2023年5月30日火曜日

2003 The Animatrix

  映画マトリックス、のスピンオフのアニメ映画。


 オムニバス形式で、いろんなアニメスタジオが10分くらいのアニメを作る、みたいな形式となっております。

 3DCGあり、手書きあり、スタイルは多様。でもだいたいは機械に人間が殺されるっていうグロ、ハードSFっぽいものが中心なので、グロが苦手、メカ苦手って人には合わないかも。

 わたしもあんまグロは好きじゃないので、いまいち。


 今思えば、この2000年ごろ、ってのは、こういう、ポストモダン、が流行った時期だったのだと思います。


 ポストモダン、って言葉は、ポスト構造主義、とかわけのわからん、言葉として濫用されたり、むちゃくちゃ空虚なディスクールとして、ストア哲学みたいな、ただのくだらないおしゃべりへと堕落したりして、すっかりすたれてしまいましたが、非常に簡単に言うと 「グランドストーリー」の無い世界だよね。ってこと、でした。人によって意味するところがまったく違うので困りますけど。


 とにかく、モダン、という言葉がすべてをややこしくしている原因で、モダンには現代って意味もあるから、現代のあと(ポスト)、も現代、なわけで意味不明になってしまうのですわね。でもポストモダン、っていう言葉の本来の狙いとしての、モダン、っていうのは、近代。のことです。

 だからポストモダン、っていうネーミングが悪いと思います。ロストストーリー、とかにすりゃあよかった。

 1960年代とかのものを見るとわかりますけど、科学はどんどん発展していく!未来はどんどんよくなってく!僕、科学者になるんだ!みたいにまっすぐ子供が言っていた時代がありました。

 それが、80年代くらいになるとオイルショックだの、なんだの、科学が進歩しても、全然平和にもならんし、エネルギーの奪い合いは激化するばっかだし、湾岸戦争だのくだらねー戦争ばっかり、全然未来はよくならんやないかい。ってのがわかった。

 正直に努力したところで、なんにもならん。


少年漫画的、努力、友情、勝利!って物語  , は存在しない。努力しても、何の成果もでないことが殆ど。勝つのは一人。頑張れば頑張るほど、一人勝ちして、敗者が増える、それが資本主義。ってことです。


 だから「物語のない、物語」、になっておる、それがポストモダンってわけ。


 もっとクソシンプルに言えば、めでたし、めでたし、にならない、善悪のはっきりしないものとか、ストーリーがめちゃくちゃでカオスな話になるというわけ。他の作品でいうと「イノセンス」とかもそうですね。

 ポストモダンの代表的な小説家にトマス・ピンチョンがおります。ピンチョンは謎の小説家で、めちゃくちゃな作品ばっかり発表しておる。


 なぜか2000年代ポストモダンが流行っておりました、9/11の影響もあって、単純なヒーロー的な話がちっとも受け入れられないっていう感じだったのですかね。

「ポニョ」もポストモダンな作品だと思います。ストーリーがなんのこっちゃわからん、善悪がぐにゃぐにゃしていて、結局何?みたいなのが無い。

 めっちゃ面白くない。という意見が多数でしたが、その通りで、大多数の一般人はポストモダンな物語なんて求めてない、ピンチョンだって読んでるのは一部の変態だけです。


 そういうわけで、このポストモダンの流行も、00年代後半になると、萌えアニメブームに取って代わられ、10年代アイドルブーム、猫も杓子もアイドルの時代となり、とにかくなにも考えたくない「現実逃避」、ちょっとでも知識をひけらかすとさっとひいていく「反知性主義」、トランプ政権支持みたいなのが流行し、コロナの流行により、それまでと真逆の、重苦しい、シリアスもの、がちょっと流行ってきてるのかな、と思いますた。くらーい話が多いですね。