和訳のタイトルが意味不明な、現代文学の古典。タイトルは聞いたことあるけど読んだことないシリーズ。
私は英語で読んでみました。
直訳するなら・・・、といいたいところですが、直訳することはできない英語ですね。タイトル専用の言葉。意味は通じない言葉です。
「モッキンバードを殺す・・・」、みたいな尻切れ言葉ですね。
内容は1930年代のアラバマで暮らすジェムとスカウトの兄妹が、社会の不条理、人種差別、法律、貧困、精神障害者、痴呆、アル中、死、南部と北部の対立、無教育、文盲、みたいなのと直面しながら成長する、って話です。
が話の中心は、無実の罪で起訴された黒人の弁護を、親父であるアティカスがすることになるって話で、アメリカの物語ってぜっっっったいに人種差別が絡んで来るのですよね、他に語ることないんか?ってくらい。アメリカ人以外には理解できませんが、アメリカという移民国家の根幹にある問題なんでせう。アメリカとは人種差別の国であるって行ってもいいくらい、アメリカと人種差別は同じものみたいです。
ほいで当然ながら人種差別のないほうがいい!っていう結論です、あたりめーの話ですが、南部、という黒人差別の根強い、しかも1930年代の話ですからね。これが出版された1960年というのも、ご存知公民権運動の時代ですのね、まさに時代に突き刺さった話というわけです。それを子供の視点で描く、ってのはある意味卑怯、政治的なやり方とも言えます。
この作者のハーパー・リー、私は男だと思ってましたが、女なのです。ハーパーって女の名前のようだ。
この物語の主人公スカウト、も男みたいな、女の名前です。私ずっと男だと思ってましたが、中盤でスカウトの本名がジャン・ルイスだとわかります、ジャン・ルイスも男ともとれる名前ですけどね。だからハーパー自身の投影なんでしょうね、男みたいな女の名前ってことなんでしょう。
このハーパー氏は、このモッキンバードが大当たりして、ピューリッツァー賞を取り、その後一切作品を発表しませんでした。つまり一発屋。確かにでもこういうたぶん自伝的な作品で世に出た作家は、続編は出しにくいですわね。明らかにフィクションじゃないので。
ですが最近になって続編が出たのですがとんだ駄作だったようです、さもありなん。
アメリカでは長らく教科書にのってる小説だったようで知名度は抜群です、夏目漱石の「こころ」と同じポジションですね。
ただ英語はやっぱり古くてしかも30年代の話ですし、さらに南部方言が多くてけっこうよみずらかったです。文体もなんだかはっきりしないというか。
ただ、この人種問題は別にして、「子供が社会の不条理と出会う」、っていうテーマは非常に的を得てるっていうか急所をついたって感じですよね。
なんだか大人はごちゃごちゃマナーだとか礼儀だとルールだとか抜かしてるけど、駅前のホームレスを誰も助けない。ほいでホームレスの正体は保護者を失った知能障害者だったりするわけです。みんな中高生の頃にこういう、見たくもない現実、に出会う。たいていの人間は、諦める、無視することを選ぶ。そうすることでオトナ、になるわけです。
さてあなたはどうする?