2015年2月15日日曜日

walk on wild side Lou Reed 和訳 解説


まず和訳からいきましょうドン。

Holly came from Miami, F.L.A.
 ホリーはマイアミ、フロリダからやってきた(FLA というのはFlorida の略名でアメリカという国は何にでもこの三文字アルファベットの略称があるんです、NBA、MBAみたいに)
Hitch-hiked her way across the U.S.A.
ヒッチハイクでアメリカ中を走り回った
Plucked her eyebrows on the way
 眉毛をピンとさせて
Shaved her legs and then he was a she
すね毛を剃ると女の子に変身
She says, "Hey, babe,
Take a walk on the wild side."
 Cは言うんだ、ねぇねぇ、危険な道を歩こうよ
Said, "Hey, honey,
Take a walk on the wild side."
 言うんだ、ねぇねぇ、危ないことしてみない?

Candy came from out on the Island
 キャンディーは島国から飛び出して
In the back room she was everybody's darling
楽屋でもみんなの恋人だった
But she never lost her head
Even when she was giving head
 けどいつだって正気を失わなかった、フェラチオしてるときもだ
She says, "Hey, babe,
Take a walk on the wild side."
 Cは言う、誰も歩いたことの無い道を歩こうよ
Said, "Hey, babe,
Take a walk on the wild side."
 Cは言う、ワイルドな方の道を歩こうよ
And the colored girls go
"Doo do doo do doo do do doo..."
 そいで黒人のコーラスは歌う Doo do Doo...

Little Joe never once gave it away
Everybody had to pay and pay
リルジョーは金を払ったことはない、いっつもみんなが支払いをする
A hustle here and a hustle there
どこでも問題を引き起こして
New York City's the place
Where they said, "Hey, babe,
Take a walk on the wild side."
NYっていう場所は人々はこういうんだ
なぁ、踏み鳴らされてない道を歩こうぜ
I said, "Hey, Joe,
Take a walk on the wild side."
Iは言うんだ、なぁジョー、面白いことをやろうぜってさ

Sugar Plum Fairy came and hit the streets
Looking for soul food and a place to eat
 シュガープラムフェアリーはNYに来てストリートに出た、ソウルフードと何か食うものを探してね
Went to the Apollo
You should've seen them go, go, go
 アポロ・シアターに行ったら、奴らがトリップしてるのが見れるよ
They said, "Hey, sugar,
Take a walk on the wild side."
 彼らは言うんだ、なぁシュガー無茶しようじゃないか
I said, "Hey, babe,
Take a walk on the wild side."
Iは言う、ねぇお嬢ちゃん、ハメを外そうじゃないか
All right, huh
 オーライ

Jackie is just speeding away
Thought she was James Dean for a day
 ジャッキーはいっつもアクセル全開、一日ジェームス・ディーンになった気分
(ジェームズ・ディーンは自分のスポーツカーをぶっ飛ばして事故死)
Then I guess she had to crash
Valium would have helped that bash
 IはCははいつかクラッシュするだろうと思った、でもそれはバリウムで対処することが出来るだろう
(これは二通りにとれます、ジャッキーがたぶんヘロイン、でトリップしていつか死んでしまうだろうからその中毒をヴァリウムでなんとか止めれるだろう、ってことと。ジャッキーがクラッシュして死んでしまった悲しみも、ヴァリウムでなんとか誤魔化せるだろうっていうドライな発想です)

Said, "Hey, babe,
Take a walk on the wild side."
I said, "Hey, honey,
Take a walk on the wild side."
And the colored girls say,
"Doo do doo do doo do do doo..."

 繰り返し




 英語がわからないヒトには、ワイルドサイドを歩こうぜ、ってのはポジティブな感じのメッセージの歌なんだろうなー、という感じがすると思いますが、実際はまったく違うわけでもないけどもっとえぐいブラックな歌です。


 この歌に歌われている人々、ホリー、キャンディー、ジョー、シュガーは全員実在してる人間で、全員すべていわゆるアンディー・ウォーホルスーパースター、と言われている人々です。アンディー・ウォーホルスーパースターってのは非常に簡単にいうと、ウォーホルの囲ってたゲイのグループです。ウォーホルはゲイでしたので、何人もファクトリー、と名づけたスタジオで、ハーレムを作ってました、ルー・リード自身もそのファクトリー、の一員です。ホリーは、いわゆる日本でいうニューハーフの男娼で、カラダを売ってヒッチハイクをしてたってわけ。
 めちゃくちゃだ!って思うかも知れませんけどアメリカ、っていう国には、オトコの娼婦、ってのはゴロゴロいくらでもいます。その実情を知りたければリバー・フェニックスが出てた映画があったので見てください。キャンディーはいわゆる性同一性障害ってヤツです、でみんなのセックスフレンドでしたと。ジョーはジョー・ダレッサンドロのことで、当時のゲイのポルノ業界のスーパースターです、イメージ検索すればなるほど、と思うはず。超絶イケメンです。
 シュガーは典型的ドラッグクイーンでして、本当に若くして死んでしまいました。まるでジェームズ・ディーンのように、っていう予想どおり。

 そんな愉快な仲間たちがNYに集まってくるのを描いた曲なのです、

 ワイルドサイド、を歩こうぜ。


 はそういうわけでも、当時のグラムロックというか、アンダーグラウンドのテーマソングみたいな曲です。


 歌詞はそういうわけでヒジョーにきわどい内容ばっかりなんですけど、曲調はひじょーにリラックスというか、気持ちいい明るい曲です。プロデュースはデヴィッド・ボウイなので、LOUの曲にしてはかっちり作りこんであるな、って気がすると思います。この時代のすごいなこの曲、ってのにはほとんどボウイが絡んでるのですよね、一時期のフィル・スペクターとかジミーペイジみたいな感じ。
 
 なんとこの曲ってベースが二本なんですね、ダブルベースとエレキベースが二本入ってるのに気づきました?ツインベースの曲なんて超珍しいですけどそれがこの曲の独特の空気感をもたせているのですね。



 ともかくこの時代、もう一つの革命、性の革命ってのを担ってたのが彼らスーパースター、の人々だってことです公民権運動で黒人の権利が戦われた後に、最後の前線として残った、セクシャルマイノリティの人たちの戦いだってわけ。
 日本なんかでも今でもゲイはいいとして男娼、なんてのはウルトラタブーですけどね。Iは男娼だ、ってカミングアウトしてるヒトは見たこと無い、あとビアンをカミングアウトするひともほぼいない。


 そいでも
ワイルドサイド、誰も歩いてない道を選べ、ってのは不滅のメッセージですよね。