殺せ、ということ。それで国家はよくなる、まさに然り。国家を救うにはそれしかないですが、全ての人間に嫌われることになる。

 つまり合理主義、と言えます。


 でも全体主義とも言えます、すべての民が国家の為に行動しないといけない。法家的には世捨て人や隠遁者も死罪となっております、国家の役に立たない人間はすべて殺すべし。たしかに国家をどうすれば強くできるか、それだけを合理的に考えればその通り。


 さて、ではその結果どうなったかというと、天才、始皇帝の死後、秦は法律に厳格すぎて無慈悲だ、というわけで一気に反乱が発生、あっという間に秦は滅ぶことになる。

 

 その反乱のきっかけになったのは、陳勝という人が、徴兵されたのですが、悪天候でその場所に間に合わない。徴兵に間に合わないと死罪なので、どうせ死罪になるなら、反乱を起こそう、ということになり、この反乱がどんどん大きくなって秦は滅ぶことになる。


 というわけで、法を厳しくしすぎた結果、どうせ死刑になるなら、反乱を起こすべし、というモラルハザードが起きるわけですね。それでも反乱者を殺し続けていったら、結局どんどん民が減っていってやはり破滅することになる。

 

 つまり法治国家、は大失敗だったという結果になりました。


 この千年にわたる、戦争の時代、わかったことは、国家をずっと繁栄させる方法なんてない、すべてのものは必ず滅ぶ。ってことじゃないでしょうか。


 事実、この韓非自身も、始皇帝に気に入られますが、他の側近に恨まれて殺されることになりました。

 韓非はそのことも予見していて、法がよく行われれば、国は富強になるが、富裕層は賄賂がもらえずに恨むし、民衆は真面目に働き、兵役を努めないといけないので憎む。法律はすべての人間から憎まれる。

 

 ワタシは秦や法家のやりかたが、極端すぎたんだという批判は違うと思う、たとえどうやっても、始皇帝は天才で、その子は阿呆だったので、どうしようもない。結局は個人の器によるもので、天才の子がずっと天才という血脈になることはないので、ようするにはただの運、逆らえないものだと思われます。


 この本、というか韓非の褒めるべきところは、当時でさえ、すでに聖人とされていた孔子を真っ向から批判したところですね、たぶん当時ですら、こういう人間は珍しかったのではないでしょうか。

 韓非の言ってることが間違ってるとかいうのは愚か、だって2200年前の本なんですもの、すべてが正しいわけない。韓非も言ってます、時代や状況が変われば、正しいことも変わる。

 なんにせよ、権威や権力に屈しない、気概、みたいなものを持っている、真剣に国家を強くしたいと願ってるのも疑いない、これだけは確かです。こういう気骨と情熱、を持ってるだけで貴重な人材です。


 ちなみに韓非は吃りで口がきけなかったとのこと。つまり自分はしゃべらず、ひたすら人間を観察していたというわけ、それが韓非の人間を絶対に信用しないという原理にあずかってるのでせう。