2017年12月8日金曜日

1909 永日小品  夏目漱石

 短編というかエッセイみたいなものを色々に織り交ぜた作品で。

 夏目漱石っていう作家は、何が言いたいのか、というのをはっきり言わない作家です、どういうことなの??っていうのを読者に委ねる。突き放したようでもあり、ミステリーや謎解きになっているともいえます。一体この作品は何がいいたいのか?っていうのを考えながら読まないといけないから、読み手を試しているようで、なかなか・・おっおれはわかったよ、こういうことだろ??っていうのに勇気がいったりします。他にこういう書き方をする作家はあまりいません、独特のスタイルなんですよね。

 イギリスに留学していた頃の昔話がかなり書かれているのですけど、やっぱり20世紀初頭ごろのイギリスに日本人が、しかもあの夏目漱石がいるってのはすごく妙なアナクロニズムみたいな感じを受けます。あの乗合馬車と霧のホームズが走り回っている頃のロンドンに、日本人の学生が詩とシェイクスピアを学びに来ているというのは、脇役として登場したらとっても変な感じですよね。

 戦前という時代は実はものすごく現代よりも先に言ってるというか残心だなぁおいっていうものがあったりします、戦前のほうが前衛的だったって気がかなりする。挑戦的なエネルギーに満ちています、ファッションなどを見ると、戦前のモードファッションってのはすごい。セカイ全体が持っているエネルギーってのはもぉパンパンに膨れきっていていつ爆発してもおかしくないという空気感がすごいのです、実際爆発するんですけど、そういうスケールの大きな感じ、ってのを感じさせてくれるものが現代にはあまりないのですごい羨ましいですね。