2021年10月29日金曜日

Fgo 2.2章 ゲッテルデメルング

  2.2章も突破しました。


ネタバレ警報

 

今回は北欧神話が舞台。


 シナリオの出来はまぁまぁでしょうか。


 というかシナリオライターの腕、というよりは、北欧神話自体、がおもろすぎる世界設定なんですよね。世界設定が抜群に面白くて、使えるネタもふんだん、ありすぎるくらいあるんだから、これでつまんなくしようってほうが難しい。単純に神話通りに物語にするだけで十分面白い。

 リア王を演出しろ、と言われたら、よっぽどのことがない限り面白くなります、リア王がだってめちゃくちゃおもしろいのですもの。

 

 RPGの原型はD&Dと言われておりますが、それよりも、本当の母体、は北欧神話にあるとワタシは思っております。

 北欧神話ってものすごい特殊、でして。その一番の肝、がこのタイトルにもなっているゲッテルデメルング。つまり「神々の黄昏」 運命の女神によって、ラグナロク、最後の戦いが起こり、神々は全て死ぬ。というのが最初に予告されて、神話がスタートする。物語のはじまりでグッと心を掴んできやがる。


 まず神、が死ぬ、って設定が斬新ですよね。神は全知全能、無敵、なにより不死、死なない。ってのがだいたいの神話のお決まり。冥界に行くことがあっても、存在ごと抹消されるってことはない。

 けど北欧神話の神々はもう全員死ぬ。これを思いついた古代の人、自分のアイデアに震えたでしょうね。


 オリジナルの原典を読めばわかるのですが、北欧神話って、真面目一辺倒、殺伐としてシリアスな殺し合いだけじゃなくて、どっかユーモアがある、戦う英雄たちの陽気さ、みたいなものがある。カラっとして清々しい。


 何より戦うこと、を肯定しているのが大きいと思います、だいたいの神話の着地点は戦うことが愚かであり、全ての欲望を捨てよ、解脱して悟りを得よ、殉教、殉死、をよしとする、っていう、結果的には生きること、を否定する結論に至る。


 北欧神話は、戦って、笑って、酒を飲んで、恋をして、泣いて、かっこつけて、生きることを楽しもうぜ、っていうポジティブエナジーがどっかにある。それはどこから来るんだろうか?っていうと最初に戻りますが、やはり死ぬ、からだろうと思いますね。

 

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 このシナリオ、良いと思うところがあります。

ゲルダという少女が出てくるのですが、この世界の人間は25までしか生きられず、人間牧場みたいなところから出ることが出来ずに生きるという運命を負っている。最近こういう設定多い。


 だいたいもうこういうシナリオでは、ゲルダはその牧場から抜け出して、自由に生きていくのでした、おしゅうまい。っていうくだらない終わり方をするものですが、このシナリオではゲルダは世界の消滅と共に消滅します。


 子供を殺してはいけない、っていう不文律があります。自殺を称賛する物語は書いてはならない、っていうルールと同じように。子供が殺される映画とかも撮ってはいけない、ビデ倫みたいな審査で通らない。出版も出来ぬ。


 もちろんこのシナリオでもキレイに後味が悪くないように何重にもフォローしてますが、子供を殺してシナリオが進んでいく、その咎を負って進め。っていうのは珍しいですよね。

 オレは世界を滅ぼしてしまった、みたいなのはありますけども、はっきり、子殺し、を主人公がするってのはなかなか珍しい、思い切った決断。「主人公は嫌われてはならない」っていう鉄則がある。特に長編では。


 ゲルダがいかにもこの子は絶対に殺させない、っていう綾波レイみたいなタイプじゃないのが惜しいところです。読み手が感情移入して、いやだ!絶対この子は救う!運営許さねぇ!っていうくらい、ギャルゲー美少女みたいなキャラだったら、さらにワタシは褒めてあげたいですね、攻めますなぁって。


 実は生きてました、っていうクソみたいなオチだけはやめてほしいと願うばかり。