2022年9月15日木曜日

1986 ニューロマンサー ウィリアム・ギブスン

  誰だったか忘れたのですが、誰かにめっちゃ過小評価されてる作品と言われたので読んでみましたが、途中で止めてしまいました。


 ヒューゴー賞とネビュラ賞っていうSF文学賞の二大タイトルを獲得してる作品なのですが、ふーむ・・・・。


 ようするにはSF版のフィネガンズ・ウェイクみたいな作品で、なんだかめちゃくちゃです。おおよそ、サイバースペースにダイブするハッカーのお話だと思います。だいたいのキャラがジャンキーで、幻想と幻聴と夢と電脳空間でセックスしたり、ドラッグをするというお話です。


 明らかに行きすぎてますねぇ、ぶっ飛びすぎてる、ぶっ飛んでりゃぶっ飛んでるほどいいだろ、前衛的であればあるほどいいだろ、というふうになりがちです。それもわかるんですけどね。なんか新しいことやろうと思うとそうなる、めちゃくちゃなもの作ってしまう、でもワタシからすりゃそりゃ逃げですね、ちゃんとコツコツやってくしかないのに、はちゃめちゃに即興でやって、これがアートだ!みたいに言い張る。

 結局すぐにそれらは忘れられて、やっぱしクラシックなものだけが残る。20世紀の現代音楽やら、現代アートやらと同じですね。

 現代であるから正しいんだろうと思いきや、何も残らずに消えていく、現代ってのはつまり、時間の流れ、という試練を受けてないということ。しょうもないものは時間が流れればすぐに消えていく。長い時間残ってるということは、やっぱり残ってる意味があるということ。だからワタシは新しい作品って好かないのですよね、100年残ってるものを手に取る。

 つまり結局、ベートーヴェンに落ち着くというわけ。メシアンだのシュトックハウゼンの、誰も聞いてない。

 SFという文化も、あぁこういうのが賞とるようになっちゃったのね、と思うと文化としてもう終わってると考えて良いようです。結局60年代までかなぁ・・・。


 結局すべてが幻想、夢オチなので、なんか読んでも時間の無駄だな、と途中で思いました。

2022年9月12日月曜日

1999 死刑執行中脱獄進行中 荒木飛呂彦短編集 荒木飛呂彦

  アラーキーの短編集。アラーキーはもちろんJOJOの連載で忙しいので短編集が出るのは非常に稀。というか漫画の短編集ってのはそもそもあまり出ないものです。


 岸辺露伴から吉良吉影まで、JOJOのキャラも登場して、やっぱりJOJOですやん、ともなりますが、一番の違いはスタンド、というシステムじゃないってこと。

 ただ単に不思議、であって、スタンド能力ではありません。

思えば、別に、スタンド、という枠組みなんて無くても、超能力、超自然的なことは起こせるわけです。でもスタンドを出したほうが読者が喜びますしね。


 やっぱりクオリティは高いですねー。ワタシがいま唯一連載を追いかけてる漫画家です、ほかはみーんな休載。ワンピースも面白いのかもしれませんが、なかなか手が伸びない。たしかに面白いのかもしれんが、何か新しい、別なものを見せてくれん気がする。アラーキーだけが、マンガを別のステージに持っていこうという意思が感じられます。


「オレはあんたの 道徳 には興味ない、正義だろうが悪だろうがオレにはどうでもいい」


 他のマンガにはこういう痺れるセリフってものはあんま見ませんね。アラーキーはこの吉良吉影っていうキャラが相当気に入ってるみたいです。岸辺露伴は漫画家で自分のコピーなのでよく出てくるのは当然ですが、この吉良吉影も作者のもう一人の分身なんでしょうね、芸術と静寂が好きな偏執狂殺人鬼

 

 幽霊になった吉良吉影が、幽霊として、何を、求めればよいのかを探す物語です。21世紀っぽいテーマですなぁ


 ニーチェは言いました、神は死んだ、神の救済を願うなんて馬鹿げてる、善と悪、そんなものは神が決めたものではなくて、人間が勝手に決めたもの。死後の世界などよりも、今存在していること、今生きていることこそが大事なのだ。ワーグナーもドストエフスキーもトルストイも、最終的には神の救済という結論に落ち着いた。


