2023年12月26日火曜日

1973  競馬無宿  寺山修司

  寺山修司競馬エッセイ


 ちょうどシンザンが伝説のウマとなり、ハイセイコーが第一次競馬ブームを生み出していた時代ですね。競馬がギャンブラーや裏街道人間たちのたまり場から、大衆娯楽へと変化していく時代です。


 おもろい企画がありまして、歴代最強馬は誰か?という今でもおなじみの遊びをしてます。

 一番人気 シンザン

 対抗 クリフジ またはトキノミノル

 穴  メイズイ

 ってところのようですね。この当時の人たちの意見だからおもろい。


 シンザンはご存知「神馬」と崇められた馬、間近で見た当時の人々も、シンザンの怪物ぶりに驚いたようです。クリフジも無敗の幻の牝馬、トキノミノルも無敗の幻の馬、それをおさえてシンザンが一番人気なんだからシンザンの与えたインパクトの凄さが伺えます。

 寺山修司はシンザンの圧倒的な強さを嫌って、全部対抗に賭けて全部負けたようですw競馬に絶対は無いけど、シンザンは絶対だったのですわ・・・19戦15勝、二着4回。19戦も走って一度も連対を外さなかった・・・無敗の馬はだいたい10戦くらいしか走ってないので、この19戦は異常事態です。


 ほいでメイズイ、なんですが、メイズイは強いだけでなく、最高にかっこいい馬、グッドルッキングホースでも一位になっている馬。美しい馬といえばメイズイだったようです。三冠確実と言われながら、菊花賞、単勝1.0倍、ツインターボばりの大逃げをぶちかまし、直線失速、まさかの敗戦をしました。

 JRAが三冠おめでとうのくす玉を用意してたとかなんとか・・・、このJRAが先走ってお祝いを用意するといつも非常に良くないことが起こります。勝ったレースじゃなくて負けたレースが記録に残るタイプの馬、メイズイを見てみたかったなぁ・・


 そしてハイセイコー。

 誰もが名前を知ってる馬、けど現代の人はハイセイコーがなんでそんなブームを生み出したのか知りませんでせう。

 ハイセイコーは大井競馬、地方出身なのです これに尽きるといっても良い、オグリとおなじように地方から中央へ殴り込み、雑草魂、成り上がり伝説ってことです。この時代、日本が経済大国にのし上がっていく時代で、地方からぎゅんぎゅん東京めがけて若者が押し寄せる、当然地方出身者はハイセイコーに全ツッパするに決まっている。

 またハイセイコーは白の勝負服に白のブリンカー、遠くからでも見分けがつきやすく、走り方もキレイってのもあります、初代アイドルホース。

 だけど神話は崩壊、ダービーで連勝記録は途絶えます、そっから勝てなくなってしまい低迷、終わったかと思いきや、宝塚で復活。

 地方から成り上がり、挫折、ライバルタケホープとの死闘、感動的復活、まさにマンガです。オグリもまったく同じパターンです、ハイセイコーがオグリと違うのは、種牡馬としても、結果を残しました。

 子供であるカツラハイセイコーがダービーを制覇、ハイセイコー伝説、完。

2023年12月25日月曜日

1929 ローマ帽子の謎 エラリー・クイーン 中村有希訳

  作者のエラリー・クイーンというのは架空の人物で、この小説の主人公がそのエラリー・クイーンです。そしてこの小説がデビュー作ということになっている。


 この小説の登場人物が、この本を作ったのですよ。っていう本自体がフィクションなのですね。メタフィクションとも言える。いわば金田一耕助 作「金田一耕助の事件簿」

 でもそれじゃあ本当の作者がわからないではないか?まさにしかり。つまり匿名作家ということになります。思い切っておりますね。


 そういうわけで、冒頭の序文、もすべてフィクションです、非常にわかりにくいですね。


 ただ小説本体となると、最初に登場人物をすべて紹介し、この中に必ず犯人はいる、と説明し、さらに事件の場所の詳細な図みたいなのも最初に発表します。


 いわばござんなれ体制というのか、よっぽどトリックに自信があるというのか、読者に真っ向勝負を挑んでくる、まさに王道の作品です。本を見れば一目瞭然なのですが、文庫で500ページ近くなる大作。登場人物はなんと25人を超えます。こいつは、どでかいヤマになるぜ!!って感じの本です。


