2019年2月9日土曜日

1989 ビアス傑作短編集  つかのまの悪夢  東京美術

 というわけでビアスの短編集の上巻を読み終わりました。

 すぐに気がついたことなのですが、ビアスとワタシ、気が合います。

 わかるーーー!!ということばかり。

人類は自滅する  わかるー!
家族は崩壊する  わかるー!
死、だけが最後の手段で自殺に肯定的  わかるー!
権力者だけでなく無知な民衆も嫌い   わかるー!
運命は悪夢であり、なんの意味も理由も無く死ぬ  わかるー!

 
悲観主義、と言われてますが、そうでないと思います、真実主義、ってワタシは言いたい。嘘っぱちに逃げないで事実をありのままに受け取りたい。事実をありのままに言うことが悲劇的だって言われるなら、人生が悲劇なのであって、悲観的に、それを言ってるのではなくて、事実を、脚色しないで伝えているだけなのだってわけです。

 
 ワタシは登場人物がバサバサ死んでいく物語が好きです、シェイクスピアイズムですね。実は生きていたのだ!!っていうのがすごく嫌い。その後幸せに暮らしました。いやいや幸せに暮らすなんてムリだし、って思う。死、で終わる。物語としてはこれが正解だと思います。


 家族モノが嫌いってのが一番共感ですかね、ビアスには家族愛的な匂いが一切無い。明らかに自分の親や家族が嫌いだったんでしょうね、すっごい共感。ドライで冷徹、しかし的確で鮮明。ほんとに名文家ですこの人。後編もあるので今はこのへんで・・・


 蛇足ですがこの本の裏表紙にビアスの写真が載ってるのですが、賢い人間ってだいたいこのタイプの顔だよなっていう感じです。顎ががっしり、古いタイプのイケメンって顔で、目は射抜くようにするどいけれど、その視線は虚空を見ているっていう顔。ドストエフスキーとかタルコフスキーとか、たいていこの手のタイプの顔つきです。