クリスティの中でも最高傑作とされることが多い作品の一つ。
ですが、いわゆる探偵もの、ではなくて、ミステリーです。
ポアロのもとに挑戦状が送られてきて、その殺人犯は予告通り、ABCのアルファベット順に殺人を犯していく・・・
っていうスリラーと言えるのかも。
探偵もののように登場人物が、明らかにされて、この中で犯人は誰でしょう?ではなくて、完全なオープンスペース、犯人候補は無限にいて、誰が犯人か?を考えるのではなくて、犯人をどうやったら捕まえられるか?という形式。
物的証拠、やトリック、みたいなことではなくて、心理分析、精神分析、みたいなのが主軸になっている、サイコミステリー、みたいなのの先駆けとなる作品です。
そういうわけでこれまでのクリスティの作品からも、かなり異質で別のスタイル、構造を持った作品なのですが、あまりにもこのABCが大当たりしたために、ミステリーってのはこういうものだと思っているヒトも多い。
そのくらい、ABCみたいな小説は数万冊、ABCみたいな物語を使ったドラマだったり、ゲームだったり・・・を含めれば、数百万はこのABCみたいな、物語の型、を持ったものが存在すると思われます。
とくにこの、連続殺人鬼が犯行予告を送ってくる、ってのが映像としてわかりやすいのか、映画などでひじょーーーによく模倣されてる気がします。
そのくらい、「型」、一つのジャンルを生み出した、古典、って言われる作品です。
探偵がいるのに、次々と犯行が行われていく・・・っていうのも、新しい試みなのですが、むしろこっちが普通になりすぎていて、 新しいと思わないくらいです。
これはミステリーに興味があるなら、絶対に読むべき本。ただ、最高傑作かもしれないので、これから読み始めるのはおすすめしません、他のを読んでから、だんだんミステリってのがわかってきた、ってなってから読むべきなのかも。最初に読むと、これが斬新だってことが伝わりづらいかも、それくらい、無限に模倣されているので。