2018年5月4日金曜日

高畑勲 死亡 人文主義の衰退

 かなり遅くなりましたが、高畑勲が死んだということで。よく逝去しただの、おなくなりになっただの、婉曲表現をシますが、わたしは死、という漢字が好きですね。どことなくサンスクリット語みたいな形をしてるし、漢字の中に夕日が埋め込まれてるのも詩的で良いじゃないですか。婉曲表現が嫌いってのもあります、結局ストレートなのが一番スマートだし伝わる。人身事故ってなんやねん!っていっつも思う、本当に事故なのか身投げなのか、ハッキリしろよ。


ハナシを戻しますが高畑勲って実は映画監督としての才能が無かったのですよね、正直作品はまったく面白くない、とワタシは思う。

けど恐るべき理論家というか理想家というのか、思想的に他に並ばないくらいの映画マニアというか知識人でした、宮崎駿の師匠筋でもあります。宮崎駿に知恵を授けたのは間違いなくこのヒト。ラピュタ以降の駿作品は理屈っぽくてつまらん、ってヒトもいますけども、けどいつまでもラピュタとかカリオストロみたいな軽いアクション映画ばっか作ってても進歩がないって言われるもんです。
 なにせこぉいういわゆる、インテリ、全然おもしろくない本をしこたま脳内に溜め込んでいるヒト、ってのは本当最後の世代なんじゃないですか?ドゥルーズがね・・、みたいなことを言う人間。ファウストじゃないですが万巻の書を読み・・っていうタイプ。

 構造主義的な観点からするとね・・・みたいなしゃべり方。それはポストモダンだね、みたいな。いなくなったなぁ・・・

 知識人ってのがもう絶滅寸前ですものね。知識とか教養とかクソどーでもいいから今すぐカネになる方法を教えてくれや!っていう時代。


今大学からは人文主義系の学問、というか教養学問、というのが無くなるという流れがあります。何故というにカネにならないからであります。もっと直でカネに結びつくものだけを学ばせなくては。


 だから数学、理論科学、工学、情報処理学、要するには工科大学、を大学、と呼ぶことにしようってことですね。総合大学は消えて、専門学校、職業訓練学校、工科大学、だけになるというわけ。


 これはでもワタシは賛成なんです。うそぉん、教養がやっぱ大事って言う流れなんじゃないのー??っていうかもしれませんが


 教養が得たいなら自分で学べばいいやん、大学という半公的機関でそれを学ぶ必要無いのです。
 ワタシが大学に行ってた経験からするとすでにそうだったからです。みんな就活のステップとして大学に行ってるだけで勉強しようなんてのは教授になろう、教育機関に就職しようという2%の人間だけです。大学1~2年はサークルなどでセックスと恋愛ゲームを楽しみ、3~4年は就活(あるいは資格試験、就職試験対策)で終わる。これが大学の実際です。なにかを学ぶ時間など無い。ゼミとかも就職に結びつくものをみんな選ぶし、実際に就活で時間がないのでなにかを学ぶなど不可能。卒論はなるべく適当に仕上げる。
 
 それは学生の問題じゃなくて社会の構造上そうです。学生なんだからきちんと勉強しろなんて言うけども、じゃあオマエ卒業したあとの生活費を出してくれるのか?奨学金を返してくれるのか?ってハナシ。勉強なんてしたいと思ったとしても、そんな時間はない。
 大学に行ったことが無いひとは、大学生はクズのアホばっかりだから、セックスに夢中で勉強しないと思ってると思うのですが、まぁそれもありますけど、経済的理由により不可能というほうが過半数だと思います。
 大学の学費、生活費を払うためにバイトなどしてるとさらに時間がない、奨学金返済の為に就職で絶対に失敗出来ない。要するに吉原に売られてるのと同じで、将来いい会社に就職して返すという約束で先におカネをもらっているので、選択肢がないのです。
 
 
 受験戦争が終わってすぐの1年にまた一日12時間の勉強を続けろってのも酷な話です、少しくらい休ませろ。ようやくそろそろなにか学ぼうかという2年になると、もう資格試験だの、採用試験、就活のための説明会、インターンなどが動き出してるというわけ。
 親がしこたま金持ってて、コネで就職も決まってて、外車を乗り回してヤリサーでやりまくるだけが人生のすべてなんていうのは、いるにはいるけどやっぱりほんの一握りです。


 っていうか大学っていらないんじゃないの?ってワタシは思う、時間とカネをムダにしてるだけです。企業が職業訓練をしてくれよってことを思うわけです、なんで労働者が自分で借金して職業訓練を受けなきゃいけないのだ?

 現在日本は人手不足、あらゆる業界で外国人労働者を受け入れています、これはヨーローッパでもアメリカでも先進国はみんなそう。労働者が、教育費は企業が出せ!っていう主張を通せる時代なんだと思いますけれど。


 なんでこんなプロレタリア話になったかというに高畑勲と宮崎駿は東映動画の労働組合で出会った二人なのですね、ホルスなどにはそれが色濃く出てたりします。
 こういう左派的運動っていうのも完璧に絶滅しましたね。


 人文主義の衰退っていうか、理想主義、理想、の衰退なのかもしれません。理想、を語ってる人間をまったくみないものなぁ・・・。