 他のマンガはだいたい19世紀に完成した物語の枠組みでやってますけども、アラーキーだけがニーチェ後の神が死んだ世界でマンガを描いてる気がするのです。

 大衆はやっぱ善悪のはっきりしたわかりやすいものを求めるので人気では負けてるように見えるけども、100年後何が残るかといえば、ワンピじゃなくてJOJOだと思いますね。

2022年9月11日日曜日

1923  ゴルフ場殺人事件 Murder on the Links アガサ・クリスティ

  ポアロの長編二作目。


まだまだ初期ポアロでして、ポアロの性格が一般のポワロとかなり違っています、自信家でエゴイスト、野心を持っていて、殺人事件マニア。


 まだまだホームズの影を色濃く残してるって感じですね。小説全体も、ホームズスタイルです。というより、他の推理小説作家たちが次々と新しいスタイル、を打ち出していくなかでアガサはクラシックなホームズスタイルを崩さない、正統後継者と言えますでしょう。だから人気が図抜けてあるんだと思います。

 

 まだまだ新人アガサなので、色々と問題ありますね。すぐに色恋を動機づけや導入に使ってしまうこと。

 

目が覚めるような美少女がそこにいた・・・


 っていうおきまりの美女。ワタシの中ではコトバに出来ないくらいの美女、絶世の美女、言い知れぬ魅力を持った美女、というのが出てきたらまずその作品はつまんないと見て間違いない。


 それと、びっくりして気絶する老婦人ですね。

そんなやつほんとにいるんか?って思う。すぐに記憶喪失になるドラマの主人公と同じで、何かショックなことがあるとすぐに失神して倒れてしまう・・・、見たことないですけどねそんなやつ・・・昔はいたのか?いやぁいませんよ。自動車に轢かれて記憶がなくなるようなやつも100万人に1人もいないでしょう。


 あとポアロ以外の人が阿呆すぎる、ってのもありますね、相棒役のヘイスティングスもポンコツがすぎる、ワトソンもここまで阿呆じゃない。ポアロを引き立たせるための踏み台ってのがあまりにもあけすけすぎますね。このへんが、まだ若いなって感じ。


 トリックのアイデアはさすがですが、よく考えたらおかしい・・っていう穴もかなりいっぱいあります。ミステリーの女王もまだ新人ということ。(まぁ33才だから若くもないけど、作家としては駆け出しですね)

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 小説の雰囲気で第一次世界大戦が終わって、価値観がガラッと変わった、特に女性の生き方が変わったという空気感は如実に感じます。アガサ自身もその1人なのですし。


 というより世界大戦で変わった価値観、ってのはずっといまも影響を残し続ける気がします。世界大戦であまりにもバタバタ人が死ぬのを目の当たりにして、人々はどうせすぐに死ぬから好きにやる、どうとでもなれ。っていうふうに変わってしまった。特に若者に

「どうでもえぇわい」っていうのを植え付けてしまった気がします。それ以前にはもっと社会だとか、未来だとか、哲学だとか、宗教だとか、を本気で語るような人間がいた。

 100年経っても戦争後遺症は世界に残り続けてる気がします。

2022年9月9日金曜日

2005 メソポタミア文明辞典 エンリコ・アスカローネ

  メソポタミア文明の・・・なんていうのか、美術書って感じですかね。歴史などもささっと述べられていますが、要約の書き出しって感じでして、全体の流れとしてはよくわからん。

 壁画とかの美術品の写真がいっぱい乗ってますので、ふ~ん、こういう感じね。ってのはざっくりわかります。


 人類最古の都市、ウルクは-4000頃に都市として成立したようです、西暦ってほんと勝手なところで歴史を区切りやがったって感じですよね。歴史に全く興味がない人は、人類の文明が2千年前ごろに始まったと思ってる人が多いと思われる。


 このウルクがうまれた、6000年前、ってのがワタシはいい区切りだと思う、人類の歴史は案外長い。エジプトやメソポタミア文明はめちゃくちゃ滅びたって思われがちですが、3000年近く存続し続けたのですから、現代の文明よりもよっぽど長持ちしたといえるでしょう。私達の今の文明って暗黒時代の後のルネサンス文明だとワタシは思ってるのでせいぜいまだ500年くらい。けどまぁあと100年もしないで滅ぶでしょう。