 ミステリものなのでもちろん結末は明かせませんが、ワタシは正直トリックが成立してない気がしました、確かにこいつらの中の誰か、というのは決まるけども、一人には決定出来ないです、これでは。

 あと探偵は手にしてるのに読者には公開しない情報があるのはずるいし、隠し通路は無いといいつつ、隠し通路はありますし、隠し場所はないと言いつつ、隠し場所はあります、これもずるいです。とってつけたようにそれはないだろ。


 物語としても、息子のエラリーにベタベタな親バカ親父、というコンビは気持ち悪いです、なにこれ・・・?って感じ。あと謎の美女、も薄いし、犯人のキャラ造形も薄い。

 さらにこれはエラリーのせいじゃないけど翻訳の文章もヘッタクソです。なんでこの本がそんな人気があるのかワタシにはさっぱしわからん・・・。作者のデビュー作で24才くらいの作品だってことで大目に見ろってことなのかしら??

 カー、エラリー、アガサ、が三大本格ミステリ作家ということになってるようですが、アガサのほうが断然良いといえますねぇ・・・。

2023年12月20日水曜日

1997 伝説の名馬 山野浩一 Part4

  これが最後の巻。


いつかこの本をちゃんとまとめて時系列に並べ直す、みたいなことを書いてますが、実際ちゃんとまとめられた本は出なかったみたい。

 こういうふうにあとでまとめるって言って結局まとめないってのはよくある話で、整理ってのは面倒でモチベが上がらないものです。何かを生み出してるわけでもないし。

 仕事の半分は整理だとある人が言ってましたが本当にそうで人生の半分は掃除だとも言えます。


 この巻は有名馬が多い気がします、マンオブウォー、セクレタリアト、ネアルコ。マンオブウォーとセクレタリアトはアメリカ史上最強馬として常に名前が上がる馬。ほいでなぜか両方ともビッグ・レッド、というニックネーム。栗毛っていうか、アメリカの馬ってこの色だよね、っていう色、形、アメリカそのものです。


ネアルコは世界競馬史上最強の馬として名高い一頭。

 ネアルコはまじでパーフェクトとしかいいようがなく、短距離から長距離まで走り、もちろん全勝、気性も大人しく、カラダもでかくて丈夫、競走馬としても種牡馬としてもすべて最高の成績(ノーザンダンサーの祖父)、血統も最高、馬体も美しくケチのつけどころが一つもない。あまりにも完璧すぎて面白みにかけてあまり愛されないほどだったようです。

 普通気性だけは荒い、というのがだいたいのサラブレッドの唯一の弱点なんですが、それも無い。


 だいたい強い馬って、このネアルコやイクイノックスみたいに、見事に研ぎ澄まされていて、無駄な部分が一つも無い、パーフェクトや!!っていうややステイヤー寄りのボクサー体型タイプと、フランケル、この本にも出てくるギャラントマン、みたいな、弾丸みたいなはち切れんばかりのマッスルモンスタータイプがいますね。ビスケット・オリバやんっていう。こっちはもちろんマイラーです。

 わたしは、フランケルみたいな、ミサイルみたいな流線型のムキムキタイプマイラーが好きですね、こっちのほうがむちむちしていて可愛げがある。

 ブルボンみたいにギリギリまで削ぎ落として、さらにバキバキに筋肉をつけるっていうボディビルディングタイプも稀にいますが、だいたいそれでは馬が持たないです


 馬もそうなんですが、馬主やジョッキーも当然物語に入ってくるわけでこれもなかなかおもろい。

 まず馬主、これは基本王族です、そういうものとして競馬は始まったので。ただヨーロッパ以外の馬主は叩き上げの人々が多い。その来歴が結構めちゃくちゃで、やれ大博打で勝ったとか、金鉱を掘り当てたとか、タバコ、酒、ギャング、やっぱ富豪ってのはそういう人種なのですよね、ほとんどの人が負けるはずの大博打に勝った人、そして商売はオイルと麻薬、この2つです。結局ビジネス、の究極系は麻薬なのです。


 この本にも書いてありますが、商売、はつまりはギャンブルです。賭博性の無い商売なんてない、それは共産主義です。すべてのスポーツも、まずギャンブルとして始まった。賭け、とはつまり民主主義と同義なのです。主権があるとは、賭ける、ことが出来るということ。自分で何をするか決められるっていう選択の自由なのです。


