2015年2月12日木曜日

the art of movie storyboard Fionnuala Halligan


  海外映画のストーリーボード、日本でいう絵コンテを紹介する本です。他のヒトのレヴューを見るに、絵コンテなんてほんの少ししかのってねぇじゃねぇか!って怒ってましたけれど、けどたぶんそれって絵コンテを描かないヒトの意見ですね。
 別に絵コンテってのは全部見る必要は無いです、まぁ見れたらいいにこしたことは無いけど、だってそれは映画自体で確認すればいいですやん。
 それに大量に収録したところで、日本のアニメみたいに初めから最後まですべて絵コンテを作ってる場合は少ないし、カメラワークが簡単なダイアローグのシーンとかはまぁ絵コンテ不要です、だから全部並べたとしても、まず時系列になってないし、繋がりも無いってのがほんとのとこです。



本編ではカットされた、とか実現不可能だった、というのはCG全盛の今ではまぁ無いんですけど昔はそれはありました。けどそれは絵コンテのミスです。出来ないこと、けどそういう演出がしたかったという本当の意思を見たい、っていうのは、なんでしょー、それも含めてプロダクションの力量ですからね。出来もしないこというな、時間の無駄、って感じです。

 映画の仕事の100%は資金集めです、まずそっからスタートしないと始まりもしないから。映画の芸術の部分ってのは200%の部分。



 Iが思うに映画ってのは減点方式の芸術なんですよね。まず台本で100点、絵コンテで5点マイナスで95、資金繰りに失敗で50、俳優が大根で20、ポストプロダクションで破綻して5点、みたいな感じで、どんどんコラボレートして良くなってくってのはまず無いです、そんな奇跡は起こらない。デモクラシーじゃないんです、どれだけ最初の持ち点を守っていけるかってものです。俳優が自分の想像よりもいい仕事するなんてことはまず無いですから。
 映画はみんなで協力して作るってのはキレイゴトだと思います、みんなで協力するってよりは、天才っていう独裁者の青写真にみんながどれだけ近づけるかっていうスターリニズムです。



 話を元に戻すと絵コンテの、描き方、さえわかれば十分です。描き方ってのはつまりどういう絵コンテシートだとか、素材だとか、画材だとか、極論2シーンだけでも、描き方ってのはわかる、あぁインクとペンね、木炭ね、陰影法はクロスハッチね、ベタ塗りね、水彩と鉛筆ね、あとキャラクターの描き方(どのくらいデフォルメするか、ただ顔の向きだけ書くか)背景の描き方、色の選び方・・・
 それだけわかれば、それを当てはめてコピーするのはたやすいです、映画からさかのぼってこういう絵コンテか、っていうふうに。

 Iはぱぱーと流し読みましたけれど、明らかにダントツで1人上手いのはメンター・ヒューブナーです。Iはそのヒトを知りませんでしたけれど、やっぱし超有名なヒトみたいですね。圧倒的にこのヒトだけ上手い、現代の映画、ってのも紹介されてますけれど、そっちは空間、が無い。書き込まれていたりカラフルだったりするのですけど、画がベタっとしてます、絵が上手いってのは写実的に描けるってことじゃなくて、空間描写が上手いってことです。それってでもほんと生まれ持ったものでして、空間力ってのはあまり努力で伸びるもんじゃないんですね。


 その空間力を持ってた稀有な才能人は宮﨑駿だったのです、だった、のです。ルパンのテレビシリーズの2つ、カリオストロ、ナウシカ、ラピュタ、耳すまでは圧倒的でしたのに、この本はジブリからは権利とれなかったのでしょうねー。ラピュタなんて空間描写以外には殆ど何の内容も無い映画なのに。まさに絵コンテの教科書みたいな映画なのに・・・。


 追記ですけどディズニーの初期、たぶんファンタジアまで、のディズニーは最高だっていう、まぁそういう信念をお持ちの方、いらっしゃいますけど、あれはでも世界恐慌で、才能が有る人間をほぼタダ同然で大量にスカウトしてきたから出来たもので、そんなん景気を良くするには他の二国を戦争させて漁夫の利を得ればいいんだよ!第二次大戦でアメリカがやったみたいにって言ってるようなもんです。ある種完全な裏ワザですからねー、ウォルト・ディズニーってのはえげつないビジネスマンです・・・