 なんで3000年近く持ったかというに、進化、しないからだと思います。ずっっっと同じような戦争を繰り返していて、進歩がほとんど見られない。だからこそずっと続くわけですね、進歩ってのは寿命を削ってるだとなのだとも言える。

 なんで進歩しないかといえば、やっぱり暑いからだと思います。暑いとちゃんと考えて長期的な展望に立って行動するってことが出来ない。温暖だから服を着る必要もなく過ごせますが、考える、ってことは無理です。

2022年9月8日木曜日

1929 血の収穫 Red harvest ダシール・ハメット

  ダシール・ハメットのハードボイルド小説でありデビュー作。


 ハードボイルド小説、っていうものの原型、パイオニアともいえる作品であります。読んだこと無くてもこのなんかべっとりと血のついたようなおどろおどろしいタイトルには覚えがあるのではないでせうか。あと「火刑法廷」ですかね、なんか目に刺さるタイトルってのは。


 実際その通り血まみれの作品でして、ミステリーというカテゴリに入れられたりすることはあるものの、ほとんどは推理というよりはドンパチでして、いわゆる「刑事物」の映画みたいな感じ、正しくは「刑事物」みたいなジャンルはすべてこの「血の収穫」から影響を受けているといっても良いでしょう。


 最も陰ながらパクられてる作品であるらしく、たしかにこの血の収穫、っぽいお話ってのはめっっっっっっっっっちゃくちゃ類型がある、アメコミ、ってのもこの小説から来てるという気がします。


 おおまかなストーリーは、とっても治安の悪い街があって、大金持ちが警察も裁判所も議員までも買収していて、さらにそこにギャング団がいくつもあって抗争を繰り広げておる。そこへ訪れた探偵が街からギャングどもを一掃するように画策する。エロい娼婦、個性的なギャング団のボス、大金持ちの社長、無口で全然しゃべらない味方、ジャンキー、などなど、いかにも「アメリカ」、この小説「アメリカ」っていうタイトル??って思うくらい、アメリカそのもの、アメリカのエンタメそのものって感じの物語です。


 2万回は聞いた気がしますねこの話。黒澤の用心棒、荒野の用心棒、ダーティハリー、ぜーんぶこれと同じです。


 作者のダシール・ハメットは、本当にガチの探偵として働いていた人間、さらに戦争にも行っていて、暴力、のそっけなさ、あっけなさ、みたいなのが本当に人が死ぬのを何度も見てきて、自分も殺したことがあるような人間の、ドライな感じを持っております。ハメットのこのドライな文体、ってのがハードボイルド、っていうジャンルになったというわけですね。ガチで探偵をやっていた人にはでもかなわないですね、ちょっとした描写が見てきた人間のそれです。


 オートマチックを壁の梁のところにかけて置いておく、それは手をあげろ、と言われて手を上げたときに銃がつかめるようにするため・・・


こんな描写は、普通には思いつかないですよね。


 この1929年のアメリカはご存知世界恐慌の時代、その夜明け前。最悪の悪法こと「禁酒法」がモラルハザードを巻き起こし、ギャングが跋扈し、腐敗が進み、そしてすべてが爆発、第二次大戦の火種が生まれて・・・・っていう、えぐえぐのえぐの時代ですね。まさにそんな時代にうってつけのヴァイオレンス小説です。

2022年9月7日水曜日

戦火のかなた Paisà (1946) | Roberto Rossellini

  ロッセリーニの戦争三部作、そしていわゆる ネオ・レアリズモ、というイタリアの芸術運動の流れを受けた作品なのですが、正直まったく意味がわかりませんでした・・・


 だいたいにおいて、戦中にナチスと戦った人々の物語っていう感じなのですが、なんていうのか、独特のテンポ、死ぬほどあっさりしたクライマックスっていうのが特徴です。恐るべきあっさり感、演出を極端に嫌った、これがネオレアリズモってことなんでしょうか。説明もびっくりするほどない。