 ほいで騎手、ですがこっちも特殊な人格の人が多い気がしますね。まずとにかく馬が好き、タイプ。とにかく勝負が好き、闘魂タイプ。ものすごい責任感が強い、ナイトタイプ。ものすごい紳士な人格者か、破天荒で躁鬱気味の天才の両極端が多い。

 じゃなきゃ落馬して死ぬかもしれん職業なんか出来ないってことなのかもしらんね。60キロ以上の乗り物にほぼ裸で乗ってるのだもの。


 競馬を好きな人も結構タイプがあります。ギャンブルならなんでもいいタイプ、馬という動物が好きな動物好きタイプ。血統という血のドラマ、がすきな大河ドラマタイプ。人間が嫌いな変わり者。競馬場に集まる、破滅型の人々が作る雰囲気が好きな、詩人タイプ。

 ただ速く走ったほうが勝ちというこの上なくシンプル、故に最高のスポーツですねぇ。

 

 

2023年12月19日火曜日

1997 ゴールデンアイ 007

 おそらくFPS、というジャンルを確立させた作品。


 この手の、映画とか元ネタ有りきゲームで一番売れた作品なのではないですかね?いやドラゴンボールの格ゲーとかのほうが売れてるのかしら?


 当時ワタシはこのゲーム持ってなくて、友達の家で対戦ばかりしてたのですが、持ってない勢は絶対勝てないのですよね。すぐに持ってる勢は黄金銃でスナイプしてきやがるので。


 ストーリーモード的なのあるのですけど、とっても不親切っていうか、やっぱわたしこのFPSシューティング苦手で、方向がわからんくなるし、すぐに気持ち悪くなる。よって途中で挫折しましたとさ・・・


 今ではゲームといえばFPSってくらい、一番売れるジャンルのゲームになりましたがどーも苦手ですねぇワシは・・・、二極化ですよね、FPS大好き、Eスポーツといえば、これ!みたいな人と、どうやってもやっぱり画面酔するから、TPSとかのほうがいいっていう。FPS好きなやつはほーんと死ぬまでずっとやり続けますからね、ワタシはFPS正直何がおもろいのかわからん・・・・

2023年12月18日月曜日

1997 ブレスオブファイア3

 カプコンのRPGシリーズの三作目。

 カプコンにはあんまRPGのイメージないですが、これがほぼ唯一のタイトル。


単純なターン制ロープレっぽい見た目ですが、実は素早いと二回行動できる、というシステムがあって、装備にはすべて重さ、があります。最後の最後までこの素早いと二回行動出来る がこのゲームの肝となっています。

 重さ、システムがあると装備に戦略性が出て戦い方に幅が出ます。装備をとにかく軽くして動くアイテム係。重くして防御を上げるタンクなどなど。

 さらに師匠、を選ぶことでステータスの伸びを操ることが出来て、キャラを防御型や攻撃型に振ることができます。


 また見る、コマンドによって敵のスキルを覚えるラーニングシステム。

ほいでこれがシリーズの目玉なのですが、主人公がドラゴンに変身して戦えます。


あと、ドーピング屋、でキャラに耐性をつけることができる、モンハンでいう温泉。


 とりあえず、主人公は超火力だし外せないのでスタメン確定ですが、ヒロインは回復キャラじゃなくて魔法キャラなので必須ではない、というか紙装甲なのでむしろベンチです。いかにも強キャラっぽいガーランドはダメージは主人公が担当するのでこれもスタメン確定ではありません。役立たずっぽいペコロスもレベル1で加入するので、育て方が自由と考えるとバニラ枠として運用可能でザコではない。さらに一見すると中途半端キャラ枠に見えるモモですが、こいつがヒーラー、バフ枠なので実は主人公につぐスタメン候補。レイはもちろんスピード特化のアイテムスロワーなので便利、このゲーム回復はアイテムだよりなので。虎変身はあんま使わないです。

 ちなみに主人公の龍変身はMP消費なので、主人公は魔法型に育てるのが吉。

 そういうわけでかなり戦略に幅が出せます。実は自由度の高いゲーム。



ですがこのゲーム一番の売りは、スプライト職人によるキャラのアニメーションですね。ドット絵キャラが動くのですがバリエーションの多さがハンパじゃない。そしてたいがいのゲームよりもキャラがでかいのですっごい大変だと思われる、これが格ゲーででかいキャラをアニメートさせてきたカプコンの底力。スクウェアのドット絵は一枚絵ですごいけども、アニメーションはカプコンに軍配。

