2019年12月26日木曜日

1908 木曜日だった男  チェスタトン a man who was Thursday : a nightmare

 ーー義務感と宗教が真に破壊される時、破壊するのは金持ちなんだ

 たぶんこの本読むの2回目なんですけど、記録も記憶も残ってないのでもう一度読むことにしました。

 チェスタトンはワタシ的には最も過小評価されてる作家、ですね。おそらくチェスタトンの知名度はものすごい低い。
 けど、ワタシはチェスタトン、が現代小説、の先駆者だと思っています、どっから近代でどっから現代か?っていう話ですけど、ワタシはオスカー・ワイルド、ニーチェまでが近代、そしてチェスタトンが現代の幕開けを告げる作家です。
 今みたいに世界が一つのシステムで動いてませんでしたから、日本みたいに遅れた国では1940年代でもまだまだ近代的な作品が書かれていましたけども、当時の最先端だったヨーロッパでは20世紀初頭には現代小説が生まれております。

 現代小説って何なん??って言われると、ワタシ、の定義ですけど
「どういうふうに生きればいいのか?」
 っていうのを探す、ってのが近代小説、もはやそういう答えを探さないのが現代小説ですね。
 近代小説ってのは、哲学、でもあって、だからこそ近代小説を読むのは、命がけみたいなところがあった、ウェルテルが死ぬならオレも死ぬ、スタヴローギンがテロをやるならオレもやる、トルストイが農園に暮らすならオレも田舎に引っ込む、ってな具合。人生の答えを探してるみたいなシリアスなものでした。

 現代小説は、気づいてしまったのだ、何も答えが無いってことに。ってことです、最高に現代小説的な本があります、ウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」
 現代小説ってのはそういう調子。

 チェスタトンはかなりイカれた作家でして、ゴリゴリのカトリックでありつつ、ミステリー小説作家である。
 ワタシはチェスタトンってのは本当にイカれてたのだと信じております。霊感、エンシュージアトモス、は狂気、と同じものだと言われていた通り。
 このヒトの描くコトバって、まったく真実が一つもないような感じを受けつつ、本当に誰よりも真剣にしゃべってるようにも聞こえる、すべてを嘲笑してるようで、本気で信心を持ってるような。まさしく狂人、みたいな文章なんですよね。
 ドストエフスキーに非常に近い。どっかで、なんか全部大嘘をついてるんじゃないか?っていうような文章なんですよなぁ。


  副題に a nightmare とある通り、夢オチです。ちゃんと最初に断りを入れている。内容は、ひどく説明し難い。アナーキストを皮肉ったコメディのようであり、アクション満載のサスペンスでもあり、虚無と戦う天使たちの宗教話でもあるという具合、まさしく、悪夢、そのままです。