 一応短いエピソードが6つはいっているのですが、ほぼ理解できんかった・・・、やっぱイタリア、ラテンのノリってのが世界で一番理解しずらいです、ワタシには。あと昔のフィルムで撮影した夜のシーンは真っ暗で何も見えん。

2022年9月5日月曜日

2022年下半期 おすすめラジオ番組ランキング

  RadikoやSpotifyなどで全国のラジオが自由に聞けるようになって、面白いラジオには地方でもどこでも注目が集まるようになっております現在、独断でおもしろラジオランキングを発表していきます。

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 まずはランキング圏外だけどワタシが聞いてるラジオを順不同で発表


三四郎のANN  若手芸人の登竜門的番組、この番組からスターが多数生まれています。きんにくん、Kazma、都筑、などブームの仕掛け役、ラジオのアメトーク。


Lightning catapult  アルピーのちゃんさかと三四郎相田のSpotifyの番組、Podcastでお笑い部門の賞も獲得。恋愛関係の相談ばっかりなのが残念ですが、なかなかおもろし。


ダイアンのTOKYO STYLE ダイアンはずっと大阪でラジオやってましたが、東京でこの番組が始まりました。東京にそこまでこだわらなくてもいいのでは?と思いますが、Podcastでもエピソードを出していて、聞きやすいです。一番季節の話をしてくれるラジオなので、このラジオを聴くと季節がわかる。


DCガレージ アルコピANNの後継ですが、最近は家族の話ばっかりで残念。生放送じゃないのでリアクションメールが来ないのも残念。


フワちゃんのANN0 ゲストがやたら豪華な番組、だけどワタシはゲスト無しの通常回か、森本の回が安定で好き、森本レギュラー化で良いとおもふ


霜降り明星のANN 次のDTこと霜降りのラジオ。霜降りはネタ、エピソードトーク、企画、競馬、ギャンブル、平場、すべてに置いて面白いのですけど、唯一フリートークはいまいちだとワタシは思ふ。でもネタ職人とコーナーを大事にする番組で、たぶん現在一番投稿数が多く、ネタ職人がしのぎを削ってる番組。


Pontsuka!  Bump of chicken のラジオ番組。昨今いろんなことがBumpにもありましたが、より結束が深まったと思ふ。

乙女心症候群  田村ゆかりのラジオ番組 声優ラジオですが、告知はほとんどありません、だいたいは冷凍庫がパンパンになっていてどうしようという話が聴けます。 

長縄まりあのまりありうむ  声優長縄まりあの声優ラジオ、ほとんどどうぶつの森とスプラトゥーンの話しかしません、任天堂ラジオです。


City Chill Club  TBSのド深夜にやって二時間の音楽番組、アーティストが選曲した曲を流すというシンプルな番組で、選曲する人の当たり外れはめっちゃでかいのですが、センスある人が作るリストはどんなFMの番組よりもおしゃれ。チルでもなんでもなく好きな曲流してるので新しい曲みつけたい人にはおすすめ。選曲者も月ごと曜日ごとに変わるので好きな選曲者はフォローしてみるのが良きです。

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いよいよランキングベスト3


3位 は サンデーナイトドリーマー

 有吉弘行のラジオ番組。有吉毎日ゴールデンと深夜ニ番組出てない?ってくらいラテ欄を染めている有吉、下ネタとゴシップがきつい番組ですが、結婚してややマイルドになりました。有吉っていう人は、やっぱりなんでもよく見えてるし、バランス感覚があるなぁと思いますね。こいつズレてんなぁ・・・って思うことが全くない、世間の流れに合わせて芸風も発言もバッチリ合わせて来ます、この人の舵取りに合わせときゃ間違いない。だが不動の首位から陥落です・・・、最近ちょっとメール投稿者も固定化、ネタもテンプレ化してきてる気がします・・・


2位  サクラバシ919 都筑

 四千頭身の都筑が担当するラジオ大阪の生番組、ミクチャで動画配信もあり。

ラジオ大阪??? どこ??? って思うかもしれませんが、大阪の文化放送的局でアニラジとかを放送してる局。都筑ってこんなにしゃべれるんだ、ってびっくりしました。実はファッショニスタでファッション話もなかなか興味深い。新たなラジオスター爆誕。 


