安彦良和版ガンダムってことで、初代ガンダムを安彦良和風にアレンジして、リメイクしたマンガ作品であります。
ガンダムって一体どんな話だったのかしら?ってことで読んでみました。
作画がもちろん下手ではないんですけど、塗りがダサいですね。もっとベタ塗りの感じで描けばよいと思うのですが・・・、ってか白黒!?
なんで日本のマンガは頑なに白黒なんですかね、デジタルだったらトーンのほうが面倒だと思うのですけど(もちろん安彦氏はアナログで描いてるのだろうけど、DTPはどうせデジタルなんだからカラーにすればえぇやん)。白黒が生きるスタイルの人もいますけどヤスの描き方はアニメーターのそれなんでどう考えてもカラーにすべきですわね。
印刷にカネがかかるってのが一番のネックなんでしょうけど、そうはいっても20年前の作品だから・・・。
でも白黒ではシャアザクがどれかわからんではないか!!
・・・あとヤスの描く女はまったく可愛くない・・・だからといってこのひとゲイなのかしらっていう感じでもない、じゃあロリコンか?っていうとそうでもない。非常に稀ですが、あまりセックスに興味がないヒトなのだと思う、ヤスは。
絵にはそのヒトの性癖が絶対出るし、それが個性、ってのがワタシの持論なのですが、ヤスの絵は例外中の例外ですね。どうもこの人は絵を描くのがそもそも好きなのかどうかもわからん。実はキリスト教徒らしいので、そういうことなのかも。
それと顔の種類も多くなくて、ギレンと連邦の少将?の顔がまったく同じで見分けがつかない、これも白黒の弊害・・・
だいたいストーリーはアニメ版ガンダムなんですが、シャア編はほぼすべてオリジナルストーリーです、ジオンがどういうわけで独立しようとしたのか、キャスバルがどうやってシャアになったのか、勝手に描いていいの?ってくらい完全にヤスの創作物語が展開していきます。ワタシガンダムマニアじゃ全然無いからわからないのですが、公式設定とかはどうなってるのでせう?なんか最近もまたハサウェイとか新作作ってるけど、いくつも世界線があるってことになってるのかしら?
このマンガではシャアはニュータイプじゃないことになっとるのですが、スパロボだとニュータイプだったよね??
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ガンダムってのは、アンチロボットアニメ、のロボットアニメなんですわね、全部逆を行ってる、いわば王道ってものの逆をいったアンチ作品、が名作、として残るってことはよくある。ドン・キホーテがまさにそうで、騎士道物語、という王道があって、それの裏、アンチ作品がドン・キホーテです。
まずアムロって主人公が根暗、自己中、正義感がない、好きで戦ってるわけじゃない、生まれつき天才、と、それまでの熱血正義感型のド根性ヒーローのすべて逆を行ってるわけです。
ロボットも、子供向けにわかりやすく、ではなくてリアルっぽく渋い。
でもワタシ的に一番これがガンダムの特徴だよな、ってのは大人世代がクソばっかりってとこですね。アムロの親父はワーカホリック、ガキのことはほっておく、母親はアムロを見捨てて地上に残るような無理解で最低の母親。
子供のことは命がけで守る、っていう少年マンガの親の描き方と逆なんです。これが一番斬新ですね。ジオンの上層部もまさにナチスって感じ、では連邦は?って言えばこっちも日本帝国軍みたいなプライドばっかりのカスばっかり。大人世代は総じてクズばっかりなのです。
その犠牲に若者がどんどん戦争で死んでいく、あるいは、自分たちの力でなにかを変えようと戦う、っていう構造ですね。実はジオンと連邦が戦ってるのじゃなくて、大人と若者が戦ってるって話。
でもこれはオリジナルの時代には変な感じだったと思います、今なら受け入れやすい。今の大人世代は不景気とバブルを引き起こした能無しのクソ野郎どもで尊敬に値しない、とっととくたばれ老害っていえますが、70、80年代の大人世代というのは、戦後の焼け野原から日本を経済大国に押し上げて、世界のトップまで上り詰めた世代。
つまるとこ、ちゃんと結果出した人たちなわけで、だからパワハラが許されたし、言う事もまぁ聴いとくかって感じであった。結果を出してる、これに尽きるのです。ジャパニーズウェイ、っつって日本のやり方、をアメリカとかが研究模倣しようとしてた時代なんですから。
なんでこの世代が結果を出せたかというに、それはたぶん、ふるいにかけられたからですね、弱いやつ、役立たず、使えない人間、要領の悪いやつ、は死んだ。強い人間だけが残り、結果的にそれが生産性を上げた。リストラってことです、役立たずを消すだけですべて好循環するようになる。
だからなんでしょう、コンプレックスっていうか僻みっぽい感じが投影されてるのかなと思う、自分たちは、いわばカリスマ、大企業を1から作り上げた、みたいな存在にはなれない。大人はわかってくれない、って感じなのです。
大人のほうからすれば、俺たちは成功者なんだからなんでガキから学ぶ必要があるのだ。ってことですし。
一言で言えば、甘やかされて育った団塊第2世代のコンプレックスがガンダムって物語なのだとワタシはおもふ。
やっぱそれまでとは全然違うものを作ったってのは偉いですよね。それまでのアニメはとにかくわかりやすく子供向け、だったのに、敵と味方、正義と悪を曖昧にして、わかりにくく、大人向けにした。それがガンダムの一番の功績だと思います。後半ララァが突然現れて急激にスピリチュアルな感じになるのは、好き嫌いあると思いますね。艦隊の戦略とかそういうのは一切関係なく超能力で勝負するんだ・・・じゃあ今までのなんやってん・・・とも思う。
あとニュータイプはわかり会えるから戦わなくていいのだ、ってのも疑問。わかりあえないから戦ってるという場合だけでも無いでしょう、よくわかりすぎてるから戦うしかないっちゅーこともあるのでは???
この物語の本当の主人公はシャアなんですけども、シャアの動機づけもなんか、・・・う~~ん・・・って感じになっていまいましたね。かっこ悪い、もっとワタシはシャアはかっこよくあって欲しいものだ。なんだかマザコンでロリコンでシスコンの自己中みたいなキャラになってしまっておる。
総評というとやっぱ作画がダサいのが気になる・・・、上手い下手じゃなくて、ダサい。