2015年4月17日金曜日

1969   KINKS some mother's son 和訳 解説 対訳 




まず和訳から入るのがスジ。

Some mother's son lies in a field
 母親から生まれた子どもたちが戦場に横たわる
Someone has killed some mother's son today
 誰かは今日母親から生まれた子供を殺しただろう
Head blown up by some soldier's gun
 だれかのソルジャーにドタマを消し飛ばされてさ
While all the mothers stand and wait
 一方では母親たちはいてもたってもいられずに待っているんだ
Some mother's son ain't coming home today
 いくつかの母親の子供は今日は帰らないだろう
Some mothers son ain't got no grave
 いくつかの母親の子供は墓を与えられることもない
Two soldiers fighting in a trench
 2人の兵隊は塹壕戦を戦っている
One soldier glances up to see the sun
 1人の兵隊がチラと太陽を見上げた
And dreams of games he played when he was young
 若いころに遊んだ遊びのことを思い出してたんだ
(たぶんクリケットですね)
And then his friend calls out his name
友人が彼の名前を呼んだ
It stops his dream and as he turns his head
 白昼夢から彼は舞い戻って振り返った
A second later he is dead
 その瞬間には彼は死んだ
Some mother's son lies in a field
 子どもたちは戦場に倒れている
Back home they put his picture in a frame
 家では彼を写真立ての中に入れるだろう
But all dead soldiers look the same
 けど死んだ兵隊は全部おんなじように見える
While all the parents stand and wait
 それでもすべての両親は待ち続けているんだ
To meet their children coming home from school
 学校から戻ってくる子供たちを待ってるように
Some mother's son is lying dead
 子どもたちは戦場に倒れた
Somewhere someone is crying
 どこかで誰かが泣いている
Someone is trying to be so brave
誰かは勇敢であろうと勇気を振り絞る
But still the world keeps turning
 それでもセカイは回り続ける
Though all the children have gone away
 子どもたちが全員いなくなっちゃっても
Some mother's son lies in a field
 子どもたちは戦場に横たわってる
But in his mother's eyes he looks the same
それでも母親の目から見たら彼らはずっと子供のままだ
As on the day he went away
 彼がいなくなったその日と何も変わらず
They put his picture on the wall
 彼は今や写真となって壁に貼り付けられてる
They put flowers in the picture frame
その写真のフレームは花で飾られてる
Some mothers memory remains
 母親たちの記憶は消えないでそこにあるから






 KINKSってバンドは、超BIGネームでありながら、イギリス以外では知名度は圧倒的にビートル、WHO、STONESに及びません。だってKINKSのバンドシャツってのが売ってないですもん。KINKSのマーク、っていうわかりやすいものが無いのも原因かもだけど。フィリップ・ラーキンみたいなもんですね。イギリス的価値観すぎるんです。最もイギリス的なバンド、はKINKSで間違いありませんぜ。
 というよりもKINKSは偉大なロックバンド、じゃないのかもしんないです、偉大なブリットポップバンドなんでしょうね。
 KINKSというバンド名は日本語になりませんが下ネタでして、いうなれば・・・ちょっと変態じみたやつら、みたいな感じ。
 KINKSの曲は初期はわかりやすいロックでしたが、サイケ時代にコンセプトアルバムを作りだすと次々名盤を作ったって感じです。Iはコンセプトアルバムってものは数あれど、KINKSのものが一番好きです。KINKSはすげー後ろ向きっつーかw ノスタルジーに浸りきってるし・・・なんでしょう音楽的にも一番幅がある、WHOやSTONESってIは一本調子すぎる気がするんですね。ストレートすぎる。KINKSはイギリス風のユーモアに満ちあふれております、ただこのイギリス風のネタってのがわかんないとちっともわかんないってのも事実かも。
 BLURのDAMON ALBARNの好きなバンドはKINKSだって言うわけで、さもありなん。OASISよりもBLURが売上が負けたのはBLURがイギリス、のバンドだからです。

 


 この曲は

Arthur (Or the Decline and Fall of the British Empire)
 アーサー、あるいはイギリス帝国興亡史 

 っていうふざけた名前wのアルバムの中の一曲。

 このアルバムのストーリーってのはお馴染みのもので、第二次大戦で様変わりしたイギリスという国家にいるアーサーというおっさんが、昔を懐かしみつつ、オーストラリアへの移住を考えたり、子供が戦争で次々死んだり、シャングリラという楽園に憧れて現実逃避するっていう、激動の20世紀もの、として一番ありがちなやつです。

 ただ一つ一つの曲は間接的に関係があるだけでそれぞれ独立してますし、名曲揃いですねー。特にシャングリラはすげー好きです。シャングリラっていう名詞を一般に普及させたのはこの曲だって思う。




 この曲は、いわゆる、軽い?ユーモアに富んだKINKSの中で珍しくシリアスな歌詞を含んだものです。けど反戦の曲、って簡単に決め付けるのは全然イギリス的ユーモアってのを理解してません。そうじゃなくて、そういう戦争がありながらも、そういう悲しいことがありながらも、セカイは何の関係もなく回り続ける、そういう無常感、だけど懐かしくて、なんか・・・満足感がある人生みたいなものがあるよね、っちゅー曲ですわね、Iの勝手な理解かもしんないですが。
 ユーモアってのは、簡単にいえばほんとのコトを言わないってことで、辛い時にしんどい、って言ったって何の面白みもありませんから。
 
 チャーチルの名言
 
 ワレラの時代は、辛く惨めで暗い時代なんかじゃない、最も偉大な時代なのだ、人類の歴史の中で最も偉大な時代だ


 っていうのもユーモアの一種です。



 しかしこうして昔の曲を聞くと現代の曲ってのはなんて内容に乏しいんだろ・・って思いますよね。