有名だが、誰も原作を呼んでないシリーズでもトップに入るであろうこの小説。
これはもはやあるあるかもしれませんが、フランケンシュタイン、は怪物を作った青年のほうであり、怪物、には名前すらありません。
ですが、怪物、はフランケンシュタインが怪物、と呼んでいるだけで、怪物を、モンスター、だとしてるのは彼を受け入れない人間たちの意見であり、モンスターは最初は人間と友好的に付き合おうと手を差し伸べたのですが、ことごとく拒絶されて、本当のモンスターになっていくのです
このモンスターは、言葉もしゃべれるし、ミルトンの「失楽園」を読みこなすほどの知性を持っている、つまるとこ一般の人間でもかなり上等と言える知能を持っている。さらに生命力なども高く、過酷な環境でも生きていける。
ただ一つ欠点があって、それは巨大でいびつで醜いということ。
実はものすごい深い話で、やっぱりなんで人造生命を作るにしたって、醜く作ったのか?っていうフランケンシュタインの落ち度があります。
これが美しい美少女として作られていたら、中身が同じでもまったく違う物語になっていたはず。
フランケンシュタインは自分で命を生み出したのに、それが醜くて拒絶する、という、ペットを捨てたり、育児放棄するような、現代的人間。 それなのに自分には落ち度が無いと思っており、一つも悪いことをしてない、あんな命など生み出さなければ良かった、あれはモンスターだ。と本気で思ってるのです。
だからやっぱりフランケンシュタイン、こそがやっぱり本当のモンスターなのだとも言える。
すごい重いテーマなんですけど、それでも卑近なテーマにすれば「ルッキズム」ようするに見た目、による差別、ってのがワタシはでかいと思いましたね。
色々と根深い問題があるのだ・・・と世界を難しく考えることもできるのですが、ワタシは世界はもっとくだらないと思っていて、差別って結局は見た目だと思っている。
ようするに見た目が気に食わない、それだけなんです。自分より美しかったり、可愛かったりする存在を差別することなんて出来ないです。
猫は可愛く、ゴキブリは殺される、そういうことなんです。
小説として、文章として面白いかどうかはわかりませんが、この時代にこのテーマ、恐ろしく根源的でありながら、時代を先取りしまくっている、これは名作として間違いないでしょう。作者が女性ってのもポイント。
このメアリー・シェリーっていう、女性、の人生もドラマチックすぎる、まさにロマン派っていう来歴の持ち主で非常におもろい。