兵は詭道なり
説明不要の古典。戦争に関する本の古典中の古典でして、そしてこれを超えるものは今もないと言われてます。
めっちゃ簡潔で短い。しかし内容は非常に濃い。無駄な部分がほとんどありません。
言いたいことも単純明快。兵は詭道なり、つまり相手を騙して勝て。これに尽きます。
そしてもうひとつが情報戦の重視で、兵士のなかで一番優秀で、一番褒章を与えるのはスパイだ、スパイが戦争の要だ、としています。
つまり嘘とスパイ、が戦争で勝つための手段だということ。
他の思想とはまったく逆の真実を、孫武は主張する。
一体私達はじゃあどうすりゃえぇねん。戦争で勝たなければ生き残れない、勝つためには嘘と裏切りしかない。だがそれは人の道として正しくない。
現代においてもまったく同じ、嘘をついて誰かを騙して、裏切らないと金も儲からないし、成功もできん。けれど人の道を外したくはない、正しくありたい。この真反対の問題に引き裂かれているのです。
いわば孫氏と老子、この2つの思想が根本的思想の2つです。でも実は、この2つは最終的には同じような境地に至るのではないか?と言われてたりもする。
兵の究極は無形、形を持たないことであり、道、の到達点も無為です。正反対を歩いていって無に行き着くというのはおもろいですなぁ。