 このスプライトアニメーションを見せるためにクォータービューにするしかないのですがこれがとにかく見ずらいし動かしずらい、しかもわざとその死角になるところにアイテムが隠されていることが多い。でもアニメーションを見せるためにはトップダウンだと出来ないので難しいところ


 あとブレスオブファイア3といえば砂漠です。非常に印象が残るダンジョン。ダンジョンって言うのかわからないけど。いろんなゲームで砂漠の旅は困難ですが、こんなに砂漠が困難なゲームは他にない。難易度とかじゃなくて、本当に苦しい旅になります。


 ラスボスは正直かなり強い。最初に行った通り 素早いと二回行動出来る かどうか?が勝敗をわける。二人以上二回行動じゃないと、最終盤になって相手が全体攻撃ばっか撃ってくるようになると、防戦一方で攻撃できなくなってしまいます。全員回復アイテムが何個残ってるか?ってことにもなりますが、あと即死耐性とバステ耐性があるかどうかも。バステ対策出来てないと確実に死にます。ボスまでの演出がかなり長いのでやられるとメンタルにかなりダメージが入る。

 二回行動できれば、二回目に攻撃できるので、ジリジリと追い詰めていくことが出来ます。さすがに竜でゴリ押しはしきれません、むしろMP0になるので変身しないほうがいいかも、とくに最初から変身するんじゃなくて敵が全体攻撃ばっかりつかってくる後半になってから一気に押し切るほうがいいかもです。

//////////

 問題点

・とにかく龍が強すぎる。龍のゴリ押しでほとんどボスを瞬殺できる。シナリオ的にも龍はむっちゃつおい、ってことになってるんが、その通りすぎる。


・なんで戦闘メンバー3人なん?少なすぎない?4人にしてよぉ。


・ワールドマップがなく、ルーラ的ワープもなく、移動がめんどい。さらに師匠がどこにいるかとか迷いやすい。師匠でどのくらいまで習熟した、みたいな目安がほぼ何もない。さらに何回も話しかけないとスキルを教えてくれない、一度に全部教えろ。

 

・ストーリーがずっとふわふわしている。ようするに、リュウっていう竜の生き残りが、自分の出生の秘密を探す。という物語なのですが、 敵がいない のですな。幼少期はずっとなんかヤクザものたちに追いかけ回されるのですが、オトナ編になると、ずっと自分のルーツを求めて流浪して彷徨う羽目になる。別に世界が滅びそうなわけでも、魔王的なやつが暴れてるわけでもない。リュウのルーツ探しの旅は、自分が知りたいという理由しかないのです、ずっとふわふわと彷徨い続けてるって感じの話で、はっきりとした方向性みたいなのが何もない。バックパッカーみたいな話です。


 やっぱ同時期の作品FF7と比べると、全てにおいてスケールダウンしてるといわざるを得ない、単純にFF7がディスク四枚分の超大作なので4倍のボリュームがあると言えます。ここが特に悪い!ってことは無いのですけど、ここが特に良い!ってとこも無いですね。まぁFF7が世紀の名作でしてこれと比べるのが悪いってことなのかもしらんけど。決して悪い作品ではない。

2023年12月16日土曜日

1929 毒入りチョコレート事件 アントニィ・バークリー poisoned chocolate case Anthony Berkeley

  推理小説で結構有名な作品。


 タイトルが非常に面白くなさそう、というか、なんでしょう、架空の推理小説みたいなタイトルじゃないですか? なにかの物語の中に出てくる、嘘の小説みたいなタイトル。たぶんあえて、このダサダサなタイトルにしてるんでしょう。


 構造は、複数の探偵が、一つの事件を操作して、それぞれに推理を発表する。


という 探偵が複数 というスタイルです。誰でも思いつきそうですが、たぶんこれがその最初のあたりのもので、さらにちゃんと出来たものなのでしょう。名作ってのは得てしてそういうもの。


 想像の通り、最後のほうの探偵の推理になるにつれてどんどん真相がわかってきて・・・っていう話です。


 ただ、それはズルじゃない?ってのもあります。トリックの核心ではないので言いますけども

 何の意味もなく嘘をつく、事件には何の関係も無い人間。がいます。

 ただなんとなく嘘をついた、もう一回ちゃんと聞いてみると、嘘だと認めた。それはないですわ。確かに現実にはそういうやつがいますけども推理小説でこれをやられたら読者はお手上げです。何の理由とか意味があって嘘つくならいいけど、なんとなく嘘の証言されたらどうしようもないです。なんでそこをよしとしたのかわかりかねます。



