ファッションデザイナーであるアレキサンダー・マックイーンの半生を描いたドキュメンタリー。
アレキサンダー・マックイーンって、あまりにも英雄みたいな名前、親の自信というかエゴが見えますね。日本なら信長とか景虎、みたいな名前・・・
ファッションに詳しくなくても、パリコレでいろんなファッションショーを目にして、ぶち抜けてすごい才能がいる、ってのに気づくと思います。
まず、ガリアーノ、これは次の機会に。ほいで、マルジェラ、そしてアレキサンダー・マックイーン。この三人がもはや現代のファッションの伝説となっていると思います。
ガリアーノはユダヤ人批判をしてファッション界から追放、マルジェラは引退、マックイーンは・・・・・
自殺。
これが現代のモードの風景というわけ。
まずファッションショーってなんかふざけた衣装、誰が着るねんっていう服、そして乳首丸出しってイメージがありますが、ふざけた衣装は別として、乳首丸出しになったのはまず間違いなくこのアレキサンダー・マックイーンの功績といえます。
過激でエロティック、そしてめちゃかっこいい。
アレキサンダー・マックイーンはワーキングクラス出身、親はタクシードライバー、失業保険で生地を買って服を作っていたのですが、卒業制作のコレクションをイザベラ・ブロウ(イジー)というVogueのエディターが大金ですべて買い取ります。
(この失業保険を受けていた失業者からスターへ、ってのがOASISとまったく同じストーリー、90年代イギリス、クソみたいな不況であり死ぬほどクリエイティブな時代だったのですわ、日本と同じ)
イジーがマックイーンのパトロン兼愛人、みたいな関係となって、アレキサンダー・マックイーンをスターダムへと送り出す・・・。
ほいで27才でGivenchyのデザイナーへと突然抜擢。
このGivenchyってのブランドがすごくて、その前があのガリアーノでした。ずっとジバンシーその人がデザイナーだったのですが、その後釜にあのガリアーノ、そしてマックイーンを抜擢した。それまでのジバンシーってあのオードリー・ヘプバーンとかが着るような服だったのにです。
これはなんでしょう老舗の京都の着物メーカーがいきなり20代のヒップホッパーをデザイナーにするみたいなぶっ飛んだ人選。
ファッション業界なんてフェイク野郎ばかりだと思われがちで実際そのとおりなんですけど、やはり本物、もいるんですね。
一気にファッション界のスーパースターになったマックイーン、そうなると当然パーティーとドラッグ漬けの日々・・・
これはそういう時代だったってことです。金持ちになったら、みんなコカイン漬けになってしまうのですわ。まともではいられぬ・・・
もちろん幼少期には虐待を受け、もちろんバイセクシャルで、HIV Positive、母親の葬式の前日に、アレキサンダー・マックイーンはRIP。
まさにこの時代って感じの人生。90年代のスーパースターの終わり。
本当の世紀末の終わりが2010年頃だったんだなぁと今になって気が付きましたね。そしてその次に来たものはなにか??
もちろんアレキサンダーのフォロワー、ただ過激でエロかったらいいんだろうみたいな、劣化コピーみたいなデザイナーがたくさん続いた、その次は
AI生成による糞の山でした。
このAI生成のゴミ溜めの中から新たな才能が生まれるのか、それとも2010年に、本当に、ファッションというか人間のクリエイティビティは終わってしまったのか、果たしてってところですね。
今のところ、 AIは非常に悪い影響しか与えてませんが、すべてをひっくり返してくれる天才が現れるのかもしれないし、本当に人間の知能は衰えて衰退していくだけなのかもしらん。