リイズ
「日傘のリーズ」というルノアールの絵から来ています。本編を読むとおやと思いますが、本物のリーズも大柄であまり美しくない女性です・・・
一灯
何故か太宰には、灯火だとか行灯だとか、送り火だとか、炎から来ているタイトルが多いのです。なぜかはわかりません。天皇皇太子誕生の日の思い出について書かれています。
「第一級の芸術は常に、希望を与えて、こらえて生きていく力を与えるものとされてきた。芸術家は常にそれを目指してきたが、至難である」
という、わぁ!っていう感じの書き出しから始まります。まさしくそのとおり、最高の芸術と賞賛されてきたものは、希望を与えるものだとされてきました、シェイクスピアしかり、ベートーヴェンしかり、バイタリティあふれるというか、エネルギーに満ちたものが最高とされてきた。しかし、現代にそれを作るのはほんとに難しいとワタシも思います。それは、希望を持った人間、エネルギーを持った人間が少ないからなんだと思います。シェイクスピアの時代というのは、人間のエネルギーが爆発してました、善悪はともかく、ルネサンスですから、人間賛歌というのか、陽のエネルギーにあふれていますね、大航海時代でもあるのですけど、今の現代の人間には、ほぼ死ぬ確率のほうが圧倒的に高いみたいな、大冒険をして世界を一周してみようなんてエナジーを持った人間は本当に少ないと思います。
またベートーヴェンの時代というのは、ロマン主義の時代です、ロマン主義ってのは、古典主義からの脱却、つまりルネサンスから作られてきた、古典、名作、伝統ってやつに反旗をひるがえした、カウンターカルチャーの時代なんです。フランス革命の時代であり、革命の時代、この時代も、とにかくエネルギーが爆発的に社会に充満していました、結果は破滅的になった場合も多いけれど、それにしたってやはり陽のエネルギーに満ちています。
そして2つの世界戦争があったあの時代も、やはり、とにかくエネルギーだけはありました、強烈なエネルギー、はちきれんばかりの、憎悪にしたって怒りにしたってエネルギーに違いありません。
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皇太子の誕生で、日本中が祝祭ムードになっている、という描写は今ではあまり理解できません、泣いて喜ぶ人もたくさんいたとか。でも、そうか、とも思いますね、なんか人間のキレイな部分をクローズアップする出来事っていうのか、良い部分が見えるイベント、みたいなものがあったんだよな、と思います。天皇は現人神である、っていうのは、どうかな~、と思うヒトも多いと思うのですけど、それにしたって、なにかそこには、美しいものがある気がする。
現代は、自分の利益だけ追求する、他人が犠牲になろうとしったことではないという利己主義がデフォルトの価値観になっているのですが、そうやってシニカルで打算的に生きていると、だんだん自分が嫌いになってしまいます、人間はどっかに、利他的で英雄的な行為をしたい、そうして自分を好きになりたいという衝動も持っているとワタシは思います。
乞食学生
とても不思議で幻想的とも言える珍しいタイプのお話。夢オチということで終わるのですが、たぶんほんとに夢であったことに着想を得てるんだろうなっていう感じのふわふわした感じの物語です。
古典風
おそらく未完成で未発表の作品。昔の太宰風っていう感じですね、とがりまくっている。ネロの生い立ちとっていうのをテーマにしていて、エグさってのを強調しています。
失敗園
非常に短い短編 植物の擬人化