素晴らしい出来です、まぁタルコフスキーなんだから当たり前ですけど。
balloon rujueの翻案として制作されたということなので、映画の雰囲気はまさにそれです。プラス、ブレッソンスタイルの・・・硬質な画面。ガラスっぽい感じ・・タルコフスキーは生涯に10本しか映画を撮ってないし、そのうちの三本は学生時代の短編です。一日で見れてしまうのですが、100年分映画を見た気分になると思います。
映画の話よりもソ連の生活が実際どんなだったのか、それは本当にアメリカよりも悪かったのか、がやっぱりきになるのですが結局永久に知ることは出来ません。そこに住んでみなければ・・・共産圏から逃げていった人は本当に自由を愛する素晴らしい人間だったのか?それともただ快楽主義の資本主義社会によくいるタイプのくだらない人間なのか?本当は誰も教えてくれない。結局私たちは彼らは洗脳されているという洗脳を受けているだけなのかもしれない・・・
タルコフスキーはソ連での映画作りは規制ばかりでひどいと言いますが、ソ連以外では映画監督にすらなれなかったと思うのですが・・・あるいはフランスでは可能性はあるかもしれないけど・・・他の国ではまず無理だと思います、いい映画を作るようには社会は出来てませんから・・・ともかくタルコフスキー映画を作っただけでもソ連は存在した価値があると私は断言できます。
笑い話ですが、タルコフスキーがきつい注文を出してスタッフを困らせていると
「タルコフスキーだってドストエフスキーじゃないじゃないか」
と愚痴を言ってたそうです。
・・あるいはそうだったのかもしれないと思えるのですけど・・