2020年1月3日金曜日

1924 矢の家 メースン the house of arrow

 これもまた黄金時代の著名な作品。

  が、ワタシはあんまし好きじゃない部分がたくさんありましたね。

・まず主人公のワトスン役の男が、あまりにもアホすぎて、ちょっとわざとらしい、物語を進行させる為とはいえ、あまりにも馬鹿すぎて、冷める。

・美少女、に頼りすぎ。これは時代的なものかもしんないけれど、結局のところかわいい女の子は絶対正義で、命に変えても守らないといけない、という騎士道精神が古臭すぎる。ドン・キホーテじゃあるまいし、美少女の為なら、もちろん死ぬ、みたいな人間、現実にはいません。
 ともかく全編を通じて、カワイイは正義!ポンポンポーーン!!みたいなノリなので、胸糞悪い。
 けれどこれが、この本が人気な理由なのでせう。世間はとかく、ポンポンポーーン!のほうが多いのですし。
 ミステリーには必ず、謎の美少女、あるいは年を取らない美しい未亡人が絡んでくるっていう悪癖を生み出してしまったのかも。あとお金持ちと、でかいお屋敷、ですね。けど、現実的に、美少女もお屋敷も未亡人も、まず存在しないし、リアリティがなさすぎるぜ。


 文句ばかり書いていますが、100年も前の作品なのに現在まで残ってるのですからもちろん良い点もたくさんあります。ホームズテイストのアクションが強めであり、スリリングな解決ですし、話の展開も巧妙。
 
 がトリックはいわゆる禁じ手に属するもの、というかこの作品は禁じ手のオンパレード。まぁ禁じ手ってやつは、最初に出された時には斬新なもの、として登場するわけで、そのあと、あまりにも強すぎるって禁止されるわけで、当時は禁止ではなかったんでしょう。
  もちろん種明かしはしませんけども、少なくとも夢オチでは無いです。