2018年11月16日金曜日

2012  宝石の国

 9巻まで。

 未完の作品を取り上げるのは珍しいのですが、なんとなく、このマンガにはオーラを感じてました。稀にこういうオーラが出てる作品ってありますね、あっ面白いに決まってるじゃんっていう。読む前に面白いってわかる。

 予想違わず、これは良作です、近年稀に見る、良いマンガ。マンガ読みならば、この作品には気がついているのでワタシが紹介するまでもないというところ。

 内容もグッドなのですが、作画もグッドです。♀マンガ家って内容はいいけれど、な~んか、作画がいまいちだな~・・、っていうのが多いのですが(ワタシ的には羽海野チカがそう、内容はいいらしいけれど、なんか絵、がしっくりこなくて手が伸びない)
 市川春子、聞いたこと無い作家ですが若いのかしら?作画のセンスも良い。ビーズリーとメビウスのいいとこどりみたいな、♂マンガ家には絶対にかけないタイプの作画、まず服装とか髪がおしゃんてぃー。♂マンガ家の書く♀のステレオタイプなことよ・・・、おっぱいでかくて、目が大きくて可愛くて黒髪ストレート、あるいは金髪ツインテール・・・、浅ーーーいです。性欲だけで描いてる。カワイイかもしれないがおしゃれさのかけらもない。
  小物や衣装もおしゃんてぃーです、服のバックプリントまで考えている、♂のマンガ家には絶対出来ない芸当。美は細部にやどる、おしゃれは根性と我慢、意味なんてない。

 あとコマ割りもなかなかセンスを感じます、縦長のコマ割り、ミュシャっぽい。たぶん世紀末芸術が好きなのですね市川春子氏。おしゃんてぃーな女子はだいたいミュシャのファンなのです。

 書いてて気づいたのですが市川春子って歌舞伎役者みたいな名前だ・・。

 ただこの作品、割と重いというか、グサーーーっとくるヒトには来てしまうので、あまりに精神衛生が整ってないコンディションで読むと、この作品のキャラのようにバキバキに割れてしまうことになると思います。カジュアルなノリのようで割と鬱マンガ。

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物語の大筋は新しい生き物である、鉱石生命体、が月の住民と戦う、っていうのが大筋です。ヒトが滅びた後の世界、ポスト・ヒューマン。

 人間、を主人公にするのが難しくなってきた。これはたぶん作り手はみんな感じてることだと思うのです。だいたい人間っていうやつの、底、が見えてしまったというか、こういうことはできてこういうことはできない、ここが限界ってのが見えてしまったという気がするのです。ニュースなどを見ても、まだこれか・・・とかまたこれかよ・・・、みたいなことばっかし。
 もう人間、の物語は終わって、ポスト・ヒューマンの時代なんだとワタシは思います。人類が滅ぶかもしれない、それを救わなきゃ、世界を救え!・・・っていうのはエヴァーで終わったと思ふ。
 
人間を救う、ってのはもう諦めました、諦めたというか救いたいっていうモチベーションがなくなってしまった。作家自身がそういう気持ちが持てなくなった。昨今の排外主義の隆盛を見てもそう感じざるを得ません。みんなもう人間、に希望を持つのは諦めた。
 そう考えるとやっぱナウシカってものすげー時代を先取っていたのだなと思うのです、ナウシカもヒト、が滅びた後の世界、ヒトが残した負の遺産をどう処理するかという世界。


 まだ未完ですので、長くならずにキレイにまとめて欲しいと願うばかり。

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 口内炎とワタシとの死闘はもう勝利宣言まであと一息まで来ました。