2021年10月14日木曜日

 2016  i am Brian Wilson Beach Boys ブライアン・ウィルソン自伝

  不安と創造力は同じもの、何も無いのに不安を感じることが出来る人は、何もないところから物語や歌を作れるはずだ 


ビーチボーイズというと、ワタシの中では、アメリカそのもの、アメリカのバンドと言えば?と聞かれたらビーチボーイズと答えます、未だにレッチリではなくてビーチボーイズ。


 けれどビーチボーイズは、謎の多いバンドです。謎だらけだと言っても良い。その主たる原因は、ビーチボーイズの天才作曲家であるこのブライアン・ウィルソンが謎の人物だからです。


 医者に30年近く洗脳されていた、あるいはもともと気が狂っていた、重度のジャンキー、アル中、肥満、などなど、嘘か真か、虚々実々。

 

 この催眠をかけられたいた、とか、洗脳されていた、とか、やっぱり本人に原因が9割あるとワタシは思いますね、X Japan、オセロの黒い方、トム・クルーズ、マンソン・ファミリー・・・、催眠や洗脳ってのは自分からされに行かない限りそうそうされるものではない。もちろん強制的に監禁されて、薬物漬けにされたとかそういうことなら話は別ですが、そんなアメリカのグアンタナモ収容所みたいなこと普通の人はあまりされないでしょう。


 洗脳されていたが、まともに戻った、と言われても・・・、いや全然やべーやつだけどな、と思います。洗脳されていた、人間は、明らかにすぐまた洗脳されますもの。


ただビーチボーイズでブライアンだけがやべーやつというのは間違いでして、まぁこの時代のアーティストは全員ですがどっぷりドラッグに浸かりきっていて、デニスはアル中で酔って溺れて死亡、カールはヤニとドラッグで肺がんで死亡、マイクはスピリチュアルにどっぷり、瞑想だなんだとほざく始末、ついでにいうと親父は典型的DVクソ親父。

 という具合、まぁまぁ早めにウィルソン兄弟は死んでおるのです。フィル・スペクターは殺人容疑で牢屋行きして、今年コロナで死亡してますし、一番やばいやつであったブライアン・ウィルソンはまだご存命でいらっしゃる。


 でもワタシはそういうものだと思う、普通に生きれない人間だから、ミュージシャンであり、エンターテイナーであるわけです。マリリン・マンソンじゃないですが、犯罪者になるか、アーティストになるか、の二択。


 「Good Vibration」の生まれた理由は?


マリファナでリラックスしていたから。


 なんて正直な。昨今、ぶっ飛んだ突き抜けたトリップ感を持つ曲が少ないのは、骨の髄までドラッグでずぶずぶっていうミュージシャンが少なくなったからなんでしょう。自分のカラダを犠牲にしてまで、歴史に残る名曲を生み出す、ということじゃなくて、ドラッグに頼らないと生きていけないタイプの人間だからこそ、アーティストなんだってワタシは思うし、ワタシはそういう破滅型のアーティストが大好きですね。そういうぶっ壊れたやべーやつが見たいだけのために生きてるとも言える。

 日本ではそういうアーティストが少なめなのは、そういう人間がいないのではなくて、そういう人間を社会的に抹殺するからですね、「社会の恥」として存在を抹消しようとする、アメリカは未だに、「勝手に死ぬなら勝手に死ね」、っていうところがあって、そこはアメリカのひじょーに良いところ。

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 ビーチボーイズというバンドは、ほとんど身内で組まれたバンドで、ウィルソン三兄弟と、いとこ、そして友達、の5人組。ウィルソン三兄弟が、ほとんど顔が同じなので見分けがつかない、そしてもちろん声も似ている、それによって、誰が歌ってるのかもわからない。これがビーチボーイズの独自のハーモニーであって、他のバンドには絶対真似できない。三人兄弟でない限り。まず三人兄弟って現在少ないですから。

 この家族ぐるみのバンドってのもアメリカだなぁって気がします。そして必ず確執があって揉めるんですよね、ジャクソンズしかり。

 そりゃもめるよ!って話だと思う、家族ってのはカネの管理をするには最悪の母体ですから。揉めないわけがない。殺人で一番多いのは身内といいますし。


ビーチボーイズをさらに初心者お断りにしてるのは、曲のクオリティの変動がめちゃくちゃ激しいのです、歴史的名曲もあれば、カスみたいな曲もたくさんある。こんなのカネを取って売っていいクオリティではないってアルバムもたくさんあります。


ブライアンは片耳がもともと聞こえなかったらしく、それがブライアンの作曲のスタイルになってと思います、横の広がり、じゃなくて、縦のハーモニーなんですね、対位法、和声法、音の縦の並びが大事なスタイル。どんどん単純化されてる最近のポップミュージックではこの縦のハーモニーのスタイルってのはほとんど聞かれないですね。

 ミュージシャンには実は耳が不自由って人が多かったりします、もちろんベートーヴェンは難聴、ブライアンも片耳、フランク・シナトラも片耳、確かシュトックハウゼンも片耳しか聞こえなかったといいます。そういうことって実は多くて、失うことで逆にセンスが敏感になるってことが大いにある、目や手が不自由な絵描きなども多い。



 大衆ってのはアホですから、「最近の曲は全部同じように聞こえる」、と文句をいいつつ、斬新で新しいものが出てくると、「意味がわからない」、って文句を言うんです。大衆が本当に求めるのは、いつだって、「新しいように見える、本当はまったくいつもと同じもの」です。実験、が出来るのは成功者の特権、金がなくては実験は出来ぬ。



 この本自体は、ブライアンの語り、みたいな体裁をとっていて、時系列などもめちゃくちゃ、思い出した順に書かれてるって感じなので、ちゃんと整理されてもいずにビーチボーイズの全体像ってのはぼやーっとしかわからない。でもやっぱり本人の語ったことってのがそれが嘘っぱちであったとしても他の人間から聞く間違った情報よりも断然大事です。


 ワタシも、最高の一曲をあげるなら?と聞かれたら

「God only knows」か「Good Vibration」と答えますね。ブライアンの1,2フィニッシュ。どっちも、狂気に堕ちるスレスレのエクスタシーみたいなものを感じる、そんなヒリつくような限界ギリギリの状態で作られているのに、曲にはとてつもなくポジティブなエナジーに満ちてる。何万回聞いても震えるほどすげぇ!ってなる曲です。真似しようと思っても絶対ムリ、発狂する寸前まで自分を追い込める天才にしか作れない曲ですわ。