 ミステリだからもちろん、トリックについては言えませんが、ワタシは、これって本当に犯人が決まるか??ってのが疑問です。ちゃんとトリック成立してない気がする・・・


 まっべつに論理的に確実に一人の犯人が決まらないといけないというルールでもないわけで、そんなことより雰囲気を重視したものとか色々ありますし、ともかくこの作品は、複数探偵物、っていうスタイルを作ったってことで歴史に残るものなんでしょう。

 ワタシはそいでもトリックのキレが甘い気がする・・・、あと文章も決して上手とはいえません。

 

2023年12月12日火曜日

1994 伝説の名馬 山野浩一 Part3

  もちろんpart2の続き。


 連載ものを本にまとめているようなので仕方ないとはいえ、時系列がめちゃくちゃなので読みづらいですね。

 あといわゆる なんとか系  ネアルコ系、ノーザンダンサー系、ダンジグ系・・みたいなサイヤーラインでまとめてほしかったですね。

 よくこの〇〇系 って言い方をしますけども、どの馬がなんとか系、の始祖なのかってのはまちまちで言っている人の気分のようです。

 ノーザンダンサー系っていうとほとんどの馬がノーザンダンサー系なので意味ないし、ミスタープロスペクター系も圧倒的に数が多すぎる、日本の馬はほとんどがサンデーサイレンス系ってなってしまう。ってわけでその時のノリで決めるよりほかない。


 Part3はどういう基準でこの馬は選ばれたの??っていう謎の馬が多い気がしますね、たぶん作者の好みでせう。


 多分一番有名どころはベンドア Bend Or ですね。名前の通り(ベンドオールが黄金という意味です、これラテン語なので発音がいっつも問題になる)黄金遺伝子の元祖。

 ベンドアっていう馬が尾花栗毛、いわゆるイケメンホース、金髪遺伝子の大きな開祖でして、ベンドアの血はたくさん残っておりますので、今も金髪ホースが残っております。

 セリとかで見るとやっぱり派手でかっこいいので金髪ホースが欲しくなってしまうのがわかる、乗馬としてもやっぱ良いでせう。でも誘導馬とかではあまりみかけない、目立ちすぎるからですかね。王子様が乗ってる馬ですね。


 ベンドア自身はそこまですごい種牡馬じゃなかったけれど、おじいちゃんベンドア、という孫世代が大活躍するという隔世遺伝の大種牡馬となったようです。こういう孫世代に強い馬が出るっていうタイプがいるんですよね。血統ってのは奥が深い。

1971 馬敗れて草原有り 寺山修司

  寺山修司競馬エッセイシリーズの最初の本。


 まだまだ若いな、って感じがすごいしますね。バタイユにかなり傾倒していたみたいで、引用が多いですし、あぁ若い人の書く文章だなぁって感じがします。

 寺山修司は若者のカリスマ、でして、わかりやすくいうと60、70年代の尾崎豊みたいなポジションだったのですわね


 当時の人の全体がどうだったか知りませんが、寺山修司は相当インテリですねぇ、アメリカに行って普通に生活しとるし、かなり英語も堪能、その上読書量もかなり豊富なのも伺えます、シュペングラー、マルクス、エンゲルス・・・、当時そんなちゃんとした翻訳とかないと思うので原文か英文に当たったのでしょうねぇ

 昔の学生のほうがよっぽど頭良かったのは間違いなくそうだと思う。他にやること無いぶん本をちゃんと読んでいます。寺山修司というと天才で感性主義、みたいなイメージですが、がっちり勉強していて、土台はしっかりしまくってる。



 ほいで1968年のケンタッキーダービーを見に行ったという記録がありますが、この1968年のケンタッキーダービー、が非常にいわくつきのダービーで、歴史上初めて、一着馬が失格処分になったレースでして、勝ち馬のダンサーズイメージ、が禁止薬物で失格になったのですが、だれかに飼い葉にクスリを入れられたとか、八百長だったとか、不正だったとか、すべては闇に葬られて、きな臭さだけが残るレースとなりました。

