2011年12月29日木曜日

アラビアのロレンス Lawrence of Arabia 1961

たぶんナウシカはロレンスをやりたかったんだろうなぁ、それをファンタジーにくるんで。成功したかどうかはわかりませんが、途中でもうコントロール不能になってしまいましたから。

 戦争映画なら確実にトップの映画です、それはロレンスっていう主人公が・・・不完全な人間だからですね、ロレンスは暴力衝動も持ってて、戦争好きでもあり、民主主義的信念やら文明やら平和だの云々みたいな観念も持ってて、しかも教養も有り、凡人のエゴも有り、カリスマ性もある。 英雄には程遠いけど、英雄そのものでもある。ナウシカはそういう迷いは無い完璧な人間だったし、アバターやらなんやらエンターテイメント戦争映画はそういうところには踏み込まない。ヒトを殺し、奪い、支配し、尊敬され、愛され、栄誉を得る、戦争にはそういう人間の本質的欲求を満たすものがある、じゃなきゃだれも戦争なんてやらない。人間が絶対に飽きない遊びは戦争だけなんだから。
 戦争映画で、ある種戦争肯定的というか、人間はそんな簡単に平和が一番だなんて斬って捨てるみたいなやり方じゃ捕らえられないものだよっていうのを訴えてくる作品はこういう大作映画ではほかには無い、というか出来ない。そしてサブテーマであるアラブ民族と帝国主義国家の軋轢という問題の深刻さと激烈なリアリティ、今こんな映画とったら確実に殺されるたぐいのものです

それはこれがイギリス映画だからってこともあるでしょうね1961年、ハリウッドはまだあの古き良きハリウッドを気取ってた時代にこんな劇的な形でアンチハリウッドの完成品が突然現れるとは思ってなかったでしょう。これ以後にあの希望に満ちた幻想としてのハリウッド映画を作ることは不可能になりましたから・・・そこからインデペンデント系やらニューシネマが生まれることになるわけでした。50年前の映画なのに・・・・

                          by infin de siecle