1位 サクラバシ919 山添寛

 サクラバシがワンツー独占。ラジオだけじゃなくて、今テレビでも赤丸急上昇の山添寛、クズ芸人、として頭角を現してきましたがトーク力もばっちりある。ギャンブルなど趣味が合うのも高得点。そして実はこの人図抜けた芸術的才能も隠し持ってる京都のおぼっちゃんでして、まだまだ底を見せてない。顔つきも実は気品がある顔してます。次の有吉のポジ。

 あとやっぱミクチャで動画生放送があるとやっぱ楽しい、ミクチャのコメも拾ってくれるので、YT生放送が好きな層も獲得してます。有名なネタ職人たちもだんだんと集結していて、やっぱみんなここに集まってきたかという感じ。メールが来すぎてサーバーをパンクさせるほど急激に人気になってます。


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というわけでベスト3が全部地方の番組になりました。特にTBSはずーーーーっと同じ編成で高齢化がえぐすぎる、さすがに年寄りすぎて話がわからないよ。ローマの元老院じゃあるまいし、若手育成しないと・・ニッポン放送は次世代もすでにスタンバイさせていて偉いですね。でまた来年の改編期に会いましょう。

 

2022年9月4日日曜日

2013 ドラゴンボールZ 神と神

   鳥山明本人がキャラデザと脚本を担当したDBのリブート作品といえるような物。


 あれですね、やっぱ作者も年をとったと見えて、悪いやつ、ってのを作れなくなってるなぁと感じます、丸くなった。ドラゴンボールってよくよくちゃんと読んでみるととんでもなく悪いヤツが出てきますからね。街をぶっ飛ばしたり、星をぶっ壊したり、そこらのクライム系のドラマもびっくりの。絵がシリアスじゃないから深刻じゃないだけで。この映画基本的に悪いやつが一人も出て来ない。


 でもやっぱさすがに鳥山明は天才でして、まぁまぁの出来といえると思います。やっぱドラゴンボールって面白いよなぁって思える。何も考えずに見れる、持ち前の明るさ、みたいなものがある。昨今の物ってどうもなんかシリアスだったり暗い部分を出したほうが良いみたいな流れがEVAからあって、EVAの負の遺産ですけど、なんかなぁって思う。またトラウマ自慢かよっていう。何も考えずに楽しく見れる、夏休み東映アニメーション、それが良いですよね。


 前半かなり前フリっていうか遊びの時間が長くて、あと20分は短くできるんじゃないの?って感じもしましたが、そういう悪ふざけ的な軽い笑いがむしろ鳥山明本人は好きらしいですし。


 作画もまぁまぁ良きです、東映アニメーションにまだアニメーターいたんですなぁ、3DCGはかなり安い、まぁリアルにしても違和感なのでバランスが非常にむじーんですよねぇ、アニメと3DCGをいい感じに合成するのって。写実的に作るほうがよっぽど簡単だったりする。

 単純に、映像、自体が綺麗なので、新鮮でもある。もう一度はじめっからDBリメイクってのもありかも、ワタシ基本的にリメイクとかは否定派なんですが、やっぱ音楽と映像は単純に綺麗に見たいという望みもあるのでなぁ・・・。実写は役者の問題で無理ゲーなのでアニメはHD化してほしいの結構あるなぁ・・・若手アニメーターの練習としてもやってくれたらいいですのに

1922 赤毛のレドメイン家 イーデン・フィルポッツ

  突然謎の絶世の美女が現れて・・・


というめちゃくちゃ面白くなさそうな始まり方をするミステリーですが、非常に有名な作品。江戸川乱歩のお気に入りだったらしく、ミステリ・ランキングみたいなので一位になったこともあります。

 

 小説の舞台はダートムア・・・・ダートムア??どこかで聞いたことのあるような・・・と思った方が多いはず、ワタシもダートムア・・?となにかがひっかかった。


 そうです、ダートムアはあのホームズの最高傑作とされる「バスカヴィルの犬」の舞台なんです。同じミステリーとして、ダートムアを舞台にするってことは、必ず意図的なそれだとわかるわけ。いわばベイカー街に探偵事務所を立てるようなもの、絶対アレじゃんってわかるわけです。


 こっからネタバレあるので注意!


