ポーの短編小説で、いわゆる生き埋めモノの始祖的な作品。火葬するタイプの国からするとあまり理解しづらいテーマですが、キリスト教とか、死者復活系の文化のところには常に刺さるテーマみたいですね。
ポーという作家は、新たなジャンルをたくさん生み出した、ジャンル自体の創出者として他にいないくらいのパイオニアです。
まずこの小説にもあるようなホラー小説、そしてルーモルグの殺人のような探偵小説、スリラー小説、サスペンス小説、そして象徴派風の詩。
こんなにたくさんのジャンルを生み出した作家は他にいないんじゃないですかね?本屋の棚を見ると、ほぼポーが生み出したジャンルは、今では小説の三分の一は確実に占拠している状態。
純文学は全体の5%以下かさらに少ない、ファンタジー小説は戦後にかなり勢いを伸ばして、いわゆるラノベみたいなのもファンタジーに入れると25%くらい、歴史小説、SFが10%くらいずつ、あとは官能小説とか、どうしようもないクズみたいな小説(恋愛小説のことね)、がちょこちょこあるって感じです。ちなみにポーはややSFチックな作品も書いています。
いわゆる文学賞的なものも今では純文学っぽいのは少なくてほとんど、サスペンス小説をちょっとこねくり回したものがほぼ全てです。
純文学って何なの??っていうとこれはもう終わりなきBGMで結局はっきりとした答えはないんですけど、ワタシが思うにはつまりはリアリズム小説のことなんじゃないの?って思います。カミサマとか魔法とか魔物、殺人鬼とかが出てこないやつ。殺人鬼は実際にもいるじゃんって言うでしょうけど、そんなの一億人に一人くらいの確率でしか存在しません。そんな超特異な性質の人間を主人公にしてるのはやっぱリアル、ではないんじゃないの?って感じです。
ワタシはホラーっていうジャンルがすごい苦手で、なんでわざわざ怖い思いをするのに時間やカネを使わないといけないんじゃ、って思うタイプです。でも探偵ものとかサスペンス系は結構好き。
それでもやっぱりワタシが一番すごいって思うのは象徴派的な詩まで作ってるところですよね、いわゆるこういうホラーとかやたら黒が多様されるジャンルの人間で、詩までこなすってのは特異な才能ですよね、だからホラーとか苦手やなぁ・・・とかなんか重い、暗いっていうのが苦手なヒトにも刺さるように小説も作られています。構成力というのか、書き方、っていうのもかなり独特で19C前半の人間としてはどう考えても早すぎる、時代の先を行き過ぎてます、生前はかなり貧乏だったというらしいのですがさもありなん、図抜けて優秀すぎて周りは一切ついてきてない感がすごいです。