2023年11月1日水曜日

1995 スレイヤーズ(劇場版)

  スレイヤーズの劇場版の第一作。

 「角川アニメフェスティバル」なるもので、『はじまりの冒険者たち 〜レジェンド・オブ・クリスタニア〜』とのカップリング上映。


 今ではそういうのがなくなりましたが、当時はこういう短いアニメ映画が抱き合わせで上映されるっていうのが多かったですよね、東映アニメフェスティバル的な。


 海外のアニメニキは「Jap 90’s Anime Style」が最高であった。と訳知り顔に昨今語っております。デジタルアニメの無駄なグラデーションなどがない、ソリッドな絵作りと手書きの味わい、これがジャパニメーションの絶頂期であったなり。みたいなことを述べております。

 日本ニキじゃなくて、海外ニキたちが、90年代アニメを評価するってのが面白いところですわね。彼らこそCG大好き民族として、3Dアニメを支持していった人ですが、CGIアニメおもんない・・・と最近言ってるみたいです。


 90年代アニメ、要するにセルアニメですが、たしかにセルアニメの、重み、みたいなのがデジタルによって失われたのは本当にそう思う。セルアニメの、色の濃さ、みたいなのがデジタルだと再現できない、デジタルはどうあがいても色が軽い、んですよね。これがなぜなのかはわからん、たぶん撮影、が重要なのだと思う。セルアニメは当然、カメラで撮ってるわけでして、デジタルはカメラで撮る、作業はなくなった。

 カメラで撮るとマルチプレーンなどの、独特の、空気、表現があったのですが、デジタルは非常に画面が平たく感じられてしまうのです。

 千と千尋以降宮崎駿レイアウト下手になった、と言われますが、実は、駿が下手になったんじゃなくて、デジタルアニメによって、奥行き、が失われてしまったとも言えると思ふ。

 CGによってZ方向にカメラを動かせるようになりましたが、絵自体に奥行きはなんだかなくなった感じなのです。やっぱり絵で奥行きを出すのと、カメラで実際に奥にある、ものを撮るのでは、埋まらない溝があるみたいです。


 ほいで90年代はアニメブームで、バブル崩壊したとはいえ、まだまだ金があったってのもあります、今では、あんな手作業でアニメ作るのは到底無理です。まずアナログは画材代が非常に高く付く。絵の具だけでなくて筆、の消耗も馬鹿にならないし、紙ももちろん高い。そういうわけでは、昔出来てたけどもう出来ない、ディズニー黄金時代みたいに、昔のほうが良かったといえるのかもですね。


 内容なんですが、ご存知スレイヤーズ、はライトノベル、というメディア自体を確立させた、パイオニア作品。今の異世界もの、RPG世界に飛び込んだら・・・みたいなのも全部ルーツはここにあると言ってもいい。スレイヤーズがなかったら、現在のアニメジャンルはたぶんかなり違うものになってしたはず。

 女が主人公、っていうのも斬新ですし、今見ると、この当時としてはデザインがポップで垢抜けてますね。同人っぽいっていうのか、エロにも振っていて、やたらおっぱい作画も多く、オタクの目を養いました。

 RPGっぽい世界観ですが、いかにもオタクオタクしてないで、ポップで軽いタッチで、万人受けするってのがスレイヤーズ最大の功績だと思いますね。それ以前のファンタジーってもっとD&Dみたいに、わりかしシリアス目だったように思われます。

 プロットは60分ですし、結構はちゃめちゃです。まぁアニメフェスティバルの映画なんてこんなもんよ。けど作画は枚数使って結構頑張っている。