これはいつものミニ―が登場、悪者登場、ドタバタ劇っていうMMのベタ中のベタ、舞台は冬山、そしてウェスタン、というベタ揃い踏みの作品ですが、技術力がぱねぇ。時々どうやってこれ作画したんだ!ってくらいものすごい手間のかかるカットをほんの1秒くらいのネタにぶっこんできます。この作画枚数だけで今のアニメの一話分くらいあるんじゃねぇかっていうくらいのすごい作画。丸太がバラバラって降ってくるやつだけでも相当なもんです。アニメーター優秀すぎんだろ。
1932年頃というと世界恐慌の時代でして、ディズニーだけはうらぶれた労働者を、才能のあるやつも含めて極めて格安で大量に雇用出来た、っていう伝説があります。それがのちのちウォルトは労働者に対する扱いが階級的だ!差別だ!ってことで労働争議に発展するわけですが、確かにウォルトの言い分もわかって、あの大恐慌の時代に拾ってやったのは誰だと思ってやがる、それがすぐに手のひら返して労働者の権利!労働者の団結!アンチ階級!っていうふうになる。オマエラは知らねぇかもしらねぇが、おれだって労働者だったんだ!ってことですね。ウォルトがカネに困って駅のトイレでカラダを洗って不眠不休でアニメーションを売り込みに駆けずり回ってたというのは有名な話。
ウォルトは貴族の大金持ち生まれなら話はわかるけどウォルトの家も貧乏だったのですね。でもウォルトが金持ちのボンボンじゃなくて、実は本当の苦労を知ってるってのが、ディズニーのほんとの根幹で、骨の骨の部分だと思いますね。それが無かったら、ほんとにくだらないものになるとこでしたが、その経験が名作にしてるわけです。