2023年1月19日木曜日

1975 Tintin and the Picaros タンタンとピカロたち

タンタンシリーズ第23作目。そして最後の作品です。


 24作目のアルフアート はエルジェが死んだ為に未完となっています、一応それらをまとめたものが出版されてますが、正直絵が全然違います、エルジェの絵って誰でも描けそうだけどそうもいかんみたい。


 南米のたぶんコロンビア?にしたお話で、タンタンたちが南米の国に降り立ち、ゲリラたちと合流し、カーニヴァルにまぎれて革命を成功させるという、まぁようするにゲバラファンタジーってことですね。

 

 革命というシリアスな物語と、カーニヴァルというコントラスト、独裁とスラム、っていう南米の太陽みたいに、陰と陽のハッキリした物語ってことなんだと思います、エルジェもかなり高齢だと思うのですが、構成がカッチリしていて、手堅くキレイにまとまっています。やるね。全然最後の物語っていう感じはしない、まだまだタンタンは元気だぞ!って感じです。

 

 最後のほうにトムソン刑事たちが死刑に引き出される場面があるのですが、死刑の直前まで紳士らしくふるまい、目隠しに対して


「我々トムソンに目隠しはいらない、死を正面から見つめよう」


 って見栄を切るところがあるんですが、これがフリになってるといえばなっています。トムソン刑事かっこえぇやん。


 これでタンタンシリーズおしまいなんですが、やっぱりタンタンがマンガ文化に与えた影響は計り知れないと思いますね。確実に一番有名なヨーロッパの漫画家、向こうではバンドデシネ作家。マンガってものの表現の領域をめちゃくちゃ広げた存在だと思います。