2024年3月9日土曜日

1955 平将門 海音寺潮五郎

  海音寺潮五郎、はワタシは全然知りませんでしたが、全集が出てるいくらいの作家なので、文章はなかなか上手だと思います。

 司馬遼太郎の師匠にあたる人だとか、ワタシは司馬遼太郎あんま好きじゃないので師匠のほうがやっぱ良いなと思いますね。

 

 ただ内容は、ふ~む、ちょっと色恋の描写が多すぎる、本の半分はセックスの話ですが、この人がそんな男女の話なんかかけるとは思えませんなぁ・・・全部想像っていうか、理屈づけてるというか、太宰治とかと比較すると、女のリアリティが全くないですね。型にハマった女性像って感じ。なのに女性の描写が多いのはどういうわけだ。

 文章は下手ではないですが、ワタシはあまり好きじゃない作家ですね。やっぱ歴史小説は吉川英治を超える作家はないとワタシは思う。




 平将門なんて、資料は殆ないし、信憑性なんて非常に怪しいに決まってるわけで、ほぼ妄想で人物像を組み立てるしかないわけです。


 この小説では将門は、一途で、頑固で、田舎者であるが誠実で、ナイーブ、神経質なキャラとなっている。たぶん普通のイメージでは、将門は豪放磊落、乱暴者で粗野、英雄豪傑ってイメージで善人っていうイメージはまったくないのでへぇ、となりますね。

 まぁ小説の主人公として、そんな無茶苦茶で暴力的な豪傑ってのがそぐわないということなのかも。人間が主人公でも良いと思うのですけどね。まぁ1950年代には早すぎるか。

 だがとにかく、将門が戦争の天才、武士、として武力で名をあげた最初の人物であるのは間違いないことです。武士、の時代のパイオニアであったわけ、武力が全て。


 天皇家も元々は、勇武な人々として始まったものでして、なんせはじめが神、ですから。それがだんだんと貴族化して、戦から遠ざかり、権力も削がれていくことになったわけです。


 この平将門と、武田信玄と上杉謙信を描いた小説「天と地と」は大河ドラマにもなってて、海音寺作品としては有名みたいですが、本人的には、西郷隆盛、がライフワークだったのですが、超詳しく書きすぎて未完となったようです。


 長いし、現代の人にはあまりおすすめは出来ませぬかと存じます・・・