 わざわざ見に行ったダービーがこんなダービーの歴史の中でも随一の疑惑のレースに当たるってところがさすが詩人、持ってるなぁって感じですね。


 さらにカブトシロー。戦後競馬最大の迷馬、のエッセイもあります。カブトシローは八百長事件に絡んだおかげで、常にヒールというかきな臭い馬、それ以上にとにかくムラ駆け、走る時は走るし、走らない時は走らない、走ったら無敵、っていうものすごい馬、それも八百長くさい走りにも見え、とにかくグレーな馬です。その事件をじかに目撃してるのも、やっぱ詩人、持ってるとしかいいようがない。

(カブトシローの脚質が追い込みでしかも猛烈なイン突きという一か八かの脚質だったのですわね)

 

なにか面白いドラマを引き寄せる、星のもとに生まれてるとしか思えない。


 なぜ馬券を買うのか?という問に

「知りたいから」

と答えるのもさすがだと思う、まさにそれしかない。


ほいで素人が次に言う言葉も決まっていて、収支はどうなのか?


 別に賭博を企業経営としてやってるわけじゃないのだからこういう手合には答えることは出来ない。これも秀逸な答え。

 競馬をやってるというと、必ず収支は?と聞いてくる人には、なんか趣味とかあります?

A.映画

収支は?と聞いてやりたい。映画を見てどのくらい収支が出ましたか?映画を見てどのくらい金銭的に得をしましたか?と聞きたい。そのくらい的外れなことを言ってる。

2023年12月9日土曜日

2007 ストレンヂア 無皇刃譚 Bones

 Bones 制作の劇場アニメ。


 知名度は低い。こういう何のPRもせぬ単発のアニメ映画ってのはどうしても知名度が低くなりがちですね。でもこれが映画のあるべき姿だと思いますけどね、TVアニメの続きとか、原作小説、ゲーム、マンガの劇場版とか、二番煎じは正直作ってて楽しく無い、見てても楽しくない。ネタバレしてるのですもの。ほいで必ず原作好きに批判されるし。やりたくない仕事です。


 なかなかちゃんと作っております。内容は、用心棒の剣士が子供を助けるために大立ち回りするチャンバラものでして、めっちゃベタです。黒澤映画みたいな感じでしょうか。


 売りはやっぱりアクションでして、アクションシーンが相当多い。とにかくちゃんばらアクションを描きたいってことなんでせう、ストーリーなど二の次である。

 アクションはかなりバラエティに富んでいてなかなか良いです。ちょっとアクションを速くして作画ごまかしすぎてない?と思うけど・・・。


 でも問題は準主人公の子供の演技が下手すぎる。なんでこれでOKだしたのかわからん・・・素人?本当の子供を使ったのか?など理由はわかりませんが、棒読みすぎて、全然入ってこない、なんだこりゃ?演技も下手ですがキャラとしての立ちも悪い。

 主人公は長瀬智也が演じていると最後にわかったのですが、こっちは、全然気になりませんでした。やや声優的な、声の音圧、が無いなぁ、と思ってたけど、まぁそういう、覇気の無いしゃべり方なのかと思えばすんなりくる。

 ただ子供はまぢでひどいなぁ・・・、こんなアニメ映画で声優下手すぎだろ、で気にかかることはあんまないですけどね。それで結構台無しになってる気がしますね。


 あと中国語のセリフがあるのですが、一切字幕などなし・・・これは・・・まぁ・・・ふぅむ。中国語くらいわかれ、ってことなのかしら?でも中国語も下手だと思う、そこまで詳しくはないけど、中国語の発音ってこんなんじゃないもの。声優に中国語しゃべらせるのもちょっと酷ってものです。こっちを中国人使えよ。


 あともう一つ、馬のアニメーションが下手です。全然走り方がちゃう。これはもっと勉強しろって感じですね。


 いろんなとこが惜しい作品、詰めが甘いぞBones。でも出来はまぁまぁなので見て損はありません。

2023年12月8日金曜日

1996 ロックマン8(メタルヒーローズ)

  ロックマンシリーズの8でPSの作品。

ロックマンX、というのがあるのでわかりにくいですが、ロックマンXの主人公Xとロックマンは多分無関係、遠い未来の話ということになっている。


 ロックマンシリーズのほぼ最後の作品となっていましたが、12年後にロックマン9が発売、でしたがダウンロード専用、というおまけみたいなゲーム、10も同様にダウンロード専用のおまけみたいなゲーム。

