2021年6月1日火曜日

2008 図説第一次世界大戦 下 歴史群像シリーズ  学研

  前回に続いてその下巻。


 第一次世界大戦が始まった時、その戦争がまさか5年も続くなんて誰一人考えていなかったのである・・・


 みたいなことを言うのですけど、そりゃそうだろ、って感じです。

 現代の人々を見よ。一ヶ月先の未来もわからないでその場しのぎのことをその場しのぎの発言で乗り切り、その時の気分で動いております、戦争の行く末なんて誰も知りませんよ。

 二年前にパンデミックが起こるなんて言ってたやつは1人もいなかったし、去年だってそれが一年以上続くなんて誰もいって無かったですもの。未来のことは誰にもわかりません。毎日100人以上大虐殺とも呼べるくらい人が死んでるのにオリンピックやるって言ってる国もあるくらいなんだから。

 

 WW1の戦後処理が復讐心をそのままぶつけたものだったためそれがWW2の引き金になったのだ・・・これも、いやいや、そんなこと誰にもわかりませんやん、って話です。誰がボリシェヴィキが生き残ると予想出来たでしょう、レーニンですら予想外だったと思います。


 あといろんな闇に消された過去みたいなのが調べるとありますね、中国はウイグルでジェノサイドを行っている!みたいなこと言っておりますが、アメリカは先住民を殲滅してますし、イギリスはインドで虐殺をやっておりますし、日本、ドイツ、経済大国はすべてジェノサイド先進国です。

 特にイギリスの中東の戦後処理ってのはひどくて、そりゃアラブ人がキレるのも当然って感じです。その汚い政治的手腕こそ、大英帝国らしさでもあるのですけど。


 でも不思議なことは、イギリス帝国が崩壊したってことですよね、戦勝国であるはずなのに大英帝国は弱体化していく。その原因は戦争による疲弊だとかアメリカの台頭だとか、民族自決、民族主義の高まりだとか言うのですが、ふむふむふむ・・・。

 でも逆じゃない?とも思いますよね、アメリカが台頭してきたからこそ、大英帝国は固まって対抗したほうが良さそうなものなのに、どんどん分離独立していくことになる。アメリカが裏から糸ひいて分裂させた、ってのが正しい気がする。


 イギリスとフランスのWW1での一番の負債は「戦争」に対する恐怖心とも言えるようです。宥和政策(アピーズメント) 平和、というきれいなコトバで繕って、本当は自分たちが犠牲を払いたくないので、無視する 見ないふりをする という態度です。耳が痛いぜ。

 

 この見たくない、聞きたくないことは無視する、無かったことにする、っていう風潮がアメリカにも広がっていますね。後の歴史家は言うかもしれません、アメリカが中東から撤退したことにより、アメリカの覇権の終わり、そしてルネサンス以来続いていた、いわば第二古代文明は崩壊することになった、ってね。

 なんだか結局アメリカは30年近く続いた中東戦争に敗北して撤退した、ってことを誰も言わなく無いですか?


 なんにせよ、第一次世界大戦ってのは振り返るとタメになることが多いですね。