 といってもこのミステリはすごいトリックがあるタイプのものじゃなくて、ある程度読めば読者にも犯人やトリックはわかるような感じだと思います。


 一番のトリックは、地の文、です。


 主人公的なポジションである男を、彼は優秀な判断力を持った、才能のある人間、である、と紹介するのですが、こいつは超弩級のポンコツで、才能も全くなければ判断力も0。最終的には「この人は美人だからいい人に決まっている!ボクが好きな人間は無実と決まっているんだ!」的な事を言うクズ人間です。


 でもこれって、ズルじゃない??ってワタシは思いますけどね・・・


 彼女は黒い肌をしてメガネをかけていた・・・


 というのは嘘で本当は白い肌をしてワンピースだった。


それってズルじゃない??登場人物の一人称セリフで

「こいつは脳足りんの阿呆だとオレは思った」

*でも実は天才だった。

 っていうのはアリですけど


これは9月11日の出来事だった・・・(本当は9月13日)、って地の文で嘘つき始めたらめちゃくちゃじゃないですか?


 あえてそうしてるのだとしたら、たしかに非常に挑戦的なミステリであります、それありなの??っていう。ミステリというよりもはやダダイズム的なシュールレア小説ですね。小説という枠組みごと破壊しようとしてる。でもそういうことでもないと思う・・・


 このミステリはそういう問題もありありですけど、描写などは文学的でして、舞台もイギリスからイタリアなど幅広く、スリラー的面白さもある。セリフなども結構含蓄に富んでいる。


 でもワタシはあんまし釈然としませんなぁ、それおかしくないか??っていう部分もめっちゃある。たとえばものすごい美男子と美女、が登場するのですが、突然誰もがそれに気づかなくなってそんな人物はまったく記憶に無いと言ってみたり、突然だれもがその魅力に一瞬で虜になると書いてあったりもする、変じゃないそれ?

 変装の名人で誰にも見分けがつかない、ってのも、うっそぉん、ルパンじゃあるめぇし・・・これがランキング一位??・・


 最初の通り、絶世の美女が現れて・・っていうのは、ワタシとしてはこの時点で良くない気配を感知していたというわけですなぁ。

2022年9月3日土曜日

1943 Angels of Sin 罪の天使たち  ロベール・ブレッソン

  ブレッソンの実質デビュー作


 ワタシはブレッソンの映画が好きですね、年をとるとさらにブレッソンが好きになったと思います。

 この作品は1943年ですから、ナチス占領下での作品ということになる・・実際どういう経過で作品が作られていたのか知りませんが(まさかゴリゴリに空襲中の中作品を作ってたわけでもありますまい)、とにかくすごい状況で作られた作品なのは間違いありません。

 そういうわけで撮影もめちゃ困難だったと思いますが、それでも、もう完全にブレッソンのスタイルは確立されてるっていう感じです。ブレッソンは始めっからブレッソンだったようです。

 フェリーニ、黒澤、ベイルマン、タルコフスキー、キューブリックと、他の半ば伝説的な映画監督は結構それでもメディアで発言したりしていて、だいたいこういう人物というのは目に浮かぶのですが、ブレッソンに関しては本当に謎の人物としかいいようがない。


 戦争中に捕虜になったことがブレッソンを変えたという噂もあります、シベリア送りになって、覚醒したドストエフスキーとも重なりますね。たぶん、ブレッソンもキリスト教徒のようですが、普通、のキリスト教ではなくてこの人独自の信仰、めいたものがあります。とにかくなにかに覚醒してるのは疑いない。


 昨今、ますます、こういったカネにならない系の映画監督はいなくなりました。いや、どこかにいるのかもしれませんが、見つけようがない。

ここ10年くらい映画ほぼ見てませんでしたが、最近なんか見れるようになってきました・・

ちょっと物色してみようかしら・・・

2022年9月2日金曜日

2007 世界歴史大系 南インド史 Ⅰ  山川出版

 ちとインドの歴史が知りたいなぁと思って調べて見ましたが、ちゃんとしたインドの歴史を通史として追ってる本はほぼこれ一択でした。


 古代から1000年頃までを収録しております。


いかにインドの歴史ってのが馴染みが薄いかってことですよね、まったく知らない固有名詞のオンパレードでちんぷんかんぷん。

 いかに学校で習う歴史が、ヨーロッパ中心かって話です。世界史というよりヨーロッパ史ですから。更にいえば、7割くらいはイギリス、フランス、アメリカ史です。


 インドの歴史はこうだ、っていうのは一言ではまったく言えないのですが、やっぱり混乱が長い、っていう気がしますね、王国もだいたいは個人のカリスマ性に依存していて、すごい大王が現れると一時的に支配を確立しますが、そいつが死ぬとすぐに崩壊する。