 完全新作となるロックマン11、までほぼ20年近く冬眠に入ります。


 ロックマン8はねじを集める、と泳げる、あとしゃべる、という要素以外はほぼいつものロックマン以外の何者でもない。


 泳げる、というアクションはめっちゃ奇妙で、ロックマンが泳げるのはこの8だけ。それもうなづける。ロックマンが泳ぐと非常に変です。


 今までの経験がものをいう手堅い作りでして、アニメもあるのですが、多分小学生をターゲットにしてる、子供向けっていう感じになってます。

 難易度もそれほど。でもE缶、みたいなチートアイテムが無いので、下手っぴにはクリア出来ない可能性もある。

 ラスボスは普通に強い。これはさすがにカプコン、ここは譲れないって感じですね。E缶でゴリ押しも出来ないし、パターンを覚えないと勝てません。


 でもPS1なのにボリュームがスーファミとかファミコンの時代と同じとはこれいかに??倍くらいにボリューム増やさないとダメなのでは?ボス8体とワイリーステージ4つの12。この時代のゲームとしてはちょっと薄い気がする・・・


 ゲーム自体の出来は良いのですが薄さが災いしたのか冬眠に入ります・・・Xシリーズが代わりに出続けますが、X5以降はクソゲーとされています、ワタシはやってないのでなぜそうなったのか知りませぬが・・・いったいカプコンになにが・・・?

 でもロックマンエグゼ?とかになって結局シリーズが続くなのですけどね。

2023年12月4日月曜日

2022 多すぎる! 国産アプリのバグ退治 幻冬舎

  まずタイトルに ! が入ってる時点でろくでもない本っぽいですが、そこまでろくでもない本でもないです。


 幻冬舎はくだらないペラペラの本を出すことで有名な会社ですが、速い、のが取り柄です。兵は拙速を尊しとせよ。ってことですね。

 でもこの本を書いてる人は、全然あくどい大言壮語でカス取り本を作ってるのではなくて、自分の経験したことをちゃんと教えようとしていますね。ただ内容が薄くてペラペラなのは間違いないです。でも昨今内容がぎっしりで、分厚い本ってのはなかなか見ない。っていうか誰も本なんて読んでないですしね。

 ちゃんと体系的にまとめてる・・・うちにもう時代遅れになっている、だから体系的にきちんとまとめられたものってのがなくなっているのかも。


 よく、銀行やら空港やら、通信やら、プラットフォームがシステムエラーを起こして、なにしとんじゃコラ!となりますが、具体的な中身の話は一切しない。

 これこれのプログラムのこれこれが間違ってました。みたいな詳細は何も教えてくれない。


 プログラムは簡潔に、エレガントに、キレイに、みんなにわかりやすく、そして同じことは一回しか書かないで仕上げましょうね。みたいなことがプログラムの教科書には書いてありますけども、そんなのは所詮綺麗事。 

 できるやつもいれば、出来ないやつもいる。天才はすぐにどっかに引き抜かれたり独立してしまうし、いちいちプログラムを書くのは面倒なので、どっかのプログラムからコピペして終わらす。新人プログラマが何もわからず体裁だけ整える。


 そういうことみたいです、なるほどなぁ。


 プログラムは数学の証明のように美しく書くことが奨励されてますけども、そんなこと実際できて理解できるのは一握り。その天才がきちんと説明してなかったらもうお手上げ。

 ワタシは数学は才能だと思ってますし、生まれつきだと思う、みんなが微分積分理解できるようにはならない。でもプログラムは、誰もが微分積分できる、もっとそれ以上、極限、非線形、行列、すべてできるという前提で書かれている、出来もしない理想の上にできている。


 ほいでなにより、更新、されるのがバグの原因なのですよね、OSの更新、ブラウザの更新、通信規格の更新、どんどん更新されていって、それに伴ってAPIが変わっただの、言語が変わっただので、更新に合わせてソフトも書き換えないといけない。

 でも元のプログラムの書き方が意味するところがわからない、よって放置、あるいは適当にパッチ、更新諦める、ほいでクラッシュ。こういうことなのです。

 MSもAMDもNVIDIAも更新するたびにエラーをおこしている。ちゃんと更新できる組織なんてこの世に一つもない。


 とにかく更新、更新、でも誰もがちゃんと更新なんてできるわけもなく、結論として、バグは絶対に無くならないし、減らないのです。

 政府の指導でシステム改善、とか口では言えますけども、そんなことは無理なのです。



 自動運転っていいますけども、ワタシは絶対更新でミスって轢き殺しまくってポシャると思うなぁ・・・。まぁ人間が運転してたって轢き殺しまくってますから、数としては減るかもだけど、文句言いたい連中は絶対文句いいますからね。逆にわざと轢かれる、次世代の当たり屋もでてくるだろうしなぁ・・

