2020年4月2日木曜日

1977 007 私を愛したスパイ The Spy Who Loved Me

敵のボスが

「この世界は堕落している、だから新たな創造のために破壊しないといけない。ワタシはカネなど欲しくはない」

っていう、ただ世界を滅ぼしたい。世界を支配したいのではなくて、世界を滅ぼしたい。っていうキャラです。こういうタイプの悪役っていつ頃から登場したのかな?って思ってましたがこのあたりが初登場なのではないでしょうか。
 ようするにこの虚無主義タイプってのは、デタントの産物、あとヴェトナム戦争の産物なんですね。ソ連、っていうわかりやすい敵がいなくなってしまった、さらにアメリカが敗北する、という、正義、の喪失、敵、がいなくなったことによるイデオロギーの喪失、それがこの虚無主義的悪役のルーツのようです。
 そしてこの正義とイデオロギーの喪失、が生んだもうひとりのモンスターが、マネー万能主義、結局世の中カネだ、カネさえあればなんでも出来るっていうタイプ。これが虚無主義タイプの双子として生まれ80、90、00、年代のバブルを繰り返し生み出して行く。

 虚無主義タイプは純粋悪ではないってとこがポイントですよね、だいたいこの虚無主義タイプはやられそうになると現代文明がいかに腐っているかっていうことを説明します、お前等はオレを人殺しというけれど、貴様らの文明はカネのためにどれだけの人を犠牲にしているんだ!どれだけ環境を破壊してミライの生き物を殺しているのだ!っていう調子。そうするとどうやら相手の言い分にも一理ある・・ってことになる。
 
これに対する解答、ってのが未だに答えが出てないと思いますね。
例としては
 1だからって人を殺していいってことにはならない、オマエもその腐った現代文明の支配者と同じだ!神様にでもなったつもりか?人には人を裁くことは出来ない
 っていう論点をずらして人格攻撃にすり替える方法
2そうかもしれない、けれどワタシは人間を信じる!ワタシタチが頑張ってミライを変えてみせる!
 っていう希望的観測とキレイゴトを吐く方法。
3 オマエの言う通りだ、けれど綺麗にすべてを一瞬で終わらせることなんて許さない、傷つけあって奪い合いながら、それでも生きていくさ
 っていう相手の言うことを認める、っていう方法。こういった感じのことを宮崎駿がもののけ姫の頃に言ってました。


 どれもよーーーく考えると、うまくぼやかしているだけでなんの解決にもなってない、だから未だに、この虚無主義的悪役とマネー万能主義という双子の悪魔が登場しますね。