2026年1月29日木曜日

1935 『雲をつかむ死』(くもをつかむし、原題:Death in the Clouds、アメリカ版原題:Death in the Air)

  ポアロものの長編。

 

 飛行機の中、という密室での殺人、犯人はもちろん飛行機に乗っていた誰か。

殺人には、アフリカのヘビの珍しい即効性の毒が使われていた・・・・


 という話。

 

まず1935年に旅客機の中での密室殺人っていうシチュエーションがもうやられていたってのが驚きじゃないですか?

 戦闘機じゃなくて、旅客機、ですからね。もちろんジャンボジェットじゃない。

第一次大戦で飛行機が本格的に作られるようになってからわずか15年で、旅客機、が一般に普及するようになっている。

 

 まじでこの第一次大戦から第二次大戦までのおよそ20年。とんでもない速度であらゆるものが動いているのです。今は時代が進むのが早い、みたいなこと言うけど、その比じゃない。体感4倍くらいの速度で、世界のあらゆるものが再生し崩壊し、生まれて、乗り代わっている。科学技術や政治体制だけじゃなく、芸術とか文化全般。

 ぶっちゃけもうこの20年の間にもう現代、のすべてのことはやり尽くされていると言って良いと思います。

 

 さてこの小説自体なのですが・・・

 

 やっぱりミステリーはレビューが難しい。

 

 この時期のクリスティ作品の特徴なのか知りませんが、ポアロは、終盤になるまで傍観者みたいなかんじでずっと登場人物を泳がせておいて、最後にズバーンと解決する、という感じで、なかなか尻尾をつかませません。

 探偵が足をつかって事件の中心となって情報を集めていく、のではなくて、ひととおり誰かに情報を集めさせておいて、重い腰をあげて、核心だけつかむ。

 構造として、非常に終盤、に偏っている作りなので、後半のスピード感がある。でもこれは現代では通用しないですよね、現代ははじめっから面白くないとすぐに投げられてしまう。

 クリスティという名前、があるから最後まで読ませることができる、巨匠の余裕ってことなのかもしらんですね。

 

 出来としては十分に良いと思われます、あとは読むヒトの趣味次第ですね。