1995 レイマン UBIソフト

 PSの初期のほうに発売された2Dアクションゲーム


 ワタシUBIソフトのゲームやるの初めてかもしらん。

UBIはフランスのゲーム会社。このレイマンはそのUBIのマスコットにもなっている、いわばUBIのマリオとかソニック的ポジションです。

 マリオとコラボのゲームも出てる、くらい海外ではメジャーな存在のようです。


 ゲームはスーファミでディズニーのアクションゲームありましたが、グラフィックはディズニーで、ゲーム性はドンキーコングです。


 グラフィックは相当作り込まれていまして、ものすごいなめらか。ただデザイン的に洋ゲーやなぁ、って感じですね。特に主人公のレイマン、はたぶん・・・鳥??みたいな謎の生き物で、日本ではあんまし流行らなかったのはたぶんこの主人公が原因。

 海外は鳥のキャラって結構いますけど、東洋はあんま鳥って受け入れられないですね、やっぱ小動物が圧倒的に強い。鳥、になんか不吉なイメージがある。このレイマンが鳥なのかどうかもわからんのですけど、とにかく謎の生き物です。


 *調べてみたらうさぎでした・・・うさぎ!?全然うさぎ感0なんですけど、どこがウサギなん?耳もないし茶色いし・・・


 あと名前も良くないと思う。レイマン・・・、って何?光の戦士レイ・マン、とかだったらまだわかるけど、なんでこのキャラがレイマン・・?


 ゲームとしては非常に良く出来ていて、操作性の良さなどもドンキーコングです、相当ドンキーコングを研究したんだろうなって感じ、やりこみ要素として隠しアイテム集めるってのもまんまドンキーコングです。

 レア社のごたごたでドンキーは消滅したけどレイマンがそれを引き継いだのですね。

 けどファンシーな見た目に反して、難易度は魔界村です。なんでこんなにむずいの!?ってくらいむずい、信じがたいムズさだったりする。敵にあたってダメージを受けてその反動でジャンプするっていう信じがたいギミックもある(これは他に方法があるのかもしらん・・?)、初見殺しのオンパレード、どういう意味やねん、っていうアクションも多数。コンティニューも制限がある。じゃあよく出来てないやんって言われそうですが、そうでもない、理不尽・・・ではない。むずいだけです。

 あと海外と日本のロジックってやっぱ違うんだなって感じで、はいはい、こういうギミックね、ってやるとまったく予想外のことがおこったりする、このへんは文化の違いでおもろいですね。

 あと氷のすべりかたが尋常じゃない、日本の氷の8倍はすべる



 というわけで良ゲー、といいたいところなんですが、このゲームゲキムズのくせにコンティニュー制限がある、のはまぁいいとして、いわゆる隠しアイテム、をすべてそろえないとラスボスステージにいけません。


いや無理だろ


相当なやりこみ暇人でないかぎり隠しアイテムフルコンプは無理、しかも上述のようにコンティニュー制限があるのです。だから死んだらリセットの繰り返しでまたはじめからやり直すしかない。えぐすぎます。ほいで隠しアイテム見つけるの攻略本かなにかないと無理だろ。日本には攻略サイトすら存在しない。

 絶対真ラスボスに会える、とかにすべきでしょ、普通にクリアはさせてよ。これが洋ゲーということか・・・


 というわけでほとんどのプレイヤーはラスボスの一個手前でゲーム終了で非常に後味が悪い。超ドMゲームです。

2023年12月3日日曜日

2003 Seabiscuit シービスケット

  実在の馬シービスケットを題材にした映画です。


 めっちゃ手堅く作られた映画です。


 手堅い映画ってありますよね、明らかに賞とりにいってるなぁっていう。だいたいは実話をテーマにした話で、戦争か戦前の話。

 だいたい手堅い映画は若者が酒場でどんちゃん騒ぎする描写があって、この映画もそう。


 でもよく撮ったなぁっていう感じですね。馬に言う事聞かせるのめっちゃ大変ですからね、そんな思い通りに演技なんかするわけないし。もちろんこの当時ですからCGではないと思います。今ならかなりCGなんだろうけど、20年前はここまでリアルな動物CGは無理だろうから。


 物語は歴史の通りなので良し悪しとかはない。


とにかくしっかりした作りの映画ですね。それ以上でも以下でもない。