 それといろんな宗教が対立してるってことです、西洋みたいに基本キリスト教で染められるってことはない、バラモン、ヒンドゥー、仏教、ジャイナ、ゾロアスター、イスラム、など違う宗教が入り乱れてるので、なかなか一つにまとめるのは無理ゲーって感じのようです。更にガンガン、ギリシャ、ペルシャ、異民族やらが侵入してきますので安定しません。安定しない、それがインドっていう場所なのかもですね。


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 -2600 インダス文明が北西インダス川の周り一帯に成立

-1800 インダス文明が崩壊 原因はインダス川が洪水によって流域を変えたなどの環境による変動


-1500? アーリア人の侵入  アーリア人が文字などの言語と、ヴェーダという宗教的なものなどをもたらし「ヴェーダ時代」となる


 ヴェーダとは知恵、という意味で。そのコトバそのものに力があると考えられて、その力のことを「ブラフマン」と良い、それを使う者をブラーフマナ、バラモン、と言う。


-1000? 十王戦争

 バラタ族とその他の部族の王(十王)との間に大規模な戦争が起こる(十王戦争)、バラタ族が勝利した。これがマハーバーラタ、の原型。

 その後クル族がクル・クシェーストラを中心に初期王国を作っていく 後期ヴェーダ時代に入る。

 北西インダス川流域から、北東、ガンジス川へと勢力は拡大、バラモン教が北インド全体に拡大していくことになる。


-600頃 一六王国時代 文明の中心はガンジス川中流域へと下り、十六近くの小さな国家が乱立する時代となる。

 ブッダはその中の一つシャーキヤ族の王族として誕生。

やがて王国の一つで専制君主国家だったマガダ国によってインド統一がなされていく。マガダはインダス川沿いから離れていたのでバラモンの影響が少なく、ヴァルナによらない実力主義で人材登用する。

*仏教もヴァルナ、生まれによらずに、個人の行いで救済は得られると説き信者を獲得


-518  アケメネス朝ペルシャによって西北インドがペルシャの属州になる


-330  アレクサンドロス大王がペルシャを滅ぼしインドへ。インダス川まで達して帰還する。支配した場所にギリシャ政権を残していく


-320 チャンドラグプタ王のマウリア朝が北インド制圧、ギリシャ人を駆逐、シリアとも戦う。

 チャンドラグプタの参謀カウティリアが政治論「実利論」を書く。


-261 アショーカ王がインド大陸をほぼ統一 仏教に帰依して仏教が広まる。

アショーカの死後王国は崩壊


0~ ギリシャの影響で仏像などが作られる

仏教から大乗仏教が発展。自分だけが悟りを開くのではなくて、悟りを開いて他者をも救済しようという思想。(回向)孤立出家主義からの脱却

 仏教やジャイナ教が広まるにつれて選民主義のバラモン教は勢力を失う。バラモン教も民衆も救われるという民衆救済思想へと変化、土着の神などを吸収して、ヴィシュヌ、シヴァ、ブラフマーの三神を主神、あるいは同一の存在(トリムルティ)とするヒンドゥー教へと変化した。


318~  グプタ朝のチャンドラグプタ王が勢力を伸ばす、息子のサムドラグプタ王、チャンドラグプタ2世がさらに勢力を拡大


550 フーナ族(フン族)の侵入によってグプタ朝は衰退


600~  ガンジス上流のカナウジ、を中心としたハルシャ、が北インドを制圧、唐から玄奘などが来る

 ハルシャが死亡すると王国はすぐに崩壊


650~  三大王国時代  インドを統一するものがいない混乱期となる


1000~ サーマンタ という地方大名みたいなのが勢力をつけてさらに王国乱立状態